甲冑姿はリアル"ベルセルク"!? ド迫力の格闘技「アーマードバトル」のつくりかた #EventSalon4 開催レポート

ゲームのキャラのような甲冑で戦う格闘技「アーマドバトル」。ヨーロッパ発祥のこの“スポーツ”は、14~15世紀に実在した鎧を忠実に再現し、それを身にまとって戦うというもの。単なるコスプレとは一線を画し、本格的な武器を手にして切り結ぶ、ド迫力の試合を繰り広げるデンジャラス・イベント。その新たなムーブメントの作り方とは!?


スポーツ格闘技「アーマードバトル」

「こんばんは、みなさん。ジェイ・ノイズです。どうぞよろしく! さて、私たちは今からさかのぼること7年前に、中世の剣術を教えるスクールを立ち上げました。そして、2013年に『アーマードバトル』の公式戦を行うために、日本アーマードバトル・リーグを結成したのです」

アーマードバトル

アーマードバトルの模様

「アーマードバトル」とは、ヨーロッパで始まったスポーツ格闘技のこと。

装備するのは、デザインや材質などをできる限り忠実に再現した14~15世紀の鎧です。過去にはフランスやスペインでも国際大会が行われており、これを日本国内でも行おうというのがジェイさん率いる「日本アーマードバトル・リーグ」というわけです。


試合の風景はもはや合戦!

「私たちの仲間は、クレイジーですてきな人ばかりです。ああ、今日はクレイジーという言葉をたくさん使うことをお許しください」とジェイさん。競技の様子をおさめたムービーを見ると……。

剣があたってへこむ鎧、膝をつく騎士……とマジで容赦ないガチバトル。ごくり、と固唾をのむ会場。追い打ちをかけるようにジェイさんが一言。

「本場のバトルでは、剣も盾も実物を使用します」――カイジばりにザワつく会場。

「ポールウェポン(槍や矛)、ロングソード(長剣)、ソード(剣)、メイス(棍棒)や斧などなんでもあり。NO、NO、武器とはいいません。これはスポーツ用品です。ただし、日本で剣は法律的にMURI! というわけで、安全規格にのっとり、チューブでできた特別な剣を作りました。とはいえ、これでも鉄の鎧を凹ませるのには十分ですがね!」


西洋甲冑&日本甲冑が大集合

気になる競技種目は、1:1で戦う「デュエル(決闘)」、3:3、5:5で戦う「グループバトル」、10:10以上で戦う「メーレー(乱戦)」など。

「武器の使用はもちろん、パンチ、キック、投げ飛ばすなどの技もなんでもあり。チーム戦なら、最後に誰か立ってれば勝ち。わかりやすいでしょ?」

ちなみに、強くなるためには、鎧をできるだけ軽量化してスピーディに動いたり、鎧をつけても平気なくらいの体力&持久力をつけたり、チームごとに戦略を磨いたりするトレーニングが必須とか。そう、このバトルは武力と知力の総合戦なのです。

「日本には、西洋甲冑を着る騎士たち『ドラコーネズ』『サングリエ』、日本甲冑を着る武将たち『黒鋼衆(くろがねしゅう)』の合計3チームがあります。現在も、鎧を作ったり、戦う練習をしたり、カラダを作ったりしてトレーニングを重ねています」

今年5月にはスペイン・ベルモンテ城にてチャンピオンの座をめぐる国際大会が開かれ、日本チームも参戦。3万5000人の観客が来場し、国営TVも来るステージで戦ったのだとか。

「大会の終了後、全チームのキャプテンが集まって会議をしました。その中で、ケガ人リストを発表したのです。なんと70人がケガ、6人が病院へ。でもキャプテンら曰く『ケガ人が少ない安全な大会でしたね!』。ホント、みなさん変わってますよねぇ」

HAHAHA! とジェイさんは豪快です。


「アーマードバトルリーグ」開催への道

さて、話を国内に戻しましょう。「日本アーマードバトルリーグ」がスタートした時、日本でもこのスポーツの面白さを知ってもらいたいと思ったノイズさんはイベント開催を画策します。

「今まではアマチュアとして自分たちが楽しんでいた内容を多くの観客に見てもらい、理解してもらい、広めてもらうためにはどうすればいいか? 考えなければならないことはたくさんありました。たとえば、スケジュール。会場選び。そして安全面の対策です。戦う自分たちはもちろん、観客にもケガをさせてはなりません。死んじゃったら大変ですからね……」って、この時ばかりはジェイさんも真顔。

さらには、「かっこいい写真も必要でした」。ほとんどの人が知らない「アーマードバトル」の面白さを伝えるために、一目でどんなバトルが繰り広げられるかわかる写真を用意したといいます。

会場は、友人の助言からぴったりのダンスフロアを発見。会社からパイプを借りてリングを作り、ガラス床を傷つけないようにラバーマットを敷き…。なんとか開催にこぎつけたといいます。

「イベントが実現したポイントはフレンズ! 知り合いのおかげなのです。少額の報酬に嫌な顔ひとつせずに、プロジェクターのシステムをつくってくれたのも、レフェリー役を買って出てくれたのも、安全面を監督してくれたのも、ファイターの鎧を直してくれたのも。そして、医者も、音楽も、MCも。全て友人たちが担当してくれました。So,メイクフレーーンズ!!!」

また、イベントを見に来てもらうために、告知にも力を入れたとか。

ジェイ・ノイズ

「プロモーターを雇いましたが、お金の無駄遣いでした。プロモーターは雇っちゃいかん。みなさん、どうか気を付けて。一方、Facebookでも告知をしました。どれくらいの人が来てくださったかはわかりませんが、方法としてはよいのではないかと思います。プレスリリースはお金がかかったけれど、効果がありましたね!」


“チアガール”で観客に応援指南

開催までの1か月はイベント準備で大わらわ。さまざまなアクシデントに見舞われつつも、会場は満席に。とはいえ、参加者の多くがアーマードバトルリーグを見るのは初めて。ジェイさんたちは、参加者に楽しみ方を教えるために一策を練りました。

「この新しいスポーツは、誰も応援の仕方やルールを知りません。そこで、作ったのが“チアガール”のチームです。彼女たちは狙い通り、観客に応援方法や楽しみ方を教え、みんなを盛り上げてくれました。さらに、このバトルがただのコスプレではなく、あくまでもスポーツであることを印象付けてくれたのです」

通訳として参加された同団体のCAO笠井洋子さんも、「初心者への伝わりづらさを解消するには、鎧を見せたり、パフォーマンスをあげたり、ルールをわかりやすく解説したりしていくことが大切だと思います」と話します。

今後も、国内で大小さまざまなイベント開催を予定。小さいエキシビジョンマッチはもちろん、大規模な大会も11~12月頃に予定しているとか。ジェイさんの口からは、「後楽園ホールのような大会場を借りて、外国人ファイターも呼びたい」との野望も飛び出しました。

今回、ジェイさんの友人やチアガールたちがそうだったように、誰も知らないジャンルのイベントを主催するときは、会場のムードを盛り上げ、楽しみ方やルールを教えてくれる存在はとても貴重。“サクラ”というと聞こえは悪いものの、事情を知るムードメーカーを会場に呼んでおくことも、みんなの“初体験”を成功にみちびくカギといえそうです。


(文章:矢口あやは)



ジェイ・ノイズ

ジェイ・ノイズ プロフィール
剣術家。㈱ティンタジェル代表取締役。日本アーマードバトル・リーグ(JABL)代表。

アーマードバトルおよびドイツ剣術を日本に初めて伝えた人物。
ユーモラス、かつ初心者にもわかりやすい指導に定評がある。
剣術インストラクターを始め、ゲーム「ファイナルファンタジーXII」「DARK SOUL2」など
のモーションキャプチャ、アニメ映画「ベルセルク」の剣術スタントアドバイザー他、幅広い分野で活躍中。
2000年 西洋甲冑愛好会「Avalon」設立。
2008年 西洋剣術スクール「キャッスル・ティンタジェル」開校。
2013年“魅せる甲冑格闘技”「日本アーマードバトル・リーグ」創立。




 


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