360°壁面をLEDで覆われた「ニコファーレ」。同じくドワンゴが運営するニコニコ生放送でのコメントがスクリーンを埋め尽くす様は圧巻です。
ライブハウスとしての機能をメインとしながらも、ネットを介した革新的な企画やイベントの数々。館長である戸田さんが語る、ニコファーレの魅力と可能性、そしてこれからの展望とは————
ネットとリアルの融合
「プロジェクションマッピングのあとですが、うちはLEDです(笑)」
そう笑いながらスタートした戸田さんのトーク。様々なイベントに使用されているニコファーレですが、どのような部分が強みなのでしょうか。
戸田さん曰く、ニコファーレとは『ネットとテレビとライブのいいとこ取り』。
「『ネットとリアルの融合』というのが我々メインテーマ。それを実現する為にいろんなことを考えています。」
生(ライブ)であることのこだわり
「うちのヴァーチャルのすごいところって、自前でシステム入れているので、『リアルタイムでCG合成している』っていうのは自慢できるかなと。」
遠慮がちに話す戸田さんですが、「生(ライブ)」へのこだわりは相当のもの。
「『ニコニコ生放送』という番組は月に800〜1000の番組をやっていて、生放送こんなにやっているテレビ局はないですから」
「僕らはライブである、生であるということに非常に僕らはこだわりを持っているので、これはしばらく続けていきます。」
生であることの臨場感は、もはやニコファーレの代名詞ともなっている仕組みにも現れています。
「LEDでコメントを表示することでライブをやっているアーティストにリアルタイムでコメントを返すことができます。」
「ネットを見ている人たちも、普通ライブ会場で起きるコール&レスポンスをコメントでできるんです。」
リアルタイムモーションキャプチャーライブ
さらにはライブという概念や境界線を軽々と超えるシステムも。
「YAMAHAさんが『ネットデュエット(NETDUETTO β)』って技術を持ってまして。」
なんとこれを使うと「会場には歌い手さん一人しかいないけど、別の場所でフルオーケストラで演奏したものをLEDで映しつつ、生でライブができます」。
さらにニコファーレの強みはこれだけではありません。
「モーションキャプチャーができます。しかもリアルタイムで。」
「動画をお見せしますね。」
映し出された映像は実際のライブ映像ですが、ボーカルはアニメのキャラクター。しかし観客への掛け合いなど、非常にリアルです。
「ニコニコ動画には顔を出さない歌い手さんが数多くいます。そんな歌い手さんに別室でモーションキャプチャースーツを着ていただいて。」
「実際に別室で歌っていただいたものを、リアルなバンドと一緒に演奏する。」
「『リアルタイムモーションキャプチャーライブ』と僕らは呼んでいます。」
他にもニコファーレではディラッドボード(プロジェクターの映像を投影する特殊な透明スクリーン)を用いて、「AR+ディラッドボードという形で」ネットを見ている人たちにもまるでボーカロイドのキャラクターが実際に歌っているかのようなリアルなライブ感を提供しています。
ネット上にライブ空間を再現する
「先日NTT研究所と共同研究しているものがリリースが出たんですが」
「パノラマカメラを会場に置いて、そのすべての映像を生放送する、というのを今研究しています。」
天井に360°カメラを設置し、ヘッドマウントディスプレイを組み合わせることで、「ネットを見ている人が隣を見ると、“ライブ会場で”隣にいる人が見える。」
「ちなみにお客さん目線で見るとこんな感じです」
戸田さんがPCで実際にそのシステムを見せてくれました。
「これが会場最前列です」
「おおお!すげえ!!」
参加者からも声が上がります。
“実際に今ライブが行われている会場の”天井も、床も、踊っているとなりの人や後ろの人、もちろん歌っている出演者も家にいながら見ることができます。
「ネット上にライブ空間を再現するというのをこの技術を用いて今やろうとしています。」
「よく初音ミクさんをリアルな世界に連れてこようと皆さんしているんですけど。」
「僕は逆だと思っていて。僕らがこの世界に入るべきだと思ってます。」
「どうやったらこの世界に入れるんだと。ニコニコ学会の中には『大根を触ったら気持ち良くなる(セクハラインターフェイス)』とか、そういう研究をされている人もいて。」
※この研究とても面白いのでご興味ある方はぜひ調べてみて下さい(笑)。
「そういった技術と、こういった技術(ヘッドマウントディスプレイを用いた試み)を組み合わせると『電脳キャバクラ的なこともできたりするのかなあと』」
戸田さんの頭の中はまだまだ広がり続けているようです。
「『ネット上にライブの空間を作りたい』と思っていて。これがその一つの解答だと思っています。」
最後の質問コーナーでのやり取り。
「なんでこういったことしてるんですか?」
「面白いからですよ。」
戸田さんは即答でした。
「ドワンゴという会社は元々『面白いが正義』というのがあって。」
「面白ければ人は集まるし、人が集まればビジネス的には何とかなる。それを突き詰めていく。」
イベントを企画する上での本質を見たような気がした一言でした。
(文:濱谷 俊輔)
戸田 淳 (Jun Toda) プロフィール
株式会社ドワンゴコンテンツ
ライブ事業部 担当部長
ニコファーレ館長
2001年ドワンゴ入社。モバイルサイトのプロデュースから、ニコニコ動画運営、ニコニコ生放送ゼネラルマネージャーを経て、ニコファーレ設立に携わる。現在、ニコファーレ館長として、ニコファーレならではのイベントの実施、ネットとリアルの融合をどのような形で提示するかを日々、奮闘中。妄想癖あり。口癖は『やっておしまい』
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