近年、各地でさまざまなフェスが開催されている。そんな中でも異色を放っているのが、日経トレンディ「2014年ヒット予測ランキング」で15位にもランクインした「沈黙フェス」。参加者全員がヘッドホンを着用し、“無音なのにみんな夢中で踊ってる”不思議な光景が各方面に話題を呼んでいます。
そのワイヤレスヘッドホンのシステムを提供、サポートしているのが音響機器メーカーとして60年の歴史を持つアツデン株式会社。今回は噂のワイヤレスヘッドホンも登場!実際に「沈黙フェス」を体感しながら感じた、物珍しさだけではないその魅力とは————————
音楽イベントなのに無音という目新しさ
お話しいただいたのは元イベンターという経歴も持つアツデンの大石さん。冒頭「一度皆さん、ヘッドホンをつけてみていただけますか?」と参加者全員にワイヤレスヘッドホンが手渡されます。大石さんが手元の送信機から音を流した瞬間、一斉に「おおー」と声が上がります。
歓声は上がるけど音楽はなし。やはり客観的にみるとなかなか不思議な光景です(笑)。
「《沈黙フェス》という言葉は日経トレンディさんがつけてくれました。クラブやフェス好きな方はサマーソニックでの「サイレント・ディスコ」で経験された方もいるかもしれません。あちらは海外のブランドさんの商標なのでアツデンでは「ワイヤレス・ディスコ」と呼んでいます。」
「要は『沈黙フェス』とは、外には無音、だけどヘッドホンをつけている人たちだけには音楽が聴こえていて、踊っていたり、実はクラブイベントしている、というものです。」
体験を共有しているというシンクロ感
では実際にワイヤレスヘッドホンが注目を集めているポイントとはなんなのか。
「まずは単純な『目新しさと没入感』。これは新しいものが好きな人や、サマーソニックなどで経験して魅力を感じている人たちですね。」
「ヘッドホンをつけている人たちだけが共有できるシンクロ感、自分たちだけが楽しんでいるという特別感が好きっていう人は多いです。音に集中できるから没入できるという人もいます。」
音を出さないことで生まれる大きなメリット
他にも音楽イベント以外でも使えそうなヒントもたくさん。例えば「ヘッドホンをつけなければ無音」という点は騒音対策に。
「実例としては海の家。騒音対策としてワイヤレスヘッドホンでクリアできるということで昨年も何軒かの海の家でやってみて、騒音に関してのトラブルは一切なかったです。」
「他には静岡カンヌ映画祭(『シズオカ×カンヌウィーク』)。これは街中で映画を上映するというもので、これまでは近隣住民の方から「うるさい」と苦情が来ていましたが、ヘッドホン上映でその苦情がなくなったんです。」
さらには映画祭ならではの意外な発見も。「年配の方々は映画の音が小さく感じるらしくて。ヘッドホンだと手元でボリューム調整ができるので「良かったよ」と声をかけてもらうこともありましたね。」
スペースの有効活用
さらにイベントを行う上で重要な「集客」。直接繋がるメリットとして、「空間の有効利用」というポイントがありました。
「これを使うと同じ空間で2つのイベントが同時進行できるんですよ。」
「DJや演者が2ラインナップ組めて、集客導線も2倍とまでは行かなくとも、1.5倍くらいにはなる可能性はある。」
例としてはJ-WAVE主催で東京国立博物館で行ったイベント(『J-WAVE SPRING FESTIVAL』)。
「会場の九条館(東京国立博物館庭園内)は近くに幼稚園なんかもあって、騒音問題がまずありました。そしてさらにフェスティバルだったので隣で森山直太朗さんが爆音で「さくら」歌ってるんですよね(笑)。でもこっちでも(全然関係のないところで)歓声が上がってるんです。」
「普段だと絶対に一つのプログラムしか進行できない場所で2つのイベントで利用できる。この『空間利用』というのが実は大きなメリットなんです。」
使う人次第で用途は無限大
「個人的な要望ですけども・・」と前置きした上での大石さん。
「稲川淳二さんとかどなたかブッキングしていただいて。これで怖い話とかしていただいたらいいんじゃないかなって(笑)。」
耳元に直に怖い話がささやかれるなんて・・と想像しただけで思わず身震いしてしまいましたが、まさにこのように各々使い道を想像できることが一番の魅力。
「ポイントは使われる人次第でこんなところでも使えるよっていうのが無限に生み出されるということ。本当に僕らも気づいていなかったことだらけです。」
音や空間の楽しみ方そのものを変えてしまう可能性を秘める「沈黙フェス」。
誰かと感動や興奮を共有するフェスの醍醐味もいろいろな体験方法があるのだと、目から鱗が落ちたようでした。
(文:濱谷 俊輔)
大石亮 プロフィール
アツデン株式会社 営業部 マーケティングマネージャー
アツデン営業部所属。前職時に、当時CLUBレベルでは千葉最大級の700人を集客するレギュラーイベントを自身で主催。現在は同社の営業及びマーケティング、広報などを担当
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