決められた座席で見るだけがサッカーじゃない! ピッチのすぐそばで観戦できる大迫力の「ピッチサイドシート」をはじめ、「公式記録員体験チケット」、「エスコートキッズチケット」などの限定チケットで新たな“サッカー体験”を提案し続ける、Jリーグ・東京ヴェルディ。本クラブのソーシャルメディアディレクターが、企画発想法を語ってくれました!
「東京ヴェルディ」の挑戦
「東京ヴェルディの新熊です。こんばんは! さて、本題に入る前に、まずはヴェルディの紹介をさせてください。そもそもヴェルディは、1969年に誕生したサッカークラブです。当時は読売サッカークラブという名前で1992年に川崎ヴェルディと改名。Jリーグが開幕した最初の1993年、1994年にわたって優勝し、ナビスコカップや天皇杯でもタイトルを獲得しました」
当時はカズさん、ラモスさんなどの有名選手を抱え、絶大な人気を誇った川崎ヴェルディ。2001年にホームを味の素スタジアムに移転。立川市、日野市、稲毛市、多摩市などをホームタウンとし、東京ヴェルディへと改名しました。
しかし、2009年にJ2へと降格。親会社の日本テレビが撤退し、現在も親会社がないまま、地域密着クラブを目指して奮闘中なのです。
新たな価値をどう生み出す?
「特定のチームを応援されている方はもちろん、きっと多くの方は、好きな選手がいたり、友達に誘われたり、たまたま招待券をもらったりしてサッカー場に足を運ばれると思います。そして、一般的なサッカー観戦は、ゲートでチケットを出して入場し、客席で試合を見るというある種“決まった形”があるわけです」
その“決まった形”の中で、いかに新たな価値を感じてもらうか? 新熊さんは普段、2種類のアプローチで企画を考えているといいます。
「1つは、『サッカー観戦+○○』の考え方で、外部の要素を加えること。もう1つは、新たな要素を足すのではなく、『従来とちがった切り口を見つけること』。この2軸をもとに、さまざまな企画に挑戦してきました」
"サッカー観戦+○○"の「○○」を考える
「“サッカー観戦+○○”。この○○を埋める要素で近年のトレンドとなっているのは、なんといっても「グルメイベント」! 全国各地のスタジアムやホームタウンに足を運ぶと食べられる、スタジアムグルメやご当地グルメを集めて楽しんでもらうスタイルのものが多いですね」
また、ゆるキャラが大ブームの昨今は「サッカー+“キャラクターイベント”」の集客力もあなどれません。
「写真の中央にいるのが、我らがコンドル“ヴェルディくん”です。そして左が、稲城市の“稲城なしのすけ”。稲城市ってのはナシが名物なんですね。右は日野市がつくった“ゴミゼロマン”。こういったキャラクターをたくさん呼ぶイベントも行っています」
新しいサッカー観戦ができるチケット
「一方、東京ヴェルディでは、サッカー観戦の体験そのものを変える企画も実施しています。たとえば、普段はできない“体験”ができるチケットがあるんです」
そのユニークなチケットをかんたんにご紹介しましょう!
●エスコートキッズチケット
合開始前の選手入場の際に、東京ヴェルディの選手と手をつないで入場する「エスコートキッズ」を体験できる。大人・子ども各1名のセットで、先着11組の限定チケット。
●ソーシャルメディアチケット
ソーシャルメディアを使った企画「ソーシャルメディアナイト」の一環で使えるチケット。普段は入れない記者席での観戦をはじめ、試合後の監督記者会見の見学など、試合の裏側を体験できる。
●公式記録員体験チケット
東京ヴェルディの実際の試合で、“公式記録員”の仕事を体験できるチケット。試合前に、プロの公式記録員から記録の付け方のレクチャーを受け、指定席で観戦&記録スタート。試合後は、公式記録と答え合わせ。修了証の発行も。
●ピッチサイドシートチケット
観戦席は、広告看板のすぐ後ろ。つまり、ピッチのすぐそば! 選手達の迫力あふれるプレーを楽しむことができるチケット。選手の声やボールを蹴る音の臨場感がスゴイんだそう。
●“自由研究のお手伝い”イベントチケット
小学校5、6年生とその保護者を対象に、夏休みの自由研究に向けたイベントを実施。まずは選手控室などのスタジアム内と運営本部を見学し、ボールパーソンや入場ゲートの仕事を体験して、SS指定席で試合を観戦。ヒーローインタビューや監督会見の見学、選手交流会までと“初体験”になる要素がたっぷり。オリジナルのワークシートも配布してサポートしたんだとか。
「『試合は負けたけど、面白かったね』『○○があったから楽しかったよね』と言ってもらえること。そして、また来ようと思ってもらえること。そうやってサッカー観戦自体の価値を上げていくことこそ、ぼくらの仕事だと思っています」
「クリーニング・デイ」や「テクノうどん」のように“見たことも、聞いたこともない、新たなイベント”とは一線を画す“サッカー観戦”。しかし、一般的に広く知られた内容のイベントも、付加価値をつけ、切り口を変えて見せることで新たな衝撃を生み出す可能性を秘めています。
「イベントが予定調和に終わりがち」「他のイベントとの差別化がはかりにくい」――そんなお悩みを抱えている主催者さんは、殻を破る一手として、東京ヴェルディのアイデアを参考にされてみては。
(文章:矢口あやは)
新熊 康助(しんくま こうすけ) プロフィール
1980年生まれ、大阪府出身。WEB制作会社などを経て、2011年より東京ヴェルディのソーシャルメディアを始め、WEB・デジタル領域における情報発信や広報・事業戦略、企画立案などを担当。2013年から、ピッチのすぐそばの座席で サッカーの迫力を楽しめる「ピッチサイドシート」をPeatixで販売。他にも 「ソーシャルメディアチケット」や「公式記録員体験チケット」「エスコートキッズチケット」などの限定チケットを企画・販売。
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