2017年6月17日、東京カルチャーカルチャーにて、ニフティとPeatixの共催イベント、「Community Collection Shibuya ( コミュコレ!渋谷 ) 2017」を開催しました!
土曜日の夜の開催にも関わらず、スピーカー25名、参加者総勢100名近くの方々にお集まりいただき、大盛況となりました!
大いに盛り上がった9つのトークセッションのレポートです!
Session1 「渋谷 x コミュニティ」
初めのセッションは少し幅広のテーマでスタート。「渋谷とコミュニティ」というテーマで話します。
ゲストスピーカー
・澤田 伸さん (渋谷区副区長)
・吉澤 裕樹 さん(東急電鉄)
・金山 淳吾 さん(渋谷区観光協会)
東急電鉄 吉澤さん
渋谷ヒカリエの8F/9Fの担当をしています。そこにはコミュニティ作りの「場」があるんです。
8F 8/ のCOURTのほか、 9Fに1000米と300米2つの ホールがあります。大きさによってやれることって違うんです。大きければいい訳じゃない時もある。なのでいろんな大きさの場所を持ちながら、「場」作りを行っています。
ー 東急電鉄さんは渋谷の大規模再開発をされていて、「エンタテイメントシティSHIBUYA」などとも仰っていますが、それに伴ってヒカリエなどの施設はどういう風に変わっていくんですか?
再開発については、今は渋谷駅東口エリアの工事をしていてみなさんにはご迷惑をかけてばかりですね。駅のホームまで遠いし、工事中の壁は真っ白で殺風景だし……でも少しでも良いものをと思って作ってます。
施設も作っていきますが、ハード面での話だけじゃなくて、「場」みたいなソフト的なものも仕込んでいて、渋谷のコミュニティがもっと多様に盛り上がっていったらと思っています。
渋谷区観光協会 金山さん
渋谷区観光協会の代表理事という肩書きですが、こんなラフな格好をしているので、よくどこに理事長の方がいらっしゃるのですか?と聞かれます(笑) 財団法人の代表理事なんていうと、ダブルのスーツのおじいさんのイメージを持たれてるみたいですね。
この前もドンキホーテさんのMEGAドンキのテープカットセレモニーに呼んでもらったのですが、いつまでたっても僕のところに手袋と花が来ない……気付かれてないんですね(笑) 仕事はテープカットをするだけではなくて、今日のように呼ばれたらいろんなところに出てきたりもしてますよ。
さっきの東急さんのエンタテイメントシティというのは、ハードとソフトと両軸でやっていくことだろうなと思っていますが、僕は特にソフト作りをやっています。やっぱり盛り上がっている観光地に行きたいと思われてると思うんです。誰もいないNYに行きたくないじゃないですか。パリもそう。ただ、リゾート地は誰もいない方がいいのかも知れない。その街にはその街なりの観光地としてのあり方があると思うんです。
渋谷はやっぱり「人が集まっていて賑わっていて楽しそうで、何かが起こって、見たことないものが見れそう」というイメージで来てもらっていると思うんです。その人たちがちゃんと「楽しい!」と思ってくれるような街づくりをしたいですね。
ビルは東急さんが作ってくれてるけれど、ソフトの面は我々も、そしてここにいる皆さんも一緒に作っていくものだと思ってます。観光協会という立場で、そんな皆さんのソフト作りのサポートもしていきたいなと思ってます。
エンタメ×コミュニティ
ー 「エンタメ」というのは渋谷の特徴の一つだと思います。東京カルチャーカルチャーみたいな施設を誘致したり、ヒカリエのいい場所に人が集まるスペースを作ったりされているのは拝見してますが、皆さんは「渋谷のエンターテインメント」としてどういうシナリオを描いていますか?
吉澤さん:
再開発というと中心はオフィスや商業フロアになりがち。でもそれだと他の街も同じで、均一化してしまうと思うんです。渋谷は渋谷の良さを出したい。収益面でオフィスフロアや商業施設は大切ですが、それ以外のものも作りたい。そのときに渋谷らしさとして「エンターテインメント」というキーワードがあるなと思ってます。
エンタメといっても色々ありますが、このようなコミュニティ活動もその一つ。そういう様々なエンタメを街にちりばめて、結果としてオフィスや商業も良くなるというシナリオになれば、渋谷の街としていいんじゃないかと思っています。
渋谷らしさ、渋谷らしいエンタメといっても色々ありますが、例えば今の基本構想に入っている「音楽とファッション」というものもありますし、企業という面では「スタートアップ」という特徴もありますし、「コミュニティ」という側面もあります。そういったものがいい意味で共存して、お互いに育っていく街になるといいなと思います。
ダイバーシティ
ー 「共存」というキーワードが出てきましたが、渋谷を特徴付ける「ダイバーシティ」という点についてはどう考えていますか??
金山さん:
渋谷はいつ来ても賑わってて楽しそうというイメージはありますが、渋谷区の長谷部区長は「ロンドン・パリ・ニューヨーク・渋谷」と並ぶ都市になろうと言っていて、正直これはかなりチャレンジングな発言だなと思ってます。ロンドン・パリ・ニューヨークどこをとっても、世界に名だたる文化コンテンツを持っていますが、渋谷にはそういうものがまだない。ジャパンファッションウィークや代々木公園がありますが、それはまだパリコレやロンドンのハイドパークのロックフェスティバルと肩を並べられてはいないです。
でもいつかそういうものができるとおもっていて、そのいつかを作るのは「多様なアプローチ」だと思ってます。ファッション、音楽、デザイン、アート、もしかしたら福祉というアプローチもあるかも知れない。「これをやるぞ」という取り組みやコミュニティが出てこれば、場所と人はいるので、場所や歴史というアセットを活かした何かができると思います。それを作るための原動力がダイバーシティだと思っています。
ダイバーシティってLGBTや障害者、高齢者という存在のインクルージョンや、何か足りていないことを解決しようというソリューションだけではなくて、みんなの気持ちが自由闊達に表れて、「新しいものを作っていこう」という表現ができることだと思っています。渋谷は「自由に新しいことをやりたい!」という気持ちが集まりやすい場所だと思うんです。それを大人の事情だけでつぶすのではなく、育てていける立場でいたいなと思っています。
渋谷区副区長 澤田さん
街の再開発は民間が主導しながら、行政も大きく関与しています。地区計画やいろいろな規制を緩和して、民間がより街づくりに貢献できるような状態を作ることをしています。街のいろいろな場所の人の動きを見て、対話をしています。
渋谷駅の工事は2027年まで続きますが、周辺地域についても未発表のものも含め、渋谷駅を中心とする広域には30近くの再開発プロジェクトがあり、どんどん出てきます。
そこで重要なのは、中長期的にいかにこのエリアの価値創出をしていくかということですね。いろいろな場所を紡いでストーリーラインを作っていく。そのために民間と行政は大きなビジョンを持って、常に対話をして進めていかないといけないと思っています。
Session1をうけて…
ー 新しい大きなビルやかっこいい建物を見ると、すごいなと思う一方で、そこで何かやるにはハードルを感じてしまう人もいる気がします。
本日はコミュニティ活動をされている人もたくさん集まっているので、そういう「何かをやりたい」という人がどのように働きかけていったらいいか、ヒントをください。
吉澤さん:
「場」というのは街の中の余白だと思っています。余白というのは新しいものが生まれたり、やりたいことにチャレンジできるスペース。今後そういう余白はもっと生まれますし、みんなで余白を増やす取り組みや、余白を活用する取り組みができればと思いますね。ぜひ働きかけてみてください。
金山さん:
観光協会って実はスタッフ6人なんです。ほんとは何でも言ってきてくださいと言いたいんですが、ちょっとそうもいかない。ただ、街にいっぱいイベントがあるので、情報を知らべて参加してもらいたいです。街のイベントは収益性も低いので手助けが重要です。ぜひそこにボランティアでも良いので入ってみて一緒に活動して欲しいですね。
私はコミュニティ活動は一にも二にも人脈だと思っていて、一緒に何か活動してみたり、困っているところを手助けすることで、知り合いが人脈になると思います。知り合いに何を言っても話を聞いてもらえないけれど、その中に入って何かやったり、たとえ挨拶だけでも、それをなんども繰り返していくと人脈ができていく。人脈ができると、自分が何かやりたいと相談した時に思わぬ方向に話が転がっていきます。まずは中に入って脈を作るということがいいと思います。
澤田さん:
渋谷区は「オープンガバメント」として開かれていることが非常に重要だと思っています。前回この場所で参加したワークショップ(ワークスタイルに関連した企画)で20近くのアイデアが出ましたが、そのうち10以上のアイデアを出していた人たちに役所まで来てもらって話を聞いて、その中のいくつかを支援しています。支援といっても補助金を出すといったことではないですが、つながったらいいと思う人を紹介したりして応援をしています。そういうことが渋谷の強みだと思っています。
職員は2,000人くらいいて、全員が私と同じようなマインドを持っているかということは自信を持って言えませんが、徐々に変えていきたい。対話から全てが始まると思っています。でも行政は対話の壁が高いですよね。だいたい行政施設には手続きにくらいしか行かない。でも例えば街づくりということであれば、行政が公開している資料を見て、自分が何かできることがあると思えばぜひコンタクトして欲しい。地域のNPOとの活動も、実はたくさん動いています。そうやって、渋谷に興味を持っているタレントの方たちと一緒に、渋谷の魅力を生み出しす力をつくっていきたいですね。
私たちが普段見ている渋谷の裏側には、こんな思いを持って街づくりをしてくれている方たちがいます。変化し続ける渋谷、みんなの「やりたい!」という気持ちが集まり、それらが共存して盛り上がっていく渋谷のこれからの姿が楽しみです!
[ご登場いただいた皆さんが活躍されている場所はこちら!]
一般社団法人 渋谷区観光協会 PLAY! DIVERSITY SHIBUYA
Session2 「遊び場渋谷」から「働く場渋谷」へ!変な人と、それを支える人が集まる「新しい働き方の聖地」のつくりかた
Session3 街のカルチャーや未来のビジョンと共に作る、街を巻き込むイベントの仕掛けかた
Session4 メディアは何をつなぐもの?渋谷で発信するプレイヤーに聞く、渋谷とメディアのこれから
Session5 行政・企業・NPOの多様な30人が、半年で渋谷を巻き込んだプロジェクトを世に出すまで
Session6 大都会の中のローカルメディア。彼らが大切に書いているものとは
Session7 NHKも伊藤園もやりたがる! アイデアソンでもハッカソンでもない「プロモソン」とは?
Session8 渋谷のランドマークQ-FRONT、 ドン・キホーテ、PARCOかSHIBUYA CASTの「住人」まで!? 渋谷の「場」はどのような思いで作られているのか