2017年6月17日、東京カルチャーカルチャーにて、ニフティとPeatixの共催イベント、「Community Collection Shibuya ( コミュコレ!渋谷 ) 2017」を開催しました!
土曜日の夜の開催にも関わらず、スピーカー25名、参加者総勢100名近くの方々にお集まりいただき、大盛況となりました!
大いに盛り上がった9つのトークセッションのレポートです!
Session3 「街イベント x コミュニティ」
3つ目のセッションのトピックは「街イベント」。様々なジャンルの街イベントの仕掛け人が大集合です!
ゲストスピーカー
・加藤 由将さん (東京急行電鉄株式会社)
・鈴木 貴歩さん (ParadeALL CEO)
・神通 靖彦さん (株式会社東急エージェンシー)
東京急行電鉄株式会社 加藤さん
アクセラレーターというスタートアップ支援の仕事をしております。ベンチャー企業さんを「助ける」というのはちょっと僭越ですね……一緒に新しい事を仕掛けていこうという感じです。
ParadeALL 鈴木さん
もともとレコード会社にいたのですが、昨年独立をしまして、肩書きを「エンターテック アクセラレーター」として「エンタメ×テクノロジー」の分野を専門に、エンタメ企業やスタートアップと一緒にお仕事させてもらっています。
株式会社東急エージェンシー 神通さん
広告会社で「イノベーション」を推進するために、アクセラレーターのようなことをやっています。スタートアップの支援もそうですし、私たちの会社自身もイノベーションを起こすべく仕事をしています。
街イベント
ー このお三方、いろいろな街の人を巻き込んだイベントをやったことがあるという共通点があります。
まずは加藤さん、今年2月にShibuya Startup Ecosystem(渋谷スタートアップエコシステム)というイベントをやられてましたが、これはどんなイベントだったんですか?
加藤さん:
スタートアップのピッチイベントって結構あるんですけど、基本的にスタートアップ側が自社の説明や売り込みをすることが多いんです。今回のイベントに関してはその逆で、アクセラレーター側が「自分たちのプログラムに応募してくれるとこんな支援ができるよ」と伝えるものでした。渋谷エリアはアクセラレーターが9社と日本で一番集まっているエリアなんです。その渋谷の独自性を含め、スタートアップファーストの街というメッセージを込めて開催したイベントです。
会社の事業としていろいろな事をやっていますが、東急電鉄としては突き詰めると「渋谷が楽しい街である」ということが重要なんです。なのでこういう活動も積極的に仕掛けていこうと思ってます。
ー鈴木さんは代官山でイベントをやられてましたよね。こちらはどんなイベントだったんですか?
鈴木さん:
2014年に代官山でTHE BIG PARADEというイベントをやりました。日本版SXSW*と言われてまして、カンファレンスとかライブ、クラブイベントを組み合わせた複合型イベントで、3日間開催しました。SXSWに限らず。世界には結構音楽のビジネスカンファレンスがありまして、私たちの音楽の楽しみ方が昨今変化していることについて、音楽業界の人やアーティストが集まって話す場があるんです。当時日本にはそういうものがなかったので、変わる意識を共有しようという気持ちで開催しました。
*SXSW(サウスバイサウスウエスト):アメリカのテキサスで年一回開催される、音楽・映画・テクノロジーの祭典。日本からもテック企業を中心に参加する人が年々増えている
今はダンスミュージックに特化したプロジェクトをやっていて、去年ヒカリエでTOKYO DANCE MUSIC EVENT(東京ダンスミュージックイベント)というのをソニーミュージックさんと一緒にやりました。ダンスミュージックにまつわるビジネスカンファレンスとクラブイベント、あとワークショップの複合イベントですね。業界人も、未来のクリエイター志望の方も来ますし、プロの人も普通にお客さんとして来るイベントです。
重要なのはエコシステムをどう作るかっていうことなんです。エイベックスが作ったベンチャーキャピタルの投資アドバイザーもしているんですが、カンファレンスもコミュニティも、スタートアップ投資もエコシステムの中でまるっとつながって、うまく回るようになるといいなと思っています。
神通さん:
いま私が携わっているのは、札幌で行われるNoMapsというイベントです。昨年プレ開催、今年10月に本開催一回目なのですが、「地図がない」という意味で、まさにイノベーションの地図を描いていこうというイベントです。東急としても一緒にやらせていただいているのですが、6月23日にこのNoMapsの発表会を渋谷で行います。札幌と渋谷をつなぐということをやらせてもらってます。
領域を横断して活動する上でのポイント
ー 皆さんいろいろな領域を横断して活動されてる印象を受けました。エンタメとテクノロジーとか、札幌と渋谷とか、アクセラレーターとベンチャー企業とか、そういうものを掛け合わせてる。そういうことを融合していくなかで気をつけていることや、日々心がけていることがあれば教えてください。
鈴木さん:
業界の中がどうなっているかという左右の見方じゃなくて、いま世の中がどうなっているかというものの見方が重要だと思うんです。エンターテインメントで言えば、エンタメを届けるに当たってテクノロジーが絡まないことってもうないと思う。CDを買うにもAmazonで買ったりするわけで、そうであればテクノロジーを活用しようという考え方をした方がいいよねと。
そうすると、テクノロジー分野の人たちと一緒にやらないとねっていう話になるし、逆に言うと、みなさんが使っているテクノロジー、FacebookやTwitter、Instagramだって、アーティストの投稿がなければここまでブーストしないわけです。なのでテクノロジーがブーストしていくためにもエンターテインメントは必要だったりする。そう考えるとテック側もエンタメ側と仲良くした方がいいよね、ということになる。世の中に何かを打ち出したいという時に、エンタメ側と繋がることは大きな意味を持つと思います。
加藤さん:
お客さんは誰なんですか、ということを常に考えてます。自分の立場だと、「スタートアップとの」という表現をすると、スタートアップがB(Business)で自社もBなので、BtoBで、その先にBかC(Customer)があると思います。
ただ、街づくりという観点でいくとちょっと違うと思っていて、街づくりだとBtoBtoBtoCなんですね。自社のB→アクセラレーターのB→スタートアップのB→サービスの受け手のCという構造になっているわけです。ですので、スタートアップだけでなくて、渋谷で活動するアクセラレーターが活動しやすい空間を作るかということについて、ハードだけでなくソフトのコミュニティ作りも含めて、いかにデザインできるかということを考えています。
アクセラレーターの人の集め方とかそういったものをオープンにして、アクセラレーターの方たちが活動しやすいようにする。その結果スタートアップも盛り上がり、渋谷の街が楽しい街になっていく、という構造です。
アクセラレーターは2014〜15年くらいから一気に増えてきたのですが、まだ堅いですね。大企業なども参入していますが、ベンチャー投資=単なるリスクマネーという感覚がまだ強い。そこにもっと新しい価値を認識し始められたら、もっと新しい動きが出てくるのではと思います。そこのつながりを円滑にしていきたいなと思います。
神通さん:
札幌と渋谷をつなぎ、札幌のイベントの告知を渋谷でやりますので、それについての考えを話しますね。
昨年と今年のSXSWに自分も参加したのですが、世界に一石投じたいと考えている人がとてもたくさん事に驚きまして……イベントを通してそういう人が集まって、それを世間に見てもらうのは大事なんだなと思いました。
今回NoMapsさんをお手伝いしているのも、そういった「世間にお披露目する、世間で実験する」ということが重要だと思っているからです。NoMapsさんは「社会実装の場」ということでやられているので、世間に一石投じたいと思っている人がチャレンジするチャンスです。イベントという場がそういう風に機能するのって大事だなと思ってやっています。
3rd sessionを終えて……
ー みなさん特定のテーマや場所を持って活動されていると感じましたが、そのテーマやその場所で活動する上で大切にしていることはありますか?
鈴木さん:
THE BIG PARADEは代官山でやらせてもらったんですが、街の歴史やキャラクターを重視して開催地を選びました。原宿は世界に名だたるKawaiiだし、渋谷は日本でいうタイムズスクエアみたいな活気のある感じですが、代官山は2011年にTSUTAYA T-SITEが立ち上がって、ヒルサイドテラスもあり、もともと知性と文化の街だったんです。カルチャーとテクノロジー、エンターテインメントをつなげるイベントと考えた時に、場所選びにも、その地域の歴史やキャラクターを考えて、それを活かすような形で開催するということは考えましたね。
街のカルチャーや、街のこれからのビジョンを考え、それに沿ったイベントを仕掛けていく。街イベントの仕掛け人はこんな事を考えてます。こういう話を聞くと、次から街で見かけるイベントはどういう思いでこのテーマ、場所を選んでいるのか考えるのが面白くなりそうです!
[ご登場いただいた皆さんが活躍されている場所はこちら!]
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