2017年6月17日、東京カルチャーカルチャーにて、ニフティとPeatixの共催イベント、「Community Collection Shibuya ( コミュコレ!渋谷 ) 2017」を開催しました!
土曜日の夜の開催にも関わらず、スピーカー25名、参加者総勢100名近くの方々にお集まりいただき、大盛況となりました!
大いに盛り上がった9つのトークセッションのレポートです!
Session3 「渋谷メディア x コミュニティ」
渋谷には、実はたくさんのメディアが集まっています!このセッションでは、テレビ、新聞、オンラインと様々なメディアで活躍する方々とお話しします。
ゲストスピーカー
・浜田 敬子さん (Business Insider Japan)
・市川 裕康さん(Social Company)
・花輪 裕久 さん(NHK)
・鵜飼 誠さん (朝日新聞社)
Business Insider Japan 浜田さん
浜田です。実はこちらにいらっしゃる朝日新聞の鵜飼さんの元同僚です(笑)
Business Insiderはですね、ニューヨーク発のオンライン経済メディアで、世界14ヶ国、日本は今年1月にローンチした媒体です。世界中で一億人の読者がいます。対象はミレニアル世代。若い世代を対象にした経済、政治、国際ニュースといった内容が中心です。
Social Company 市川さん
Social Companyの市川です。「コミュニティ」というキーワードが大好きで、ここ10年くらい、草の根コミュニティのイベントを企画しています。去年の12月まで、アメリカにあるMeetup.comというサイトを日本語に翻訳して、日本でもコミュニティ活動がもっと盛り上がるようにとコミュニティマネージャーとして活動していました。コミュニティマネージャーたちが集まる会というのもやっていて、彼らを応援し盛り上げることをやっています。
NHK 花輪さん
NHKの報道局の花輪と言います。クローズアップ現代という番組を担当していました。番組があまりにも60歳以上の方にしか見てもらえないという状況がありまして……その25分くらいの番組を一分間くらいに凝縮して、ソーシャルメディアに流しましょう!という取り組みをやっていました。そういうことをしていたのですが、NHKの中だけで新しいことをやろうとしても限界があるなと思い、ここにいるあずさんとタムラさんと、一般視聴者の方とコンテンツ作りをするアイデアソンのようなものを進めたりしています。
NHKにこれまでなかったことをやっていきたいなと思っていたら、こんなところに呼ばれちゃってちょっと緊張しています。
朝日新聞社 鵜飼さん
こんばんは、鵜飼です。今は朝日新聞社のマーケティング本部の仕事をしています。この4月まで、この先をちょっと原宿方面に行ったところの「朝日新聞メディアラボ渋谷分室」というところで、3年くらいいろいろなイベントのプロデュースをしたり、界隈の人たちと楽しく飲みながら、ウェーイって感じで和気あいあいと、ベンチャー企業とのイベントなんかもやってきました。
渋谷のメディアから見る「渋谷」という街
ー それぞれみなさん違うジャンルを得意分野とされているので、渋谷というキーワードで、メディアが渋谷という街をどう捉えているかというお話を伺いたいと思います。
じゃあまず花輪さん、実際に渋谷の土地の利みたいなものはあるのでしょうか
花輪さん:
いやぁ……特に、どうなんでしょうねぇ(会場笑)「渋谷とNHK」というとなかなか難しいなと思って。渋谷は若者の街と言われていますが、気づいてみたらNHKが今一番苦手なのが若者、というのはありますね。なので音楽のイベントとか、初音ミクとコラボしたイベントをしたりして、若い人にアプローチしようとしているのですが、正直抜本的に何か変わっているかというとそうではない。「渋谷とコミュニティ」ということで、どうしようかなと困っちゃってます(笑)こういう困った時は市川さんに……!
ー 市川さん、放送と渋谷とコミュニティというところで何かコメントありますか?
市川さん:
土曜の夜に、この場にこれだけの方がいらっしゃるというのは、本当に渋谷に勢いがあるということだと思います。最近、いろんなところでデジタルとかイノベーションというものを扱う場が増えてきていますよね。同時に、私たちをつなぐサービス、例えばFacebookなどのオンラインサービスが浸透し、時代としてローカルなコミュニティをソーシャルでつなげるという流れが盛り上がっています。
NHKさんもすごい場所をお持ちじゃないですか。そういう素晴らしい場所がありますから、ぜひそこをオープンにしてコミュニティイベントができるようになったらいいなと思います。
人と人のつながりの新しいかたちを模索する、新しい新聞社のありかた
ー オールドメディアの二大巨頭と言われる新聞社はどうでしょう、鵜飼さん。
鵜飼さん:
そもそもメディアラボができたのは、「新聞のビジネスだけではこれから私たち以降の世代からは生きていけない」という意識からです。私たち以降の世代のことも考えて動いています。
新聞という手法は、人という軸で考えるとけっこう面白い媒体で、さっきのセッションで「BtoBtoBtoC」という話がありましたが、新聞社で言ったら「人to人to人to人」って感じなんです。そういう人と人のつながりをすごく大事にしています。
そこから生まれるものは何かと考えた時に、他の場所でも場所を開くことはできるんでしょうけど、渋谷という場所に敢えて集まるというところに意味があると思っています。そうやって嗅覚をきかせて渋谷に来ましたから、いろんな人を繋げていったり、発信できる場を作れたっていうのは一つの成果だと思っています。
若い世代、「ミレニアル世代」へ
ー そしてそういう新聞社を卒業されてネットメディアに転職された浜田さん。渋谷という場所でグローバルに展開するメディアの支社に移られるということで、どんな思いがあったのでしょうか。
浜田さん:
朝日新聞社ではAERAという週刊誌を17年間担当してきました。40代が主流読者で、30代の読者を取りに行こうとしても、紙ではもうなかなか読んでもらえない。ものすごい苦しい戦いをやっていました。
いいコンテンツを作っているという自信はあったので、なんとかこれを届けたい。そうなったらもうデジタルに行くしかないと思ったんです。その時に(Business Insiderから)ご縁をいただいて、しかもアメリカではミレニアル世代をがっちり掴んでいる。日本でも若い人に向けてきちんとしたニュースを届けたいと思った時に、もう新しいメディアを作るしかないなと、決めました。
ーミレニアル世代ってよく聞くワードですけど、具体的にはどんな人なのでしょうか
1980年から2000年初頭生まれの世代の事をミレニアル世代と言います。アメリカでは非常に力を持っていて、マーク・ザッカーバーグなどがその象徴です。人数も多いので、消費などもその世代の影響を受けます。彼らお金使わないんですよ。消費の傾向がかなり変わってきていて、例えばコーヒーとか好きなものには使うけれど、高いブランド品は買わない。情報でも、自分が本当に欲しいと思うものにはお金を使うんです。でも家は買わない。そういう特徴があるんです。
花輪さん:
あと、社会貢献したいっていう気持ちもありますよね。
浜田さん:
そうそう、ソーシャルグッドね。コミュニティも大切にする。その世代に向けたメディアを作りたいなと。渋谷に拠点を置くことになったのは偶然なんですけど、そういう意味ではすごく渋谷的なメディアだと思います。
4月22日に、ここ東京カルチャーカルチャーで出させてもらったイベントがワークスタイルのイベントでしたが、たまたまBusiness Insiderの大きなテーマが「働き方」なんです。今、うちのメディアでは「働き方改革」ではなくて、「働き方自由化」というテーマを設けてます。時間労働じゃなくて、スタイルも自由であっていいんじゃないかというコンテンツ発信ですね。
渋谷には、東急さんはじめコワーキングスペースが日本一たくさんあります。働く=「正社員」、「フルタイム」ということを前提にしていたと思いますが、そうじゃないよなと思っています。私自身も転職をしたし、フリーランスとかその他でも、いろんな働き方があってもいいというのが渋谷なのかと思います。そういう意味で私たちも、渋谷で新しい働き方をコンテンツ化していきたい。そういうストーリーをもったコンテンツって強いんです。なので、そのストーリーを軸にしたコミュニティを作っていきたいですね。
Session4を受けて…….
ー みなさんメディアの立場でお仕事されていますが、メディア=媒体というのは、何かと何かをつなぐものかと思います。先ほど鵜飼さんからは「人と人をつなぐ」というお話がありましたが、皆さんはメディアを使って、何と何の出会いや、何と何のつながりを作っていきたいと思っていますか?
鵜飼さん:
先ほどの「人と人をつなぐ」ということから、もう少し話を発展させると、このような「場」を作ることの価値が、最近特に高まっていると思います。集まってくる人が「場」を使って自分を表現したり、何かを理解したり……そういうことの価値が高まってると思うんです。
そういうことを多く起こしていくことで、次の「場」を作る起爆剤になったり、あるいは違うコミュニティがそれぞれ作っている「場」をつなげていくことによって、広がりができていく。それは「場としてのメディア」だと思っていて、そういうことを行いながら何か事を起こしていく、それを広げていくということに私は興味があります。そういう試みに、メディアが何か一石を投じていきたいですね。
浜田さん:
そうですね。でもね、メディアができることってコンテンツを作ることなんです、絶対に。これは私たちしかできないって思いを持っているものがあります。もちろんコンテンツクリエイターの方ってたくさんいるんですが、メディアはまずコンテンツをきちんと作ることが大事。クローズアップ現代とかね、花輪さん!(会場笑)
花輪さん:
そうですね(笑) 今の「場」の話と近いんですが、NHKはプラットフォームになりたい。コンテンツを制作するのも大事なんですけど、テレビだけじゃなくてイベントなどもやりながら、みんなが出会う場、メディアというものを将来的に目指したいと思います。
市川さん:
コンテンツを作るのも大事。一方でこういうコミュニティを作るのも、情報発信をするのも結構大変。いま僕がお手伝いしている企画のひとつに、がんサバイバー・クラブという、がんと診断された方のためのコミュニティサイトがあります。今月6月にできたのですが、そこではいろんな新聞社、メディアが書いた記事を集めて、信頼できる情報を載せていくという取り組みをしています。そこでチャットが生まれたり、コミュニティが生まれたりするんです。
みんながみんな、記者とかライターにはなれない。でも、草の根活動をやっていく時には、みんなが「きっかけ」となって記事や情報を共有するだけで、会話が生まれたり、「じゃあ今度これについて話そうよ」ということになったりする。そうやって、情報がイベントを生んでいくこともあります。そうやってそれぞれのニッチなトピックについてみんなが目を配って、それが未来のイベントに繋がっていくような導線を作っていけたらと思います。
メディアがやってきたこと、これからやりたいこと。お話の中から、それぞれが目指しているものを伺うことができました。共通していたのは「人」というキーワード。人に伝える、人が集まる、人が動く。情報を発信するという印象が強いメディアですが、その先の「人」の動きのことを深く考えているのですね。渋谷メディアのこれからの動きも、楽しみです!
[ご登場いただいた皆さんが活躍されている場所はこちら!]
Session1 キーワードは「エンタメ」・「ダイバーシティ」!渋谷の土台の作り手が語る、これからの渋谷とコミュニティの関係性
Session2 「遊び場渋谷」から「働く場渋谷」へ!変な人と、それを支える人が集まる「新しい働き方の聖地」のつくりかた
Session3 街のカルチャーや未来のビジョンと共に作る、街を巻き込むイベントの仕掛けかた
Session5 行政・企業・NPOの多様な30人が、半年で渋谷を巻き込んだプロジェクトを世に出すまで
Session6 大都会の中のローカルメディア。彼らが大切に書いているものとは
Session7 NHKも伊藤園もやりたがる! アイデアソンでもハッカソンでもない「プロモソン」とは?
Session8 渋谷のランドマークQ-FRONT、 ドン・キホーテ、PARCOかSHIBUYA CASTの「住人」まで!? 渋谷の「場」はどのような思いで作られているのか