イベントのノウハウはなかったけれど、心の繋がった仲間がいた。ティク・ナット・ハン来日委員会インタビュー

ティク・ナット・ハン
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ティク・ナット・ハン  2015 来日招聘委員会

代表  宮下 直樹氏
講演会受付チーフ 金澤 悦子氏

マインドフルネスはご存知ですか?今という瞬間に意識を集中した心のあり方で、仏教における”正念”という概念です。主に瞑想で心を整えるもので、Googleやインテルなどがストレス対策として導入したことで、世界中で注目されています。このマインドフルネスの第一人者 ティク・ナット・ハン氏を日本に招聘しようと試みた主催者のお話です。最後にはイベント主催の哲学まで伺えた貴重な主催者ストーリーです。

 

−− Google本社や米国議会に招かれて講演もしているティク・ナット・ハン師の来日イベントに、どういった経緯で関わったのでしょうか?

宮下: 私は元来、神主ですが、神道と禅を日本文化の根幹をなす大切な伝統として、同時に学んでまいりました。2013年にティク・ナット・ハン師の教えを学ぼうとフランスのプラムヴィレッジに滞在しました。その際に、3.11の東日本大震災で来日が中止になったティク・ナット・ハン師より2015年に日本に来日したいという話が出てきました。

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撮影協力 日新窟(東京・芝公園)

ティク・ナット・ハン師は、日本では、そこまで有名ではありませんでしたが、Google が採用したということで話題になっている”マインドフルネス” の語を世に広めた人です。海外では、ダライ・ラマ法王と並び称される大変なお方です。ベトナム出身の禅僧、瞑想指導者、平和運動家、詩人でもあります。キング牧師から、ノーベル平和賞に推挙されたこともあります。

そこで、日本に戻り、私と大類隆博(共同代表)の2名で、ティク・ナット・ハン師の教えを学ぶ小さな集まりで、この来日の話を提案しました。しかし、その時は全員に反対されました。まだ機が熟していなかったのです。

 

イベントのノウハウはなかったけれど、心の繋がった仲間がいた

ティク・ナット・ハン師は大勢の弟子(サンガ=コミュニティのこと)と一緒に行動しているので、来日となると50人以上の僧侶団を2~3週間受け入れる体制が必要でした。自分たちのような小さなコミュニティではとても無理だろうとなったのです。

イベントの経験もなかったので、却下されるのも無理はないと感じました。しかし、そこで諦めずに、まずは自分たち2人でも来日の準備をすることにしました。私の古い友人や妹など信頼ある人に声をかけて仲間を集めました。例えば、今日一緒にいる金澤は、私の古い友人です。

金澤: もともと宮下さんが主催されている瞑想や野口体操などの勉強会に参加していました。そこでこの来日の話にも自然に参加することになりました。

宮下: イベントのノウハウはなかったけれども、信頼で心が繋がった仲間と共に、ティク・ナット・ハン師の教えを実践しつつ、その信頼を頼りに来日の準備を始めました。

 

しっかりとしたコミュニティを作ることから来日準備を始めた

−− 来日イベントの準備として、具体的にどんな活動をされたのですか?

宮下:  簡単に言うと、日本で受け皿になる、しっかりとしたコミュニティ(サンガ)を作ることから始めました。2013年にティク・ナット・ハン師の姪のアン・フーンさんを日本に招いて各地で講演会や勉強会を実施しました。この活動でサンガ(コミュニティ)の団結力が強くなり、始めは来日受け入れに反対だった方々も次第に実施に前向きになっていきました。

その後、ちょうど来日の一年前の2014年に、ティク・ナット・ハン師のお弟子さんたち5人を日本によんで、全て実際の 1/10 の規模でシミュレーションを実施しました。

ティク・ナット・ハン師は、世界ツアーをしているのでイベントの規模や概要は決まっていました。日本に来るとなると1800人規模の講演会と800人規模のリトリート(合宿)を想定していたので、この1/10の規模でシミュレーションを実施しました。

イベントは問題なく終えることができ、2015年の来日イベントもいよいよ現実的になりました。

 

−− 来日の講演会は1800人規模だったそうですが、当初、チケット販売はどうする予定でしたか?

金澤: はじめは自分たちでチケットシステムを構築するつもりでいました。プラムヴィレッジにはワールドツアーで使っている共通のシステムがあり、それを日本向けにカスタマイズしようと思いました。しかし、外国で作ったシステムだったので日本では不具合がある事がわかり、国内のチケット販売会社に委託することにしました。

私たちはチケット販売システムについて知識がなかったので、取り敢えず、大手チケット販売会社も含め全てのサービスを比較検討しました。

 

イベント集客や参加者とのメッセージ機能など、サービスが充実していた

−− その中でPeatixを採用したのは何故ですか?

金澤: 大手チケット会社は、コストが高いのはもちろん、参加者アドレスなどの情報の所有権が利用者側にありませんでした。申し込み後に、イベント参加者とコミュニケーションをとる手段がないのは、大変不便だと感じました。

また、大手のチケット会社は、チケット販売サービスだけでイベント宣伝などの集客まわりのサービスもありませんでした。当時はホームページを作るリソースやスキルがなかったので、Peatixのイベントページを受付ページとして利用できると考えました。

このような理由から、Peatixを使う事に決めました。

 

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マインンドフルネス講演会のステージ(2015年4月29日文京区シビックホール大ホール)

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来日ツアー中のイベント「富士山麓リトリート4泊5日」(2015年5月2日~6日)

 

 

Peatixコンシェルジュには、対話をしながら相談にのってくれるコミュニケーションがあった

−− Peatixの通常サービス以外に、Peatixコンシェルジュもご利用していただきました。

金澤:はい、Peatixコンシェルジュというオプションサービスでは、

  • イベントページの作成代行
  • イベントの受付サポート
  • 座席指定

をお願いしました。通常のPeatixのオンラインサービスとは別に、実際にスタッフを派遣してもらえるなど柔軟な対応と良心的な価格設定に魅力を感じました。イベント当日の受付サポートは、我々のような素人集団には大変心強かったです。

実際、ティク・ナット・ハン師が急病で来日できなくなり、チケットの売れ行きが芳しくなく想定外のことが多く起こりました。例えば、会場のシビックホールは2階席まである大ホールで、チケットは7000円から2000円の間で4種用意しました。

イベント3日前にスタッフで会場を下見した際に、手頃な値段の2階席は埋まっているのに、ステージ前の1階席に空席が目立つことに気づきました。ティク・ナット・ハン師の来日中止で座席位置で売れ行きにむらができていたのです。

そこで、一緒に下見に同行していたPeatixコンシェルジュチームに相談して、急遽、イベント当日の受付で、2階席予約者を1階の席に移動させるオペレーションに変更していただきました。

当日は、振替え先の座席番号を紙に印刷したものまでご用意いただきました。とても細やかな対応だと感じました。

とにかく、“コンシェルジュ”という名の通り、どんどん変わる状況に寄り添いながら、より良い提案をしていただけた事は大変心強かったです。対話をしながら相談にのっていただけるコミュニケーションがあったと感じています。

また、この移動で空いた2階席は、チケット購入者への感謝の気持ちを込めて、同伴者1名まで無料で開放する事にしました。このお知らせは、Peatixのメッセージ機能を使ってチケット購入者全員にお知らせしました。

イベント当日は、100名以上の方が無料の同伴者として来場しました。確かに、参加者にメッセージが届いていた事を実感しました。このメッセージ機能は、本当に便利で感動しました。

これら全ての変更は、イベントのたった3日前の出来事でした。

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多くのご来場者で埋まった客席

 

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イベントの参加者がボランティアとして加わり、どんどん仲間が増えた

−− イベントのスタッフは全てボランティアだったと聞きました。

宮下:  スタッフは全員ボランティアでイベント会社は入れていません。2名の声掛けから始まり、長い間、6名程度で準備をしていました。

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ティク・ナット・ハン招聘 Organizing Committee (組織委員会)のメンバー

 

その後、イベントを重ねる毎に少しずつ仲間が増えていき、最終的に今回のイベント終了時には、70人のボランティアスタッフにまで増えていきました。

イベントに参加してくれた方がボランティアとして加わり、どんどん仲間が増えました。みんな昼間は別の仕事を持っているので、平日の夜や週末に準備を進めました。

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富士山麓リトリート(歩く瞑想)

 

−− 具体的なイベントの準備はいつ頃から始まっていましたか。

宮下: かなり前から準備をしていましたが、例えば、今回使った文京区のシビックホールは、人気で抽選式のホールです。イベント1年前の2014年5月には当選が決まり利用が確定していました。

このように1年も前から着々と準備を進めている時に、2014年の11月にティク・ナット・ハン師が倒れてしまい、来日できなくなってしまいました。イベントの5ヶ月前です。

イベントの中止や規模縮小も検討しましたが、予定通りに実施することにしました。多少規模を縮小しながらも当初予定していた全イベントを実施することにしたのです。

1800人規模で想定していた講演会は、せいぜい入って半分程度だろうと考えましたが、せっかく当選したホールなので、そのまま利用することにしました。

この時を境に、私たちボランティアの意識が変わりました。ティク・ナット・ハン師に頼るのではなく、自分たちで実施してイベントを成功させなくてはいけないという気持ちが強くなり団結力が増したのです。

 

−− ティク・ナット・ハン師の不在で、イベントの集客は苦労したと思いますがどうでしたか?

宮下: 以前より、イベントに向けた種蒔き的な活動をしていました。例えば、出版社と連携して雑誌でティク・ナット・ハン師の特集を組んでもらったり、仏教関連の出版社に働きかけて4-5冊本を出版してもらいました。また、都内の大書店でティク・ナット・ハンフェアを開いたり、自分たちのWEBサイトで情報発信をしていました。

このような、リアルでの地道なイベント告知活動にどの程度効果があるのかは、確信があるというわけではありませんでした。

そこに、本人が来日できなくなり、講演会の集客には本当に苦労しました。

結果的には、イベントの1週間前にNHKでティク・ナット・ハン師の番組が放映されたのをきっかけに、一気に申し込みの波がきました。

Peatixの集客サービスも気になっていましたが、今回は利用しませんでした。しかし今でも、もし利用していたらどうなっていたのかは気になっています。

−− ありがとうございます。Peatixでは多くのイベントが立ち上がっていますが、マインドフルネスをテーマにしたイベントも多くあります。また、瞑想やお寺でのイベントなど今回のイベントと相性のいいPeatixユーザーは多くいるので、彼らにイベント招待メールを出すことでかなり効果はあったと思います。

 

Peatixを通して参加者と主催者の間でコミュニケーションができた

−− Peatixの通常サービスは基本的にオンラインで完結するDIYスタイルですが、使ってみてどうでしたか?

宮下: Peatixは素人の私たちでも操作が簡単で、座席や参加者情報の閲覧もとても分かり易かったです。

また、Peatixのイベントページは情報を更新すると、チケット購入者に追加情報としてメールが自動配信されます。NHKの放送予定をイベントページに追加した際、メールで情報を受け取って番組を見た方から、Peatixのメッセージ機能を使って番組の感想が届きました。

このように、Peatixを通して参加者と主催者の間で互いに情報交換するコミュニケーションができました。

 

イベント準備の過程を大切に、平和と友愛が育まれるように活動した

−− 想定外の事もおこったイベントでしたが、何か学んだことなどありますか?

宮下: イベントを運営するプロセスでは、成功するよりも仲間と”友愛”をはぐくむことをテーマにやってきました。ティク・ナット・ハン師からも、

自分をすり減らしてイベントを成功させるのではなく、イベントの準備そのものが生きた一つのコミュニケーションで、血が通った人間関係なのだから、準備のプロセスで、平和と友愛が育まれるよう活動しなさいという、メッセージを頂いていました。

これは、Peatixのサービスにも感じることができました。特にコンシェルジュでは、準備の段階から対話しながら相談でき、喜びや安心を与えてくれていました。

Peatixコンシェルジュは、我々の“マインドフルネス“のコンセプトと合ったサービスだったと思います。Googleも一生懸命習得しようとしていたマインドフルネスを、Peatixではすでに実践したサービスを提供されていると感じました。(笑)

 

−− 初めは、たった二人で提案して反対されたものが、ここまで大きく育っていった事は感動的ですね。

宮下: はい、TEDで有名な「デレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすか」の話そのものだったとみんなと話していました。

一人が裸踊りをしている時は誰も相手にしていなかったのに、それをともにエンジョイする二人目が現れて二人で楽しく踊っていると、次から次へと人が加わってきてムーブメントになっていくという話です。

この話では二人目がとても重要な役割ですが、全く同じような現象が起こったと感じていました。その大きな流れの中で出版社や、たまたまですが、結果としてテレビ局までが合流し、最後には安倍首相の夫人、安倍昭恵さんまでがイベントに参加してくださいました。来日ツアーで開催した8つのイベントのほぼすべてソールドアウト&キャンセル待ちとなりました。

そして来日ツアーが終わってもなお、このうねりは止まず、素晴らしかったプラムヴィレッジ来日ツアー2015を、一冊のドキュメンタリーブックにして残そうという企画まで生まれ、出版社サンガから、この10月に発売される予定です。

 

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安倍昭恵さんとシスターチャンコン

今回の一連のイベントで、日本各地に戻ったボランティアを中心に活動が盛り上がってきています。今後は、各地と連携を取りながら、ここで生まれた「マインドフルネス」のエネルギーをこの日本で育てていきたいです。

2015年6月

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