驚愕の5時間押し!! 警察も参加者も混乱気味だけど終始平和なストーンウォール50周年『WorldPride NYC』に参加してきた

どんなイベントでも、「現場」にはイベント特有の緊張感があります。トラブルが発生したとき、混乱をどう収めるかが主催者の腕の見せどころ。Peatixユーザーの中には、「修羅場をたくさんくぐり抜けてきた」なんて方もいるかも知れません。

もし、その「現場」が、慣れない海外でのパレード参加で、パレード自体の主催側も大混乱。3時間待てばよいのか、5時間待ちなのかも分からず、あるいは時間切れで中止になるかもしれない、なんて情報が錯綜していたら、どうしますか?

そんな状況を、笑顔とコミュニティの結束で乗り切った、東京レインボープライドによる ストーンウォール50周年『WorldPride NYC』参加の様子をレポートします。

*東京レインボープレイド共同代表の杉山文野さんは、以前、Peatixが主催するイベントEventSalonにご登壇頂いたことがあります。そのときの動画・テキスト書き起こしはこちら

*東京レインボープライドのウェブサイトにて、公式のレポートが発表されました。

 

 

2019年は特別な年

東京レインボープライドは、”LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「”性”と”生”の多様性」を祝福するイベントです”。毎年5月頃に、レインボーフラッグを掲げた「プライドパレード」や、大規模なイベントの様子をメディアなどで見かけた方も多いでしょう。

1994年に第一回のプライドパレードが開催、有志によるコミュニティ(任意団体)として組織化されたのは2011年です。2015年に法人格(NPO法人)を取得しますが、その成り立ちからして、草の根のボランティアによるコミュニティという色合いが強い集まりです。同じような活動をしている世界のレインボープライド関係者と、強いネットワークもあります。

さて、(少し前置きが長くなりますが)今年2019年は、彼らにとって特別な年です。というのは、世界中でプライドパレードが開催されるきっかけとなった「ストーンウォール事件」から、ちょうど50年という節目の年にあたるからです。「ストーンウォール」は今でもニューヨークに存在するゲイバーで、1969年の6月28日、捜査に入った警察と、その場に居合わせた人(今で言うところの「LGBTQ+」)たちの抵抗・暴動が起こりました。

当時は、LGBTQ+の人たちに対して不当な逮捕などが行われていた時代。それまでは黙って従っていた彼らがこの日を境に、差別や偏見の解消を訴え、人権運動へとつながっていくきっかけとなる運動をはじめました。 (筆者は現在ニューヨーク在住ですが、女性の権利向上や人種、移民問題など、マイノリティのコミュニティよる運動は数多くあります。そうしたコミュニティの活動にとっても、ストーンウォール事件から始まるプライドパレードが与えた影響は、決して小さくないでしょう。)

ストーンウォールイン

現在でも営業している ストーンウォールイン

運動は世界各国に広がり、ニューヨークでも例年、6月の最後に「PRIDE PARADE」としてパレードが開催されます。今年は、世界中のコミュニティを招待、ストーンウォール50周年と、プライドパレード運動の盛り上がりを祝って、かつてない規模の大きなパレードになるとのこと。

共同代表理事の山縣真矢さんにお話を聞くと、東京レインボープライドとして2019年のパレードに参加したいと思ったのが数年前。

3~4年前から、運営メンバーが定着し、組織として足腰がしっかりしてきた。まだまだ色々な問題はあるけど、2019年のパレードにTokyo Rainbow Prideとして参加する、というのが夢、目標になっていった

とのこと。去年、下見を兼ねた小規模な参加から、JTBとのツアーをアレンジするなど、着々と準備を進められてきました。

そして、2019年6月30日、いよいよその日が訪れます。

 

事前受付

パレード当日。現場の混乱をなるべく抑えるべく、昼過ぎにホテルのロビーで事前受付を行っていました。”Tokyo Rainbow Pride”チームとしての参加者は約200人。私のように現地在住の参加者も少なからずいたようですが、多くは日本からの参加です。

その日、ニューヨークの街中はレインボーで彩られ、パレードはすでに始まっています。受付しているスタッフの皆さんこそ街に出て、誰よりもこのお祝いに参加したいはず。ちょっと申し訳ない気持ちになりつつも、私達の本番は夕方。それまで、準備に取り掛かります。

事前受付

パレード当日にホテルで受付をしてくれた運営チームの皆さん

 

長い待機時間

私達のパレード開始予定は午後6時。余裕を持って、5時に集合、と連絡がありました。少し遅れて集合場所近くに到着すると、すでに人の海。本当に合流できるか不安になっていると「入場制限がかかった」と連絡が入ります。とりあえず行ってみようと思って近づくと、すんなり集合場所に入場できてしまいました。運営は大混乱の様子が伺えます。

”Tokyo Rainbow Pride”チームをまとめる二人の共同代表(杉山文野さん、山縣真矢さん)を見つけ挨拶をします。

本来、集合場所ゲートの開け締めをする係員がいないんです。一応警察が管理しているようです。さきほど、1時開始のグループが出発した、という情報がありました。すでに4時間押しています。我々の順番がいつになるか、まったくわかりません

とのこと。

1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、日の明るいうちに予定されていた開始時刻でしたが、待っている間にすっかり暗くなりました。一時的に集合場所を抜け出して、軽食を調達したり、バーで一杯飲んでくる人もいます。

4時間押しだ」「5時間押している」「道路封鎖の取り決めの関係で、このチームは無理かも知れない

という情報も聞こえてきました。しきりに問い合わせる他の参加者に応えつつ、代表二人に焦りの表情は見えませんでした。ようやくここまで来たという安堵感か、それとも数多くの現場をくぐってきた経験からか、その両方でしょうか。


日本からの参加者も、同じエリアで待つ他のチームの参加者も、とにかく待たされました。それでも、不満や怒りを表したりすることはなく、平和な雰囲気を楽しんでいました。

 

明るいうちに集合写真

明るいうちに集合写真。パレード開始が何時になるか、まだわからないけど。。。

 

 

パレード開始

6時開始予定が、とうとう11時に。ようやくゲートが開きます。

沿道の人は帰ってしまったのではないか、と心配しましたが、さすが50周年のニューヨーク、多くの人がパレードを最後まで見届けようと盛り上げてくれました。


東京レインボープライドチームの中には疲れてきている人もいましたが、装飾されたダブルデッカーバスが合流すると、テンションが一気に上がります。そして、さすがはプライド「パレード」チーム。安全面や進行に気を配りつつ、周りを盛り上げます。慣れたものです。おかげで、いつも東京でパレードに参加している人たちも、今日初めて参加した人も、一緒になって楽しむことができました。

パレード

 

*ちなみに、筆者はニューヨークでハロウィーンパレードをはじめ、何度もパレードの参加経験があります。ここは先導を切って盛り上げねば、と張り切って、大声を上げて沿道の人達とハイタッチ! おかげで、現在、1日遅れで来た筋肉痛と、喉の痛みに苦しんでいます。。。

パレードの途中、共同代表の山縣さんに声をかけたら

「夢が、かないました」

と、噛み締めながら言っていたのが印象的でした。


*パレードそのものの様子は、BuzzFeedに写真と動画がまとまっています。


パレードを終えて

東京レインボープライドは、草の根のボランティアコミュニティに始まり、法人格を取得し、海外でパレードに参加するまでに成長しました。渋谷区長が参加するなど、政治・行政への影響力もあります。大手企業からの支援もあります。その意味では、Peatixの多くの社会活動的なコミュニティにとって 先駆者的な存在です。

この体験から、東京レインボープライドチームから、コミュニティから、何を学べるでしょうか。本当は、皆さんの学びになるようなことを書きたかったのですが、うまく言葉になりません。

長い待ち時間を利用して、運営メンバーの一人の学生と話をすることができました。ニューヨークの印象や、活動への想いなど、素直な気持ちを話してくれました。もしかしたら、この「現場」の時間の積み重ねが、コミュニティにとって一番重要なことのような気がします。この経験を積んだ彼らが将来、このコミュニティを率いていく存在になるかも知れません。

また、コミュニティが社会を変える力があるとしても、時間がかかります。ストーンウォール事件から50年、小さな集まりが世界に広がり、15万人が参加するパレードになったことは素晴らしいことですが、50年は本当に長い時間です。コミュニティの力によって社会が変わる、といのはそういう長い時間軸の話なのかも知れません。

Peatixとして、今日のお祝い・お祭りムードの中にも、50年前を見つめ、そして今ある小さなコミュニティの、50年後を考えたいと思います。


最後に、Peatixは、参加者の事前集金のためにご利用いただき、また、わずかながら活動費をサポートさせていただきました。ありがとうございました。

気合い入れてパレードに参加した筆者 (左)

気合い入れてパレードに参加した筆者 (左)

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