[#EventSalon vol.8]参加者5万人以上、東京レインボープライドが活動を通して絆を深めるために心がけていること

イベントサロン vol.8「つながり」が生まれるイベントのつくりかた

今年は5万人以上の方が参加!あらゆる参加者をフラットにつなぐ秘訣とは?

NPO法人 東京レインボープライド 杉山文野

東京レインボープライドは、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)が、差別や偏見にさらされることなく、より自分らしく、前向きに生きていくことができる社会の実現を目指し、つながる「場」を提供しています。個々のセクシュアリティを問わず、活動を通して絆を深めるために心がけていることとは?共同代表の一人である杉山文野さんにお伺いします!

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自己紹介

杉山文野です。よろしくお願いします。話を始める前にちょっと乾杯させてもらっていいですか?では、よろしくお願いします。乾杯。

つながりを作るっていうことで、僕乾杯以外につながりを作る方法をあまり知らずでして、ほんとに飲みニケーションっていうのだけを大事に今まできて、逆に言うと飲みニケーション以外で「どうやってイベントを作ろう」とか「どうやってつながりを作ろう」とかってあんまり考えたことがなかったので、今日もちょっとまとまりのない話になると思いますが、とにかく思いのままにちょっと話してみたいと思います。

東京レインボープライドとは

今ご紹介にあったように、この東京レインボープライドっていうのは、セクシュアル・マイノリティの人たちがより自分らしく生きていける社会を作りましょうみたいなことを掲げてやってるんですけれども、一番大きなイベントは毎年ゴールデンウィークに代々木公園を使って「プライド・パレード」という、当事者とその支援者たちが街を練り歩いたり、あとは代々木公園の会場を使ってイベントをしたりということで、ちょっとその映像をご覧いただければと思うんですが。

こうやって会場にはずっとブースがあって、今年は5万5000人ぐらいの方が2日間で来場していただいて、パレード自体は3000名ぐらいの方が歩かれたんですけどもこういったステージイベントですね。ドラァグクイーンの方とか、当事者の方だったりそうじゃない方たちがいろんなパフォーマンスを行ったり。

実はこのイベント、1994年に日本で初めてプライド・パレードっていうのがあったんですけれども、それから約20年間、うまくいった年もあればできなかった年もあったりなんですけど、特にこの数年LGBTなんて言葉を聞く機会も増えてきたと思うんですが、2012年の時のパレードは参加者が4500名だったんですね。実は今年5万5000人ってことでこの3年間で12倍以上規模が大きくなっているという、いろいろインターネットの普及だったりとか、世の中の流れ・世界的な流れもあると思うんですけれども、そういったことも影響にあるのかなと。

昨年は安倍昭恵首相夫人もいらしていただいたとか、割りと「我らに人権を」みたいなことからもう少しフェスティバルのように変わってきたかなというふうに思ってます。最近は、結構政治の世界でもこのテーマについて語る機会も増えてきて、様々な政治家の方とか各国大使館の大使なんかもいらしてスピーチなどを行っていただいています。

5万人のイベントを全員がボランティアで運営

5万人とイベント規模は大きいんですけれども、スタッフ自体は全ボランティアでやっています。運営スタッフはだいたいコアで関わってるメンバーが20人いるかいないかなんですけども、それからボランティアという形でゆるくいろんなところとつながって、皆さんが自分の持ってるスキルを生かしながらやろうと。パレードの当日ボランティアなんかは200名ぐらいの方がボランティアしてくださってるんですけど、5万人規模になっても10人20人で動いているっていうのが実質のところです。

一番トリを飾っていただくのはいつも割りと著名なミュージシャンの方に来ていただいて、この時は夏木マリさんでしたね。あとは、今年は清水ミチコさんなんかにもいらしていただいたりとか、ミッツ・マングローブさんなんかにもいらしていただいたり、割りとそういった方々も――もちろんちゃんとギャラはお支払いはしているんですけれども、こういった趣旨に賛同するということで割りとハードルは下げていただいたりとかしてやったりもしています。

全国でこのパレードというのは、プライド・パレード――自分に誇りを持とうっていうことで「プライド」というのと、「レインボー」っていうのは性の多様性を象徴するということで世界共通のフラッグなんですけれども、例えばサンフランシスコとかニューヨークに行くと100万人規模のプライド・パレード。ちょうど僕、今週末に行くんですけれども台湾のプライドがアジアでは一番大きくて、だいたい7万人~8万人ぐらいの規模というふうに言われています。

レインボーウィーク・キャンペーンとは

これはざっとイメージを掴んでいただくために10分間のVを飛ばし飛ばしでやったんですけども、今日は実はここに来てからちょっとスライドを変えようと思って、パパッと写真だけを貼り付けたスライドになりますが、先程ご紹介にもあったとおり、パレード一日だけではなくてもっとよりいろんな人に参加していただきたいなというところから、「レインボーウィーク・キャンペーン」っていうのをこの3年間で始めました。

ゴールデンウィークの約十日間にセクシャリティに関する様々なイベント、大小規模は関わらず様々なイベントを行っています。例えば、これはLGBTと企業という切り口で企業・職場におけるLGBTの働きやすさの改善だったりとか、そういったLGBTの人たちに向けた商品開発をどうするかみたいなことも含めた、企業とLGBTといったようなイベントだったりとか、映画祭・エンターテイメントとLGBTということでLGBTに関連した映画の上映をしたり。

そこにちょうどゲストで来てくれたのは、世界で初めて同性婚を作った立役者であるボリスさんっていうオランダの政治家の方なんですけれども、ゲストに招いてトークショーをしたり。あと、この下の二つは「カラフル・ラン」って言ってこれは何の難しいこともなくカラフルな格好・思い思いの格好をして街を走ろうということで、為末大さんをゲストに招いてゲリラ的に表参道をただみんなでカラフルな格好して走るみたいなことをやったり。

あとは、クラブイベントみたいなのもやったりですとか。これは渋谷のVISIONっていうクラブが結構フロアが何フロアにも分かれてるんですけども、そこをレズビアンフロア・ゲイフロア・トランスジェンダーフロア・みんなのフロアみたいな感じでいろんな方にお声がけして、それぞれのDJを招いてイベントやってみたいなこともやって、これもかなりの人数いらしていただいたんですけども。

あとはLGBTとファミリーということで、現在ではレズビアンの方でもゲイの方でもお子さんを育ててらっしゃる方っていうのはいて、でもなかなかそういった方たちの交流がないってことで、ピクニックをやったりこんなイベントをやったり。

今まで紹介していたレインボーウィークという中でイベントをやるんで、それぞれが独立採算でやっていただいています。いろんなイベントを主催されている方がこの期間に「東京レインボープライドのレインボーウィーク・キャンペーンの一環として、イベントをやってください」ということで独立採算で呼びかけてるんですけれども、僕は東京レインボープライドという団体とは別に「ハートをつなごう学校」というLGBTの子どもたちのサポートをするようなイベントをやっていて、これは山田邦子さんに「ハートをつなごう合唱団」って音楽の授業をやってほしいということでお願いをしまして、LGBTの子どもたちとかそのご家族なんかを呼んで合唱の授業をやったり。

ちなみに言うと、これも山田邦子さんもただ飲み屋で隣り合わせたのがきっかけでお誘いしたという、そんな飲みニケーションでございます。あと、これもハートをつなごう学校のイベントなんですが、あまり時間がなさそうなのでどんどんいっちゃいます。

渋谷区・同性パートナーシップ条例ができるきっかけ

イベントだけじゃなくて――こういったつながりお聞きになったことあります?同性パートナーシップ条例。「渋谷区で証明書が発行されるよ」なんていう、特に今日初めて申請の手続きが始まってニュースになってたかと思うんですけれども、こういったことは日本では初めて。

同性同士にパートナーシップの証明書を発行しようというものです。ただ、これも「何でこんな急に渋谷なんだ」というふうに聞かれるんですが、これも実は結構飲みのつながりから始まっていて、

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これ10年前の僕ですね。まだ女子大生というかボーイッシュな僕という感じだったんですけど、隣に写ってるのが現・渋谷区長の長谷部健さんです。

10年前の写真なんですが、これ「ソトコト」に取り上げてもらった時のもので当時ちょうど10年前に性同一性障害のカミング・アウト本ということで僕が本を出したタイミングぐらいで、たまたま友達に誘われて「ごみ拾い行こうぜ」って言われたんですね。

「ごみ拾いって何すか、罰ゲームですか」みたいな感じで行ったんですけど、行ったら楽しくみんなでわいわいごみ拾ってて、必ず終わった後にご飯食べに行ったり飲みに行ったりするので何かそういうのがいいなと思って参加して、ちょうど渋谷区議の一期目の時ですね。長谷部さんがグリーンバードを立ち上げた方だったので仲良くなって。そしたら「へえ、お前みたいなやついるんだな」というのがスタートで、その後にちょうど本を出したら全国の当事者の人たちが「僕もそうです」「私もそうです」「でも誰にも言うことができません」っていうようなメッセージを全国からもらって、でも1000通とか2000通とかそんなの返しきれないんで「僕は月に何回かグリーンバードってところで掃除してます、もしここに来てくれたら会えます」ってのだけをブログに書いてたら、どんどん当事者の人たちがグリーンバードの掃除に集まってきて、長谷部さんが「ほんとにいっぱいいるんだな」と。

「こんだけいっぱいいるんだったら、せっかくだから渋谷で何かやろうぜ」ということで、そんな提案が5年ぐらい前にあって、そのつながりからこういった条例につながったと。

人をつなげるツール

表参道で始まったんですけれども地元・歌舞伎町――実家が歌舞伎町でとんかつ屋をやってるので地元でも何かやりたいなということで、歌舞伎町でごみ拾いを始めたり。そしたら、歌舞伎町に仲間がたくさんできて今はこんな街づくり、神輿、街を盛り上げるような活動もやったりしています。

時間が伸びてるんですけども気にせずに話したいと思うんですが、

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これは神宮前二丁目でご飯屋さんをやっていて――基本的になりわいはレストランを1軒とバーを2軒やっています。これもセクシュアル・マイノリティの人もそうでない人も交わる接点が作れたらいいなっていう思いで作っていて、いわゆる普通のエスニックのレストランなんですけれども、スタッフの半数がLGBTの当事者の子たち。まだまだそういった子たちの雇用が大変なので、そういうのをオープンに働ける場所を作っていこうという思いでやっています。

飲食店ってやっぱり人をつなげるツールだなと思っていてイベントをやる時もやりやすいですし。実はこれ、私日本女子大学で女子高生をずっとやっていまして、女子校の同窓会をやりました。そうすると、僕一人だけおっさん真ん中に立ってるんですけれども、昔はセーラー服を着ていた仲間です。場所を持っているとそうやって結構つながりやすいんですよね。わざわざ待ち合わせしたりとかしなくても、みんな「文野がお店始めたんなら行くよ」って来た人同士がまたつながったりして。そういうことで言うと毎日イベントやってるようなそんなお店です。

ホストとごみ拾い!?

実は僕世界一周もしたことあるんですけど、日本全国も周って全国の当事者から「会いたいです」ってメールをもらうので、全国で講演活動もしていて必ずその講演で現地に行くと、昼間講演をして夜は現地の当事者の子たちと飲むというのを続けてまして、これも基本的に男性に見える人は全員女子です。なんですけれども、全国の当事者とそうやってまた飲みニケーションという形でつながっています。

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とにかく飲み・飲み・飲みっていう感じでこれはシャンパンボトルを一気してる様子なんですけど、実は、歌舞伎町グリーンバードの周年パーティーは毎年ホストクラブでやっています。

例えば、歌舞伎町でボランティアとかホストとごみ拾いみたいな対極を組み合わせるのが面白いなと思っていて、実はホストのお兄ちゃんたちとこの10年ごみを拾っているので、一人なんと3000円という参加費でシャンパンを10本も空けながら毎年お祝いをしてて、必ずその時は僕はシャンパンボトルを一気するというのを10年間続けています。

そんなことを続けていたらたくさん仲間が集まって、これは日本のパレードじゃなくて台湾に行った時のものなんですが、とにかくいろんなところで飲みニケーションしているといろんなところでいろんな人がつながって、それをまた自分のメインのイベントに持って帰ってくるっていうのが、このつながりを作ったりイベントを大きくする秘訣なんじゃないかと僕なりに思っていて、なのでやっぱり今日も飲みたいと思っています。どうもありがとうございました。


質疑応答

庄司:ありがとうございました。今日、渋谷区の同性パートナーシップ条例申込開始の日ですから、これはおめでとうございますでいいんですよね?おめでとうございます。

杉山:ほんとにいろんなことがありましたが、何とかスタートすることができました。

庄司:世田谷で始まるんでしたっけ?

杉山:証明書発行スタートは5日に渋谷も世田谷も同時で、渋谷区の場合は申請してから手続きに時間がかかるので、今日から申請手続きの申し込み開始ということです。

庄司:いろんなご苦労があったかと思いますが、まずは大きな一歩ですね。ちょっと活動自体いろいろ聞きたいこともあるんですけど、今日はEvent Salonなのでイベントの事について聞きたいんですけど。呼びかけをして集まるっていう感覚がすごいなと思ってて、「飲みに行きましょう」って言って全国どこででも集まる感じ?それはどういう感じで連絡が来るの?個別に連絡が来て「みんなおいでよ」っていうのをずっと連絡来る人に返事をしまくってる感じなんですか?

杉山:もともと10年前に本を出した時に、まだ性同一性障害なんて言葉もほとんど認知がない時だったので、顔も名前も出して表に出てるのはほんとに水商売の人か、一部の活動家の方たち。当時まだ学生だったので「こんなすぐとなりにいるような兄ちゃんでもそうなんだ」っていうのはすごく珍しくて反響があったみたいで、全国の当事者からメッセージをもらって。でも、基本的には「つらい、苦しい、助けて、死にたい」のメッセージなんですね。それを何かポジティブにできないかな。「そうだよな」って一緒に悩むんじゃなくて「とりあえず一杯飲もうぜ」みたいな感じでできたらいいんじゃないかと。とにかく個別には返せなかったんですけど、いろんなことがあって逃げるように海外に僕も2年間ぐらい行ってぷらぷらしてたんですね。
というのは、いわゆるセクシャリティのことは関係ないよって出した本なのに、結局「性同一性障害の文だ」と。「グリーンバードの杉山文野さんは性同一性障害を乗り越えて掃除をしています」って新聞記事が出た時に、「掃除と性別関係ないだろ」と。でも、そのくらい何かすれば性別のことを言われてすごくしんどくなって、逃げるように海外に行って「海外に行ったらもっと楽に暮らせるんじゃないかな」って思ったら今度は「sheなのかheなのか」「Mr.なのかMs.なのか……」とまた世界中で性別を問われて。最後、南極線に乗る時も男性と部屋をシェアするのか、女性と部屋をシェアするのかで揉めて。「こんな地の果て行ってまでも自分から逃げれないんだな」と。「だったらば、今いる場所を心地よくしよう」って思ったのが一つだったんですよ。それで、世界周って帰ってきた時に何するかって言ったら、いわゆる普通に会社に就職しようと思って、就職を9月に決めて6・7・8の3カ月で日本全国を周って、最後に自分にできることをやろうと思って全国周って全国の当事者に会う旅をしたんですね。北海道行ったら「今日はここで飲んでます」っていうのだけをブログとかに上げて、九州いったら「今日はここで飲んでます」っていうのを上げて。そうすると、だいたいその飲み屋に来てくれるんで乾杯しまくったという。

庄司:文野さんが中心になって飲み会がありますよね。参加者同士もつながったりするんですか?

杉山:もちろんそうですね。そこでつながって、そうすると結局話せる人がいないと。誰にも相談できない、そういう人・場所がないって子たちがつながりを持つとそこにコミュニティができるんで、コミュニティを作っては次にっていう感じでやってますね。全国鍋ツアーってやってます。

庄司:ほんとにつながりたいニーズがあれば、集まってきてつながるもんだっていうことですね。

杉山:そうですね。分かりやすい共通項があったりするので、しかもその共通項をなかなか共有できる場所がないっていうことで、それを何か当事者たちの傷のなめ合いみたいなことじゃなくて、もっとポジティブな形でできないかなっていうのをずっとやってます。

庄司:なるほど。皆さんから質問ありますか?飲み会ってどんな雰囲気なんですか?

杉山:飲み会は結構初めましての子がポンッと来たりするんで、結構みんなドキドキして来るんですよ。

庄司:それでカミング・アウトするわけですよね。そこで初めて他の人にっていう人もおそらくいらっしゃるわけですよね。

杉山:そうですね。それこそ「今まで30年も50年も誰にも言ったことがありません」みたいな人がドキドキして来て言ったりするんですよ。

庄司:すごい堅い感じになるわけじゃないですか。

杉山:その堅さを見せる前に「とりあえず乾杯しよう」っていう感じで。基本的には僕が声をかけているので、そこにものすごい否定的な感じで参加される方ってことは基本的にはないのでみんなちょっとドキドキしては来るんですけど、お酒も入ってくるうちになんとなく打ち解けて仲良くなってそこ同士がコミュニケーションを取り始めると次の街へ……じゃないですけど(笑)。

杉山:実はグリーンバードの歌舞伎町チームっていうのは、ほんとに一時LGBTの子たちがすごく多くて。でも、それも別に、例えばそういう性同一性障害の集まりをやりましょう、オフ会をやりましょうっていうんじゃなくてごみ拾いなんですよ。いいも悪いもごみ拾いなので、やっぱりそういう当事者の集まりに行くってなるとちょっとハードルが高かったり「誰か友達にバレちゃったらどうしよう」とか、行くのに自分の事もなかなか受け入れられないのにそこに行くっていうハードルあるんですけど、ごみ拾いなんで「ごみ拾いにボランティア行ってくる」って言って家族に反対されたりってあんまりないじゃないですか。セクシャリティって目に見えないんで「どうしようかな」ってとりあえず掃除参加して、いいたくなければ言わなくても別に掃除しに来た人みたいな感じで、結構ハードルが低かったんですよね。
それでグリーンバードの長谷部さんの合言葉が「できるかぎり」っていう言葉だったんで僕もそれがすごく居心地が良くて、なんか「がんばり過ぎちゃって辞めちゃうよりはできる限りで続けてこうぜ」みたいなのが、当時ちょっとがんばり過ぎてた自分には心地よくてグリーンバードを好きになったきっかけだったんですけど。今、グリーンバードって全国に70チームぐらいあるんですけど、その歌舞伎町チームをずっと担当してて歌舞伎町はとにかく掃除はできる限り。飲みはできる限り以上にってそれだけをずっと呼びかけて(笑)。毎回掃除したら飲む。掃除したら飲む。雨で掃除が中止になっても飲むみたいな。だから掃除した回数より飲み会のほうが多いです。

庄司:そこで仲良くなって飲んで、気がゆるんでいろいろあってそこで初めて自分の事を明かして、相手もそのことが分かって友達になるみたいなそういうのがたくさんあるんですね。

杉山:そうですね。それで、グリーンバードのチームリーダーになる条件ってのを長谷部さんが決めてたのが「合コンを仕切れる人」ってのだったので、まさに(笑)。そういう意味では必ず初めてきた人をわっって回してみんなみんな仲良くワイワイやろうぜ、みたいなのを全国でやってきた感じですかね。

庄司:素晴らしい仕組みです。質問がある方はいますか?

質問者:若干ネガティブなことなのかもしれないですけど、FacebookとかTwitterとかで公開したりする場合、例えば「知られたくない」っていう人も参加されると思うんですね。そういうので気をつけてることはありますか

杉山:そういうのはやっぱり気を使いますね。みんながみんなカミング・アウトしたいわけではないので、そういった場合には「写りたくない人はちゃんと抜けてね」とか、「顔隠してね」ってのは個別に任せてますね。その辺はやっぱりある程度気を使わないと難しいところあります、確かに。

庄司:他に質問がある方はいますか?

質問者:今日はありがとうございました。先程TABIPPOさんなんかはみんなが話しやすい中で、どっちかっていうと話しにくいネタになるかと思うんですけど、私マイノリティでいうと視覚障害に関わるイベントをやってるんですけど、いわゆるストレートな方々と交流をする仕掛け作りみたいなところをお聞きしたいのですが

杉山:その一つが、全てがそうだと思ってるんですけどやっぱり僕は飲食店っていうのが一番自分としてはやりやすくて、飲食をなりわいにはしてるんですけど突き詰めると飲食じゃなくてもいいと思っていて、そういったいろんな人たちが様々なカテゴリーを超えて集える場所作りの一つのツールとして飲食店をやったり、ごみ拾いをやったりという中では「とにかくおいしいご飯出そうぜ」と。おいしいご飯あったら、別にセクシャリティも何も関係なくいろんな人が来るでしょ、と。なので、うちのお店は一応外にレインボー・フラッグを出してる以外は――かといって別にメニューにLGBTって書いてるわけじゃないですし、いわゆる普通の飲食店なんですけど食べてる間に「そうか、スタッフの人ってそうなんだ」とか「ここってこういうコンセプトがあるんだ」って後から気づくぐらいがちょうどいいなと思っていて、LGBTの人もそうじゃない人もいわゆるクローズドな場所じゃなくて、普通の生活する場所にどれだけその接点を作っていけるかってのが大事なんじゃないかと思って、そういう場所づくりを心がけてます。

庄司:「アライ」って言葉知ってますか?アライっていう言葉を説明してもらってもいいですか?

杉山:アライっていうのは、ストレート・アライという言い方をするんですけれどアライアンス。要はそういった人たちの支援者。自分は当事者ではないんだけれども、そういう人たちの支援者なんですよっていうことでアライという言い方をするんですけど。こういった活動の一番大事なのは、どれだけ周りの皆さんにアライになってもらうかっていうことでもあって。でも、そうすると僕たちも気をつけなきゃいけないのが、みんなに「アライになってください、支援者になってください」と言うからには、自分たちもまた違うイシュに関するアライになる必要があるなと。そういった相互作用をやっていけたらいいなというのと、対極を掛け合わせる。知らないところとか全然関係ないところを掛け合わせて一緒にやるっていうのはすごく大事だなっていうふうにも心がけています。

庄司:そのアライっていう言葉を半年前に知ったんですけど、ピーティックスで東京レインボープライドさんの協賛をさせていただいたりしててイベントもやったんですけど、アライって言葉を知らなかった時は、「僕当事者じゃないんで」って言うのって何かすごい距離を作るじゃないですか。でも、「アライって言うんだ、僕アライなんですけど」って言うとその立場があるというか、役割がちゃんとあるんだなと思っていて。特にマイノリティの問題って、当事者と言いますけど「社会を変える」とか「人々の認識を変える」って意味では全員が当事者ですからね。そういう意味ではアライっていう言葉を作るだけで、割りとセクシュアル・マイノリティじゃない人も活動に関われる理由がはっきりするなと思ってて、そういう言葉があるっていうのも素晴らしい取り組みだなと思っています。そういうことで東京レインボープライドの杉山文野さんでした。ありがとうございました。

杉山:どうもありがとうございました。

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【EventSalon vol.8「つながり」が生まれるイベントのつくりかた】

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