アートは孤高のもの?コミュニケーションできるもの?誰でも気軽に楽しめるもの?様々なキーパーソンが語る、多様なアート観/コミュコレ!×イベントサロンvol.1 [Session6:コミュニティ×アート]

2017年11月21日、東京カルチャーカルチャーとPeatixの共催イベント、「コミュコレ!×イベントサロンvol.1」を開催しました!

2017年6月、渋谷のコミュニティのキーパーソンが集結した「コミュコレ!渋谷」を拡大し、

東京カルチャーカルチャーとPeatixの「コミュニティソムリエ」がイベント・コミュニティに関わる人たちを紹介していくイベントです。

 

Peatixは2013年よりイベント・コミュニティ主催者のためのイベント「イベントサロン」を開催しており、そこに登場していただいた素敵な主催者さんを紹介しました。

多岐にわたる7つのトークセッションレポートです!

 

アートは孤高のもの?コミュニケーションできるもの?誰でも気軽に楽しめるもの?様々なキーパーソンが語る、多様なアート観

[Session6:コミュニティ×アート]

 

ゲストスピーカー

宮下 亮さん(THINKR, Inc.)

大山 友郎さん(LIMITSアートバトル企画運営)

川上 悠一さん(ホリプロ)

タムラカイさん(ラクガキコーチ/ FC POP)

<宮下さん>
THINKRというデザインの制作会社でプロデューサーをしています。渋谷のPARCOの中に2.5Dというスペースがあって、ライブもトークショーもできる場所だったんですが、それをインターネットで全部配信する「ソーシャルテレビ局」という名前で運営していたメディアに携わっていました。

 

<大山さん>
デジタルアートバトルLIMITSというイベントをやっています、大山です。よろしくお願いします。11月に、この東京カルチャーカルチャーを会場にして大会をやりまして。

<ソムリエ河原>
衝撃でした、最高でした。初めて行ったんですけど、シビれました。簡単にデジタルアートバトル、どんなのなのかご説明をお願いします。

<大山さん>
アーティストがこのステージに2名、ランダムに呼ばれて、お題のテーマで20分間で絵を描きあげます。審査員と会場の投票で、どちらかが勝つというものです。アートなので甲乙付けるのはあんまり良くないですが、そういうことをやってアートの世界をもっと知ってもらおうという取り組みです。

 

<川上さん>
ホリプロの川上です。僕はホリプロの中でも絵を描く方のアーティストのマネジメントをやっていて、アーティストと一緒にビジネスをしていくということをやっております。

 

<タムラさん>
タムラと申します。普段は会社員をしているんですけど、FC POPというのはこちらの河原さんと一緒にやっているユニットで、いろんな企業のイベントやワークショップをプロデュースしています。あとはグラフィックカタリストビオトープというチームを作って、絵を活用して議論を活性化していくグラフィックファシリテーションの活動をしています。

僕自身、絵を描くのが好きなんですけど、世の中全ての人に絵を楽しいと思ってもらいたくて、ラクガキコーチというのもやっています。誰でも簡単に描けるイラストを活用して、何かを考えたり伝えたりするというものですね。

 

若手アーティストはすでにコミュニティを持っている。メディアが持ち上げなくても、彼らのSNSで集客できる時代に

宮下 亮さん(THINKR, Inc.)

<ソムリエ藤田>
聞きたいことばっかりですね。宮下さんは2.5Dや、PLUG IN STUDIOを渋谷でやってきて、渋谷のサブカルチャーにずっと寄り添ってこられたと思いますが、サブカルチャーの変化みたいなものは感じますか?

 

<宮下さん>
僕らが2.5Dを始めたのが2011年の震災の時だったんです。2011年の5月に小さいライブハウスでスタートしました。当時はネットレーベルと言って、インターネットでアーティストやクリエイターの音楽を配信していくということをやっていました。

当時はUSTREAMなどが最盛期だったので、こういったイベントをどんどん世の中に発信していこう、若いアーティストやクリエイターをもっと世間に知ってもらいたいと思ってやっていて。その活動を1年半くらいした時に、渋谷のPARCOさんがフロアをリニューアルした時に呼んで頂き、スタジオを持たせて頂いて。

インターネットを使いこなすアーティストやクリエイターはコミュニティを持っています。昔はメディアが持ちあげる必要がありましたが、今は彼らの力でもう既にコミュニティができている。そこからSNSで集客とか宣伝をする。会場に来ているのは100人くらいですけど、ネットで見てるのは数千人。それは非常に面白いと思ってます。

 

小さなコミュニティで満足しがちな人を、「もっとできるんじゃないの」と後押ししたい

大山 友郎さん(LIMITSアートバトル企画運営)

<ソムリエ河原>
ではLIMITSの話を。大阪で始まったんですよね。

 

<大山さん>
はい、大阪で2015年の5月に始めました。僕らは実は、コミュニティというものは考え方によっては危険なものだと思っています。クローズドな世界になって、本来もっと広がれるものを抑え込んでしまうのではないかと。それがLIMITSの一番最初のポイントなんです。

クリエイターやアーティストって結構コミュニティがしっかりしているんですが、一方ですごく閉鎖的な世界にいる。もっと世の中の人たちに彼らの本当の技術や能力を見せることができたら、この世界観をもっと大きく打ちだせるのではと思ってるんです。

コミュニティという言葉を否定する訳じゃありませんが、小さなコミュニティで満足しがちな人に対して、「せっかくのこれだけの能力を持っているんだからもっと世の中に貢献できるんじゃないの」と後押ししたい。このアートバトルのステージはとにかくすごいんです。運営をしている自分たちも毎回やる度に驚きます。彼らは想像以上のことをやってくれるので。

この間も子どもたちがたくさん来ましたが、彼らが喜んぶ姿を見ると、アートやクリエイティブな世界とは全然違う世界の人を繋ぎ合わせることで、もっと違うものが生まれるんじゃないかと思っています。

最初は日本だけでやる構想でしたが、もっと広げられると思いました。今年世界大会をやったんですが、各国を回って思ったのは、例えば台湾のアーティストも同じことを求めているんです。台湾の人たちは目の中に炎があるというか、すごく気合い入っていて。

だからこれって、世界中のアーティストが求めてるものなんじゃないかなと。この前、東京初進出という形で初めて開催しましたが、渋谷を中心にデジタルアートバトルの総本山を東京・渋谷・大阪で作っていきたいです。

 

描く・創り出すアーティストのマネジメントは、本人の意欲をさらに引き出すことと、アートの価値をきちんと伝えること

川上 悠一さん(ホリプロ)

<ソムリエ河原>
なるほど、ありがとうございます。そして川上さん。サンフランシスコの話をしようかなと思うんですけど、J-POP SUMMITというイベントで、タカハシヒロユキミツメさんというアーティストさんにトータルアートプロデュースをして頂いて、非常に統一感のある世界観を作ってもらいました。アーティストって、発信したい一方で、内に籠ることもあると思うんですけど、マネジメントとしてどういう風に橋渡しするか意識していることはありますか。

 

<川上さん>
ライブペインティングなど、アーティストのパフォーマンスを見てもらう場所をまず作る。とにかく人に見てもらう機会をまず意識して作ります。一緒に活動し始めてもうすぐ2年ですが、国内・海外問わず活動していきたいという本人のモチベーションも出てきました。国内半分、海外半分という形で、新しく文化を作っていくところをチャレンジしながらやっていきたいと思ってます。

 

<ソムリエ河原>
現地で印象的だったのが、子どもから大人まで多国籍な人が釘付けになっていた様子。すごく受け入れられていると感じたんですが、そういう瞬間に何か感じたことがあったんじゃないですか?

 

<川上さん>
本人は夢中になってやっているんですね。マネージャーの僕も何を描くのかも分からずちょっとワクワクしながら見ています。特に海外では、見てた人たちがすごくダイレクトに良かったよとか、あんま好みじゃなかったとか言ってくるんです。そういう反応があるところが彼にとって大切なコミュニケーションになっているんじゃないかと思いますね。

 

あとは、彼らのアートの価値をきちんとわかってもらうことも重要です。すごいですねって言ってくれても、イベントには自費で来て下さいという人たちが最初はたくさんいましたが、最低限でもゲストとして扱ってもらうことは担保したい。僕らがお客さんで行っているうちは、お客さんでしかないと思うんです。別にギャラをすごくたくさん頂きたいとかいう訳ではなく、伝えていけるものと残せるものが作っていけるかどうか。そういうことを本人と話しながら活動しています。

 

<ソムリエ河原>
宮下さんの会社はクリエイター集団ですよね。クリエイターとアーティストビジネスって、同じところはありますか?

<宮下さん>
2.5Dという名前自体が2次元と3次元を繋ぐということなので、会場にいる人と、外でインターネットで見ている人をどう盛り上げるかについては結構苦心しました。会場には特に何も無くても、インターネットを通してみると面白い演出を考えたり、クリエイターのクリエイティビティを、いかにライブの現場に持ち込むかというのは考えましたね。

 

アートを「特別じゃないんだけど価値がある」ものにしたい

タムラカイさん(ラクガキコーチ/ FC POP)

<ソムリエ河原>
2次元と3次元を繋いでいますね。タムラさんはどちらかというと、デザイナーという立場でもあり、人に描かせることもしているじゃないですか。何か意識していることってありますか。

 

<タムラさん>
クリエイターって特別な存在だと思われているし、自分たちでもそう思っているところがあって。そのプライドはそれで良いんですが、それだけで本当に良いのかということもある気がするんです。

 

特別なものだと思うことで、「これには価値がある」と言うのは面白いことでもあるんですけど、「特別じゃないんだけど価値がある」というところにいきたいんですよ。思い付きで言うと、カラオケってみんな好きじゃないですか。歌を歌うって特別じゃないですよね。でも、歌を歌えると、もっと歌える人ってすごいなって思うんですよ。でも、絵って描かないのが普通で、それってなんか面白くないなと思って。

 

アーティストが生み出すアートから、私たちが普段親しめるアートまで、その根底にある「アートの力」とは

<Peatix 宮田>
皆さんのアート観や、アートがどうなって欲しいかというお話を聞いたと思いますが、その根底にある、みなさんが思う「アートの力」みたいなものはどこにあるのかなということを聞きたいです。

 

<宮下さん>
結構印象的だったのが、LINEグループで何十人と知らないたちをイベントに呼んだことがあって。みなさん初対面なんですけど、タイムテーブルが決まっててDJとかラップしたりして……。よく分からないものがリアルの場とネットで噛み合った時に不思議な力が生まれるんじゃないかと思って。LINEグループで知り合ったコミュニティって謎だったんですけど、そういうSNSを使いこなしている人たちならではの発想を取り入れるのも面白いなと。

 

<タムラさん>
僕らが思いを全部言葉で何とか伝えようとしてきたのって、つい最近だと思ってて。言葉にするのが大変だったり、言葉にしても伝わらなかったり。

 それをみて、みんなが違う言葉が浮かぶものもあると思う。そこに描いてある絵が、人によって全然違うものを想起させるんだったら、そういうのって描く必要があるんじゃないかと思うんです。

 

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