新しい楽しさが日常を侵食していく。人を動かすイベントの仕掛け人たちが語る、新しいエンタメ体験のデザイン/コミュコレ!×イベントサロンvol.1 [Session2:コミュニティ×新エンタメ]

2017年11月21日、東京カルチャーカルチャーとPeatixの共催イベント、「コミュコレ!×イベントサロンvol.1」を開催しました!
2017年6月、渋谷のコミュニティのキーパーソンが集結した「コミュコレ!渋谷」を拡大し、東京カルチャーカルチャーとPeatixの「コミュニティソムリエ」がイベント・コミュニティに関わる人たちを紹介していくイベントです。
Peatixは2013年よりイベント・コミュニティ主催者のためのイベント「イベントサロン」を開催しており、そこに登場していただいた素敵な主催者さんを紹介しました。
多岐にわたる7つのトークセッションレポートです!

 

新しい楽しさが日常を侵食していく。人を動かすイベントの仕掛け人たちが語る、新しいエンタメ体験のデザイン

[Session2:コミュニティ×新エンタメ]

▶︎ゲストスピーカー

アフロマンスさん(Afro&Co.)
赤坂 大樹さん(NPO法人ゼロワン副理事)
岸野 雄一さん(コンビニダブルキャスト コンビニDJ)

 

<ソムリエ河原>
個性的なお三方がやってまいりました。3人ともPeatixさんのイベントサロンというイベントに出た方ですよね。

 

<ソムリエ藤田>
はい。イベントサロンは「イベント主催者のためのイベント」として、素敵なイベント・コミュニティ活動をされている方をゲストにお招きして2013年より続けています。今までに出ていただいた方の中でも特に濃い方たちをお呼びしました。簡単にどんな活動をされているかお話をお願いします。

<アフロマンスさん>
アフロマンスと申します。泡パーティーというイベントをやっています。泡というとシャンパンを嗜むというイメージがあるんですけど、言葉の通りで全身泡まみれになる、僕も理屈はよく分からない、でも楽しいパーティーをやっています。

あとは、Slide the City (スライド・ザ・シティ)っていう、街中の坂道をウォータースライダーで滑るイベント。何で滑るのって聞かれたら坂だから、それだけです。あとはマグロハウスというイベント。思い付きでやったイベントなんですけど、ハウスミュージックに合わせてマグロをさばいて食べると。まぁ変わったことをやっています。

 

<赤坂さん>
チャンバラ合戦という合戦イベントを全国津々浦々、年間150開催ほどやっています。 豊臣秀吉が生涯で300合戦くらいしたと言われているので、2年で超えるくらいのペースです。

目的は色々ですが、自治体の魅力の再発見もその1つです。地方に行けばいくほど逸話など、ユニークなものがあるんです。見るもの食べるもの以外に、地域ならではの武将や歴史、逸話を親子で体験できるコンテンツに変えて合戦しようかなと。

刀は当たっても痛くない素材で作っています。全世代、下は4歳から上は85歳まで世界一平和な合戦を楽しめるものになっています。

 

<岸野さん>
岸野雄一と申します。コンビニDJと呼ばれております。普段は学校の先生をやっていて、文化庁エンターテイメントなんとかみたいな仕事もしています。

今日呼ばれたのはコンビニDJということで、コンビニで遊んでたりするんですけど。普段行くコンビニでDJイベントが行われていたらどうなるか。お客さん同士、会話が始まるんですよ。コンビニってお水とおにぎりを買って帰っていくところですがお客さん同士の交流はない。でもちょっとこういう仕掛けをするだけで、交流が生まれるんですよ。

お年寄りの方が「この曲、昔流行っててね」と若い子と話してたり、いろんな地域の交流が生まれてきたんです。それをきっかけに「盆踊りDJ」というのも始めまして。お祭りのやぐらの上でDJをやるんです。呼ばれて北海道のテレビ塔の前でやったり。そんな感じで音楽を通して地域を面白くしていくことをやっています。

 

お客さん、主催者の垣根を取り払って、純粋に楽しいことをしたい

アフロマンスさん(Afro&Co.)

 

<ソムリエ藤田>
アフロマンスさんは新しい体験を提案するイベントを多くやられていますが、コミュニティ作りみたいなことは意識されているんですか?

 

<アフロマンスさん>
常連のような、泡コミュニティは勝手にありますし、それこそ、「アフロ&サポーターズ」というのがあります。うちの会社はAfro&Co.と言いますが、それを一緒に作りたい人のコミュニティのようなものです。

それがどんどん発展していって、最近「アフロ&キャンプ」というイベントをやっています。完全非公開で会場を貸し切りにして、僕が会いたい人を100人呼んでキャンプ。

イベントをやっていくと、お客さん、運営、主催者とかいう垣根を取りたくなってくる。チケット売りとかしたくない、だって要は割り勘じゃないですか。だからアフロ&キャンプも割り勘なんですよ。会場の装飾も、ステージのアーティストもみんな割り勘でやる。花火師も来て花火を打ち上げるんだけど、それも勝手にみんなが持って来てやってる。

最初は楽しいことをやりたいからイベントを始めるけれど、ビジネスとしてやっていくといつの間にかそれを忘れちゃう。人を集めなきゃ、お金儲けなきゃと考えるようになるんですけど、根本的には楽しい人たちが集まればいい。

一回原点に戻ってそういうのをやると、みんなフレッシュな気持ちになって「そもそも楽しいこと」を再発見できる。アフロ&キャンプは特別なので年に2回くらいしかやりませんが、そこで一回頭をリフレッシュして、また日々の自分のビジネスやイベントとかに活かすという感じです。

 

<ソムリエ藤田>
11月末にやる早朝フェスはどんな感じなんですか?

<アフロマンス>
朝6時半から集まる、早朝フェスというのもやってます。朝と言うと、クラブとか音楽系の人たちは夜通し遊んでアフターで行くとというイメージがあるかもしれませんが、そうではなくてちゃんと早く寝て早く起きて、ノーアルコール&ノースモーキングでDJで踊って、ヨガやって、美味しいコーヒーと朝食を食べるという健康的なイベントです。年を重ねてくるとこういうイベントをやりたくなるんですよ。一周回って健康。

朝に頭がクリアな状態で集まって、いろんなコンテンツがあると、仲良くなるんですよね。仲良くなって、そこで何か生まれるといいなとを思いながらやってます。次回は最近渋谷にできた100BANCHという場所でやります。たまたま100BANCHのオープニングパーティーでDJとして呼ばれてやっていたら、ここで朝フェスやろうという話になって 。

100BANCHはいま真面目な感じで運営してるけど、もうちょっと身体を動かしてアクティブなこともやろうと。もちろん楽しいだけじゃなくて、何か新しい取り組みが生まれたらとも思っています。早起きできたらぜひ遊びに来てください。

 

地域の資産を誰でも楽しるかたちにして、みんなで楽しむ

赤坂 大樹さん(NPO法人ゼロワン副理事)

<ソムリエ藤田>
赤坂さんは全国各地で戦を仕掛けていらっしゃいますが、それぞれの地域のコミュニティ活性化などを考えてやってるのですか?

 

<赤坂さん>
そういう場合もあります。地元には例えば武者行列など、いろいろな資源があるんです。地域のお祭りなどではやりますが、それをもっとその場にいる人たちの記憶に残るようにやれないかと。

歴史関連のイベントって、参加者の多くが歴史好きだと思うんです。お城とかもそう。そこにみんなで楽しめる要素を新しく入れることで、子どもも家族も一緒に楽しめる。

 

合戦をする前に必ず軍議というのをやります。IKUSAはスポンジでできた刀で、肩に付いている命というボールを落とし合う遊びですが、ゲームの前に必ず全員で作戦会議をします。見ず知らずの人たちがそれを7〜8回やっていくうちに立派なチームになっていくんです。

負けも勝ちも噛みしめて、いろんな世代の人が話すきっかけにもなります。あとは各地の歴史を、武者行列とは違う形で楽しい体験として記憶してもらうということも意識してますね。もちろん食べ物を買って食べるのも楽しいですけど、それ以外に、みんなが知っている武将や地域の有名人を、違ったアプローチで知ってもらう場を作っていきたいと思います。

 

<アフロマンスさん>
IKUSAの画像を見ていて思ったんですけど、要は「敵がいる」じゃないですか。敵を倒すためにみんなでエイヤーとやるのが良いんでしょうね。共通の目的がある。 あと、「何かを握る」こと。棒を握るって何かあるんですよ。振りたくなるとか。そういうのもいろいろ考えられてるなと思いました。

 

<赤坂さん>
おっしゃる通りです。IKUSAには「最初に刀を持たせない」という鉄則があるんですよね。刀を渡すと話を聞かなくなる。

そのほかにも、歴戦の結果が物語る法則があります。企業研修で採用いただくこともあるんですが、事業部長対決や、社長副社長の対決などをリアルにやってもらうと、会社の本音が見えるんです。「風通し良いです」と言ってるけど専務は絶対に社長を狙ってないとか(笑)

そして、新しい体験は運動会とも違うと思います。運動会はみんながルールを知っていてやりやすい面もありますが、新しいものは失敗しても恥ずかしくない。女性でも男性でも一緒に入り込みやすいという側面があると思っています。新しいということ自体が、垣根を取り除く効果があるのかなと。

 

エンタメというコンテンツで人と人の垣根を取っ払い、みんなで一緒のものを作っていく

岸野 雄一さん(コンビニダブルキャスト コンビニDJ)

 

<ソムリエ藤田>
岸野さんがコンビニDJを始めたきっかけは何だったんですか?

 

<岸野さん>
震災以降「地縁」ということを強く意識しまして。住んでいる地域の方々と道ですれ違ってもすごく高い壁がある。もっと交流を持っていかないと、と思い。

イベントの開催場所は非公開でやっています。地域の方だけが分かるということです。地図にもなんとなく大川と書いてあるんですけど、そんな川は東京にはない。 それでも毎回100人以上人が来ますよ。グーグルマップ上で地図の川の形を合わせて、ここに違いないとか言いながら。

そうするうちに祭りに呼ばれることも出てきて。地域との繋がりができてきたと思います。 共通しているのは、エンターテイメントというコンテンツを用意することで人と人の垣根を取っ払い、みんなで一緒のものを作っていることですね。

 

<アフロマンスさん>
岸野さんと以前1回イベントで一緒だったことがあって、その時に岸野さんが「日常を侵食していく」という話をしていたんです。コンビニでDJって、確かに面白いけど、地域で成り立たせるのが難しい。例えば渋谷の道玄坂のコンビニでやったら大変なことになるじゃないですか。でもそれを地域に還元される形でうまくやってたりとか。

祭りでDJしたい人って昔からいるんですよ。でもそこでやると絶対に文句が出る。太鼓叩けよとか。それを「気付いたらそうなってる」という方法で侵食していく。コンビニに気付いたらDJがいるとか、お祭りに気付いたらDJがいるとか。そしてそれが嫌じゃないという感じで。

 

<岸野さん>
いっぺんに変えないということが大事。普通の盆踊りはずっと続けてくださいと。DJならいくらでも呼びますよ。だけど、僕らのところはあとでちょっとだけやらせてくださいって言うんです。盆踊りもそこでかかっている曲を全部リサーチして、分かっている曲をまずやって、そこからテンポをあげていくんです。だから、武者行列を取り入れた合戦と似たプロセスだと思います。昔からあるものを大事にしつつ、その上でアップデートしていく。

私たちの生活を変えていく「新しい楽しさ」

<Peatix宮田>
いろんなキーワードが出てきましたが、「楽しいこと」って世の中にたくさんあると思うんですよね。でも皆さんが手がけられるイベントは、その中でも「新しい楽しさ」だから、みんなが気になるというのはすごく印象に残りました。いつの間にか浸食されて楽しまされてるというのもすごく面白い、新しいエンタメの形なのかなと思いました。ありがとうございました。

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