世界で最も急成長するスタートアップ都市・ニューヨークで起こっていること

Peatixは、2013年にニューヨークに本社を移転、最先端のコワーキングオフィスWeWorkにオフィスを構え、現地のスタートアップイベントにも多数参加・協力しています。そのため、ニューヨークのスタートアップ事情についての問い合わせを多く受けてきました。
そこで、 2017年11月、CEO原田の帰国、Product ManagerであるDanの来日に併せて、ニューヨークスタートアップシーン最新トレンドを伝えるセミナーを開催しました。

*「世界で最も熱いニューヨークスタートアップ視察・体験ツアー」の開催に先駆けて行われたセミナーです。ツアーの詳細・問い合わせはこちら

ランク外から世界第2位に急成長

ある調査によると、ニューヨークは世界第2位の「スタートアップ都市」だそうです。特筆すべきなのは、5年前にはランキング圏外だったとのこと。周辺都市を含むメトロエリアの人口は2,400万人で、元々名だたるVCもいました。市場として急成長するのも当然でしょう。

ニューヨークのスタートアップシーンで特徴的なのは、様々な産業を経験した人が起業することです。シリコンバレーなら、大学を卒業して即起業、というのがひとつのパターンですよね。
また、女性の起業家が多いのも特徴的です。リテール(小売)や、ファッション関係のスタートアップが多いことがその一因かも知れません。人種や性別に関係なく起業できること。まさにニューヨークの多様性がスタートアップシーンにも現れています。

*スライド内で使用した資料の出典元は 2017 Global Startup Ecosystem Report


もうひとつ、ニューヨークらしい、というよりはブルックリンらしい特徴を紹介しましょう。それが、 The B Corp というトレンドです。 通常の起業、利益目的の起業のことを”C Corp”と言いますが、”B Corp”は、環境や社会に配慮した事業活動を行っている起業に与えられる認証制度です。

ニューヨークを代表するスタートアップのEtsyや、Kickstarterは、ともにB Corpです。

ニューヨーク市も後押し

そもそも、シリコンバレーやボストンなど、伝統的にスタートアップ業界を牽引してきたエリアは、優れた大学がその中心にありました。ニューヨークも、アイビーリーグのひとつで、ニューヨーク州にある「コーネル大学」の工学部を市内中心地に誘致しました。

さらに、ニューヨークは元々テレビや映画プロダクションのメッカでもあります。当然メディアのスタートアップも多く、ニューヨーク市はこうしたトレンドを後押しするための、半官半民による「メディア専門」のコワーキングスペースを開設しています。

また、(行政ではないのですが) New Museum という現代アートの美術館が、アートに特化したアクセラレーターを立ち上げました。官民一体となって、街ぐるみでスタートアップシーンを盛り上げようという気概を感じます。

既存産業を、使いやすく美しいデザインのサービスで置き換える


さて、実際の事例を見てみましょう。ニューヨークで特徴的なのは、5つの領域です。ファッション、フィンテック、アドテック(広告)、メディア&アート、そしてベンチャーキャピタルです。

ファッションは、SOHOやチェルシーなどのエリアが、世界のファッション業界の中心です。フィンテックは、世界最大の金融街ウォールストリートがあります。また、「マディソン街」というエリアは、広告代理店の本社が集まっています。そのため、広告がテーマのスタートアップも多く存在します。メディア&アートについては、例えばテレビ局の本部はほとんどニューヨークにありますし、メトロポリタンやMoMAを始め美術館やギャラリーも多く存在します。



ここで、ニューヨークを代表するようなスタートアップを集めてみました。
まずは、フィンテック・スタートアップの走りとも言うべき”Bloomberg”を紹介しない訳にはいきません。金融業界向けの情報を配信するサービスです。創業者のブルームバーグさんは、その後ニューヨークの市長にもなりました。

Etsyは、ハンドメイドマーケットプレイス、Kickstarterはクラウドファンディングサービスで世界最王手です。jetは、雑貨などを扱うEコマースサイトですが、Walmartに買収されました。
MongoDBは、データベースのテクノロジー企業で、いかにもシリコンバレーっぽいですね。実はニューヨークで起業しており、先日上場しました。
BlueApronは、「ミールキット」(自炊のための食材、調味料、レシピのキット)をユーザーに届けるサービスで、この会社も先日上場しました。
この後説明するWeWorkも、本部はニューヨークにあります。
最後に、Casperというのは、マットレスのスタートアップで、ニューヨークのスタートアップを説明するのに最も面白い事例です。寝具市場には珍しくオンライン直販で、製造やマーケティングにスタートアップの手法を導入。低価格かつ、100日のトライアル期間でしっかり試すことができるなど、合理的なサービス。従来の「古臭い」寝具店を嫌った若者を中心に、ユーザーを伸ばしています。
このように、既存の産業・サービスを、ウェブやアプリを中心に、使いやすく、美しいデザインでユーザーを獲得していくのが、ニューヨーク流のスタートアップの特徴です。



ベンチャーキャピタルは、Union Square Venturesが最も有名でしょう。 先程紹介したニューヨーク・スタートアップの多くに投資してしますし、初期のTwitterへの投資をはじめ、もの凄いパフォーマンスを出していると言われています。
また、Greycroftや、昔からあるGENERAL ATLANTICRRE といった有名なVCがいくつもあります。
また、ロックフェラー財団のVC部門など、「ファミリーファンド」も多いのも特徴です。

betaworksは、AOL出身の方が立ち上げたインキュベーターで、短縮URLサービスの最王手 bitly や、リアルタイムウェブ解析サービスでメディアなどに多く支持されている Chartbeat などを生み出しています。

オシャレかつ合理的

ここで、ファッション、リテール(小売り)の領域を深掘りしてみましょう。まずは、 Rebecca Minkoff をご紹介します。 Rebecca Minkoffはファッションブランドなのですが、実店舗にて大変面白いテクノロジー体験が可能です。是非動画をご覧ください。


Material World は、矢野莉恵さんという日本人が起業した会社で、大変に注目されています。着なくなったブランド品を送るだけで、その服を買い取ってくれるというサービスです。


BONOBOS は、メンズファッションのブランドです。このサービスも(マットレスのCasper同様)、オンラインでのプレゼンスを重視しており、最近Walmartに買収されました。

Rent the Runway は、女性向けドレスのレンタルサービスです。ニューヨークでは、パーティーに行くことが多く、その度にドレスを買い揃えるのは大変なので、こうしたサービスを利用するのは合理的ですね。急激に伸びています。

人工知能からビッグデータまで、幅の広いフィンテック業界



次に、フィンテック関連サービスを紹介します。この業界の特徴として、革命的な技術の情報が外に出てきにくいことが挙げられます。業界の中の声を直接聞くと、大きな銀行が、スタートアップのテクノロジーを導入している、という話があったりしますが、今日は、目につくところで代表的なサービスを紹介します。

まずは、Venmo を紹介しない訳にはいかないでしょう。なぜならば、私達がほぼ毎日使っているからです。 もしかしたら、ほとんどのニューヨーカーがインストールしているかも知れないアプリです。これは、簡単に銀行口座と接続して個人間の送金ができるサービスで、現金を持ち歩かないアメリカでは、ランチの精算などに欠かすことができません。(アメリカでは、銀行振込というのはほとんど行われず、小切手による支払いが一般的です。) 買収されてPayPalの傘下となりました。

次は、少し変わり種ですが、フィンテック x ビッグデータ/パーソナルデータの文脈で、DATACOUP というサービスを紹介しましょう。 アメリカでは、銀行やクレジットカード会社の情報をAPI経由で取得し、連携するサービスがかなり多いのですが、このDATACOUPは、自らの支払いなどのデータを、広告代理店などに販売できるというサービスです。どのみち、そうしたデータは販売されているのですから、自らコントロールしてお金にしよう、というのがその趣旨です。個人情報は保護されるべきものとして保守的に議論される日本では少し考えられませんが、情報の積極的な活用方法として、あるいはプライバシー、パーソナルデータの新たな捉え方として、注目されています。

また、AI(人工知能)とフィンテックの交差する領域として、agoloを紹介しましょう。agoloは、投資家が投資の判断をするための情報を、人工知能が集め、要約してくれるサービスです。従来は、アナリストが徹夜して作成していましたが、その作業を自動化するものとして、金融業界が注目しています。

最後に、入るのが難しいフィンテック専門のアクセラレーター RISE をご紹介しましょう。RISEは、国際的な金融機関であるBarclaysが全面的にサポートしています。Barclaysの中でも特に優秀とされる人がRISEに参加しているのとのこと、非常に面白い注目すべき取り組みです。少し前に話をしたときは、ブロックチェーン技術に注目していると話していました。RISEの持つコワーキングスペースには、多くのブロックチェーン関連スタートアップが入居しているとのことです。

遊びと仕事の境界線があいまい

最後に、ニューヨークの働き方について、紹介しましょう。スタートアップ業界は、特に遊びやプライベートと仕事の境界線があいまいで、職場に犬を連れてきたり、子どもを連れてきたりする人も多くいます。そのくらい、フレキシブルで、寛容な雰囲気です。


この動画は、10-15年前の一般的なオフィスの様子です。個人ごとにパーテーションがあって、それが島になっていて、というのが一般的でしたが、スタートアップの勃興とともに、本当に様変わりしました。

これが、今の様子です。Peatixも入居しているコワーキングスペースWeWorkの、Dumboオフィスの写真です。ソファーがあり、エスプレッソバーがあり、ブースがあり、無料のビアサーバーがあり、奥には卓球台があり、オシャレで開放的です。犬も走り回っています(笑)
このWeWorkが始まったのがニューヨークで、市内に30~40箇所くらい、オフィスがあり、東京を含む全世界に広がっています。

WeWorkは、単なるスペースではありません。ネットワーキングやデモのためのイベントも日常茶飯事に行われています。コンセプトは、必要な人に、簡単に出会える、という感じでしょうか。

ニューヨークらしい働き方を象徴するような、面白い事例をもうひとつ紹介しましょう。



Brooklyn Bouldersは、もともとはボルダリングのジムでしたが、一汗かいた後、この場で仕事をしたいという声が多く、コワーキングスペースを併設してしまいました。仕事と遊びの境界線があいまいなことの、分かりやすい事例ですね。

いつも新しい発見が。この目で見て体験、ネットワークを広げよう

いつも新しい発見があり、新しいムーブメントがあるのがニューヨークです。こうしたトレンドは、実際に現地に足を運んでこそ実感できるものです。そこで、Peatixは、
  • 新しいビジネスアイデアを求めている経営者、新規事業担当者
  • ニューヨーク・アメリカ進出を検討している起業家、投資家
  • イノベーションの中心地、ニューヨークのスタートアップトレンドを抑えておきたい人
のために、現地ツアーを開催します。紹介したようなスタートアップの起業家・関係者・投資家と議論し、テクノロジーの現場を目にすることで、世界で最も勢いのあるスタートアップシーンを理解できるでしょう。 ツアーの詳細・申込みは下記バナーから。 ツアーの詳細・申込み *ニューヨーク最新スタートアップ 視察・体験ツアー特設ページ

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Nozomu Shoji

高専時代はバンド活動に明け暮れ、大学時代はクラブの専属PAとして毎週パーティーの裏方を経験。PeatixではGrowth TeamのManager. 「イベント主催者のための活動をしている」という口実の元、様々なイベントに自分自身が参加して楽しんでいます。「イベント主催者のためのイベント」EventSalonの主催者で、オープンデータを推進するOpen Knowledge Foundation Japanや、お金が使えない、自由&自己責任のアートフェスBurning Japanの活動も。