イベントオーガナイザーのためのイベントをPeaTiX Live! を開催してきましたが、今回は趣向を変え、SXSW、midem、LAUNCHの3つの海外カンファレンスレポートとしてStartup向けの内容で3/23(金)に開催しました。
D.A.コンソーシアム(株)から会場提供や運営のご協力をいただきながら、海外展開を目指すStartupの方や企業のマーケターの方など幅広い方80名にご参加いただきました。
■ご挨拶
Orinoco Peatix(株)代表の岩井からご挨拶
続いて、協賛企業 D.A.コンソーシアム(株)取締役 大塔達也氏よりご挨拶とビジネスやサービスのご紹介をいただきました。
■Nobot Inc. 合田George氏よりLAUNCH FESTIVALレポート
LAUNCH について
- 「LAUNCH FESTIVAL 2012」は3/7(水)〜8(木)に開催された。会場はサンフランシスコのちょっとはずれで、ジンガの隣の会場デザインセンターだった。
- 優秀賞金は1M$(約8,000万円)という大型のイベント。メインのオーディトーリアムは400〜500人ぐらい入る。
- Startupのブース展示はTechCrunchと似ている。
- ブース展示で目を引いたのは、Tesla(テスラ)、ScootNetworks。
- 日本勢は出展していない。アジアでは韓国からの出展だけではないか?
- セキュリティが厳しいなと思ったら、イスラエルの大統領シモン・ペレス氏が来ていた。
- 審査員は、Dave McClure やZapposのトニー・シェイなど。プレゼンも趣向を凝らした人が多く、かなりイベントのレベル高い。
注目のStartup
- 米国のStartupのコンペティションで一番重視されるのは「どれだけ多く人の大きな問題を解決したのか」という問題解決型のサービスであるかどうか。
- 先日のシンガポールのStartup Asia Singapore シリコンバレーから来ていた審査員から「日本人(のStartup)は何かCoolな事をしたいと思っているのではないか?」と指摘された。
- 2回Exit している曽我氏の共著『シリコンバレー流起業入門』では市場にある大勢の人が抱える深刻な問題解決が必要と書かれている。また、目標設定をどうするか、どう進んでいくのかという事をしっかりと考える必要がある。
- 1.0 Overall Winner (1位) は、オンラインストレージのSpace Monkey 。
Dropboxのコスト1/2、同期が早い。Launch会場では会場の9割がDropbox使っていた。Dropboxのコスト・同期が遅いというまさに課題解決をした好例。 - 1.0 Tech Winner (テクノロジー部門1位)は、OCRのCaptricity 。
ビジネスモデルはPay per Pageで高評価だった。 - 2.0 Overall Winner (1位)は、大学進学のファイナンス問題を解決する alltuition。
- コンペティションには2つあり、1.0(サービス開始前)と2.0(既にサービスをやっていて新規事業をやる)がある。
- ローンチするページの Coming soonページを簡単に作れるLaunch Rock は米国のStartupはほとんどが使っている
- スケールするのはBtoBのモデル。米国には素晴らしいBtoBモデルが多数ある。appstock やビジネス文書を提供する license123 など
- 他に面白いStartupとしては、新型のeメール MINBOX(Tech Starsからその場で投資を受けていた)。
- ユーザーテスティングの youeye.com、翻訳アプリのmylanguage.me(Presentation1位)など。
- 注目を集めていたのは、Pinterestの出会い版 theComplete.me。グループのカレンダーシェアリングUptoなど。
米国のCoworking Spaceやイベントについて
ちょっとここで、米国のCoworking Spaceも紹介
一度、Buyoutした事があるといったシリアルアントレプレナーしか入れないFOUNDER DEN、RocketSpace の紹介。
日本と米国でイベントのやり方は違う。米国のイベントは最初にPartyがある、最初にネットワーキングする。 日本だと最後だが。米国の方がネットワーキングしやすい。
NYで「シリコンバレーでなぜStartupが多いのか?」と質問したところ「シリコンバレーって産業がない」と答えられた NYにはファッションや映画など産業が沢山あるが確かにシリコンバレーはない。
米国で分かったこと まとめ
4000社 10万人起業の国、問題解決・Exit型
- 色々な考え方がある。これといった方法はない。
- 米国独自の特性はある。日本のソーシャル系ビジネスを米国に持っていっても成功しない。それは、ソーシャルの考え方が違うから。
- 米国はローカライズは得意ではない。アジアは日本、中国、インドまで。
- ステルス多い。
- 日本は社長が有名で会社のValueが上がるが、信用ある人(有名なAngelなど)からの評価が高いと他のAngelが会いにくるなど評判が重要
- 出会い系のビジネスモデル多い
LAUNCH Festival 2012 San Francisco report
■Orinoco Peatix(株)CMO 竹村詠美によるmidem(ミデム)レポート
midemとは?
フランス・カンヌで毎年開催されている世界最大規模の音楽業界の国際産業見本市。75カ国から3,000社、6900名が参加。114のワークショップ、120バンドの88ライブ+ネットワーキングイベント。
ブランド企業とアーティストと音楽業界が集うイベント。
参加のメリット
- アメリカだけでなくヨーロッパのStartupも参加
- 業界を跨いだ国際的人脈形成
- Midem Labと日本では聞けない布陣のカンファレンスラインナップ
- 入賞すると、認知+ビジネスのUP!
- コミュニケーションは英語だが、ヨーロッパの方は早口ではないので解りやすい
midemでのStartup向けイベント
- MidemHackday in Cannes というハッカソンも開催されている。参加は音楽系サービスが多い。48時間でアプリなどつくる。実際のユーザー、アーティストから実際の反応をもらえる。
- Hachday Winner は、何処の都市で何の音源がダウンロードされているかを解析し、このアーティストはこのようなツアーを組んだらいいという提案ももらえるサービス。
- 音楽業界でもデジタル化やソーシャル化の波が止められないのはわかっている。midemではテクノロジーの企業と音楽業界が歩み寄っていくようなセッションが多かった。
MIDEM Lab
2012年は3部門で各10社が5分ずつプレゼンの機会を与えられる。
※リンクはYouTubeビデオがご覧になれます。
- 発見・レコメンデーション・創作部門
優勝は元Shazamメンバーが作ったUKのインターネットラジオ局からのレコメンドサービスMPme.com - マーケティング・ソーシャルエンゲージメント部門まだβ版だが、スポーツイベントなどで企業のスポンサーがLiveなどでユーザーがインタラクティブなアクションができるプラットフォーム Crowd Surfing by LiveOne
- 消費者への直接課金・コンテンツ収益化部門
知育ラーニングアプリWildChords が優勝した、実際に収益もでているとのこと
Vivendi賞は、各ソーシャルメディアのコンテンツをペタペタDrag&Dropで編集してライブの告知ページなどが作れるWebdoc。
2011 Winner the Next Big Sound 2ヶ月後のフォローインタビューなどプロモーションにも有効。
参加においてのTips
- 事前のアポ取り・準備
midemでは参加者のコミュニケーションのディレクトリが主催者側で準備しているので、参加社にアクションが取れる。 - 立ち話でも渡せる資料
- カンファレンスに積極的に参加
自分の興味あるテーマを絞って参加した方がベター - サイト外でのネットワーキング
ホテルのロビーも1大ネットワークの場となっている 今晩はココに行くと誰に会えるなど情報収集すうる - 記録をしっかりとる
写真やメモなど記録を残しておかないと4日間の濃度が濃くて覚えてられない
midemでのTrendまとめ
- アーティストとブランドのコラボレーション進化系
Coca-ColaのMusic Dealers の例など。“シンクライセンスコミュニティ”という考えかた。toCの大企業が消費者にコンテンツを届けるために音楽とコラボして若者の心をとらえる
音楽ビジネスが変わって来ている
スウェーデンのYou Say France and I WistleというバンドがMusic Dealers に採用され 大きなイベントへの出場やタイアップが決まった - インディペンデントアーティスト×マーケティング(D2Fマーケティング)
アーティストとファンが直接繋がるために、D2Fマーケティング講座も多く開かれていた
Karmin というバンドは誰でも知っている名曲をHipHopでカバー、YouTubeで6,000万回以上再生されている
ZoeKeating × Twitter やDariaMusk × Google+ などアーティスト自らがソーシャルを活用してファンを広げて行く例 が沢山ある - メタデータ
業界やアーティスト向けの統計 the Next Big Sound やサンプリングのデータベース Whosampled.com•音楽アプリ向けのAPI echonest などデータをベースとしたサービスが目立って来ている - 既存の業界と、 テクノロジー業界の歩み寄り
PeaTiX Live Vol5: MIDEM 2012 レポート
■TechWave 本田氏によるSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)インタラクティブ部門レポート
SXSW とは?
1987年に始まった音楽イベント、現在ではFilm 部門とInteractive 部門がある。参加者は5万人。この数字はパスを買っている人数なので、実際にはもっと多くの人で街が溢れる。
10日間のイベントだが、今年は13日がすべての部門が重なる日だった。
SXSW では多数の賞があるが、最も話題になった賞はPinterest だったが、会場では特に話題にはなっていなかった。
なぜSXSW?
- 2007年のTwitter、2009年のfoursquareがSXSWに出場して(話題になり)ヒットしたと言われていて、次の○○は?と人やメディアが注目しているイベント
- テキサス州オースティンは西海岸と東海岸の真ん中にあり、両方から人がやってくる
- サムスンの米国本社などもある。テキサス州は法人税がかからないため、多くの企業がやってくる
- メキシコが近いので不法移民も多いが、金持ちのパトロン文化も根付いている街
SXSW「1000人のサムライプロジェクト」
頓知ドットの井口氏が提唱して、TechWaveも賛同したプロジェクト。日本のStartup 10数社が参加した。
参考)facebook:1000人で行くSXSW2012展示者、参加者グループ
SXSWは音楽部門ではアジア事務局もあるため情報もあったが、インタラクティブ部門は情報がなかった。
トレードショウが米国以外は国別のため、日本勢で多く行く必要があった。
日本のStartup は肌診断データが取れるアプリBeautecam(ボーテカム) 、テレビ東京で放送されたSXSW特集の中でも紹介された 音のでURLを伝えるToneconnect(トーンコネクト)、や日本の広告代理店も。
電通はパネル、企画書を提出して通ったもののみパネルができる、をやっていて人を集めていた。博報堂も。
SXSW の特殊事情とサービス設計
Twitter や Foursquare がなぜここからブレイクしたのか?
SXSW は濃密で特殊な実験の場だった。まず、情報がカオス。公式なイベントやカンファレンス以外にも、GoogleハウスなどイベントやParty など同時に開催されていて情報、全体像が誰も把握できない。トレンドセッターが世界中から集まり、「今、どこで、何が一番面白いのか?」を探し求める。
そんな中、Twitter はハッシュタグで、Forsquare は場所でそれを解決していた。
米国人と日本人のコミュニケーションの違いと”Social”について
HighLight、glanceeなど興味関心の近い人を周辺で探せるサービスなどある。
カンファレンスで隣に座った人やエレベーターに乗り合わせた人など、知らない人と気軽に話すマインドがある。
日本にはそういったマインドがなく、そもそもSocialの考え方が違うので、日本で彼らのSocial サービスを使っても違う捉え方で使っている。
SXSW 2013
はてなの近藤さんも来てた。ミクシィやDeNA、GREEもアクションしていた。
今年の成果と反省も含めて、来年も大勢の日本のStartup で行こうと考えている。
SXSW 参加のポイント
- 目標と目的の設定
思ったより、ダウンロードされない。ビジネスパートナーを求めて出展している。アライアンス目的がいいのではないか。 - Product の完成と運用について
その場で発表しても埋もれるので、SXSW 用に特別なものを用意しておく
今年出展するなら、秋口にはProduct を完成させたほうがいい - 英語が出来るスタッフの存在
商談をしに来ているため、英語ができないと何のためにきたのか分からない
TechWave からのお知らせ
- 3/19(金) 23:00〜テレビ東京 WBS にて「200人のサムライ in SXSW 2012 Austin」が放送
- 3/24(土) 、31(土)23:30-24:00 BS朝日 STYLEBOOK にて「世界を変える十日間・SXSW 2012」が放送
- 4/5(木)19時〜@ミクシィにて「SXSW2012 Look Back Meetup~SXSW2012を振り返り、SXSW2013に向けて多くを語り、多くを学ぶ!」
頓知ドット井口氏やSXSW 2012参加者の報告&2013の決起イベント開催 - 5/10(木)発売 「WIRED」
■SXSWのTech Cocktail 主催イベントのファイナリストに選出されたcompath.me CEO 安藤氏より参加レポート
compath.me はアジアで初めてTech Cocktail に選出された。来年参加する方の参考になれば、と安藤さん。
compath.me 紹介
- モバイル上で写真に簡単にレビューをつける共有することができるアプリ
- 昨年の1月ぐらい活動をはじめ、コンセプトが決まったのは5月、東南アジア最大のTech系カンファレンスEchelon(エシュロン)カンファレンスでAsia Top50に選ばれた。ヨーロッパ最大のTech系カンファレンス LeWeb’11 のStartup Competitionで600以上の応募から12のFinalistsに、ここでに正式にグローバルにリリースした
Tech Cocktail とは?
SXSW の中でも最大のイベント、Tech Cocktail に参加できるのは33社、のべ3,000人の動員を誇る。
2010年度はFoodspotting やPOPVOX(Web2.0提唱者のティム・オライリーが手がけるオンラインで議会ができるサービス)が参加して話題に。
Tango(40億以上資金調達しているオンラインのビデオチャット)、Storify(キュレーションサービス)も昨年出ている。
今年、選ばれた33社中29社は米国のサービス、それ以外は、カナダのデコ、ドイツのガウス、南アフリカのジールWooThemesだった。
注目されていたのは、スーパーエンジェルのロン・コンウェイがFounderで入っているfitorbit、オンラインのポイントシステムで新しい通貨を作ろうとしているKULA、より使いやすいEvernoteのspringpad、Forecast、sonarなど。数Million調達済みのところばかり。
Tech Cocktail の選考
- フォーマットの提出
ここでの選考でジャッジが見るような英語メディアに出ていないと選ばれない可能性がある - メールでのQ&A
メディアに出ている記事を読み込み、かなり突っ込んだ質問、例えばビジネスモデルを詳しく、資金調達額は?がくる - ShowCaseスタートアップに選出
Tech Cocktail のShowcase
- Session1:Privete Judge Session
1時間ぐらい30人ぐらいのジャッジがショートピッチを聞きにきたり、質問に答えていく - Session1:Public Showcase
自分達のブースに来るお客さんにピッチをする 来場者は、ファイナンスやアライアンスを求める人、メディアなどが来る
compath.me 手応え
- プロダクト/デザインのジャッジの評価も高かった
- 各種アライアンス/取材の機会が多い
- ファイナンス面で著名なVCやAngel と直接話せるのは有意義
課題
- 圧倒的な知名度の差
シリーズAが済んでいるようなStartup がブースだしてくる - USでの具体的な展開プラン
ビジネスアライアンスを求めてくる人、メディアが多いので、米国でのリサーチを済ませ、具体的なマーケティングプランまで落とせていないと機会損失に - SXSWでの位置づけ
壇上に立ってプレゼンするイベントではないので、「あのブースに行ってあのサービスの創業者に会ってみたいから来る」というイベント
来年チャレンジする方へ
- 事前の話題づくり
メディア掲載など済ませ、ジャッジの人に事前にインプットしている状態に - USでの具体的な展開プラン提示
- SXSW の面での取り組み
SXSW の1イベントなので、SXSW を通じてどのように話題を作って行くか、TechCocktailをどう使うか
登壇者の方からは、かなり具体的な内容のレポートでした。来年これらのカンファレンスを目指す方には非常に参考になる充実の内容になりました。
この後、別会場にて懇親会も行いましたが話し込む方が多かったですね。
また、次回のPeaTiX Live!もテーマを変えて予定していますので、お楽しみに!
頓知ドット井口氏やTechWave本田さんらのSXSW 2012参加者の報告&2013の決起イベントもどうぞ!
→4/5(木)19時〜@ミクシィにて「SXSW2012 Look Back Meetup~SXSW2012を振り返り、SXSW2013に向けて多くを語り、多くを学ぶ!」