[#EventSalon vol.9]コンビニにDJブースが!?きっかけはふと立ち寄ったコンビニの店長との出会い

イベントサロン vol.9 こんな場所でイベントが?!「会場探し」はイマジネーションで乗り越えろ!

街のコンビニの真ん中にある日いきなりDJブース!? 常連さんもご新規さんも誰でもウェルカム、異次元空間を街の中に作り出すコンビニDJとは』

コンビニダブルキャスト 岸野 雄一 氏

誰もが日常で親しむコンビニエンスストア、違うのはその日だけ中心にDJブースが置かれDJが音楽を流していること。ある人は音楽を聴いて楽しみ、ある人はいつものように買い物をして去っていきます。そんな異次元空間のイベントを主催しているのがスタディストとして様々なイベントを主催してきた岸野雄一さん。 2009年には空き屋だった自宅の一階を、押上リキッドルームと名付けアーティストを招きDJイベントを行ってきた岸野さんがなぜ今街のコンビニでイベントを行うのかなどをお聞かせいただきます!

■ この記事のポイント

  • きっかけはふと立ち寄ったコンビニでの出会い
  • 場所非公開イベントを開催!
  • “イベント”ではなくて”パーティー”にこだわる理由

自己紹介

はい、よろしくお願いします。今日は、こちらに出ているような「コンビニでDJをやる」というような話をしろということなんですが、そもそもこの岸野雄一。Who is? というところで、誰じゃろが? というところなんですが。ざっと履歴紹介していきます。

と、いうのも後の話にいろいろつながってくると思いますので。基本、先生です。「ええ?」と思うかもしれない(笑)。芸大の大学院というのがありまして、そこのアニメーションというのがあるんですね。そこでサウンドデザインを教えてます。音と映像の関係について教えてるんですね。で、あと、これちょっと入ってますけど神保町にあります美学校っていう、69年ぐらいからやってる古い美術の学校ですね。そこでも音楽のコースで、ここではイベントプロデュース講座っていうのやってるんですよ。年間みんなでイベント企画しましょう、っていう講座ですね。

これ立ち上げる時に僕、いろいろ調べてみたら、いろんな専門学校でもあるんですよ。イベントプロデュース講座って。で、中の人とかいろいろリサーチしてみますと、大抵講師の方のイベントをボランティアで手伝わされ「現場が一番勉強になったでしょ」っていって終わるっていうもので、僕のところは全部学生。
集まった生徒さんに会議してもらって、生徒さんに企画案出してもらって、年間通してイベントを4本やると。トークショーから始まり、いろいろアーティスト呼んだりとか、というふうなことをやっております。

で、あと普通にアーティスト活動もしてます。幸いなことに、これが文化庁のメディア芸術祭っていう、エンターテイメント部門というので大賞をいただきました。ありがとうございます。どんな感じだろうというのをちょっと見てみますと、これですね。

これ、ゲーテ・リリックっていうデジタルメディアセンターからの依頼で作った、子どもの音楽劇。これ、ライブやってるんだね。はい、ここで奇天烈な格好で人形劇なんかも出てきますね。こういうショーを企画しまして、それでそれが認められて賞をいただいたということなんですが、海外でもいろいろやってます。

でね、今日のお話の流れでいうと一昨年、ブリュッセルでやった時はリサイクラーっていうグループで普段通勤に使う鉄道の駅の構内、それを日曜は通勤の人が使わなくなるのでそこを閉じて、キッズディスコ大会っていうのをやろうってことでそこでDJをやったり、あと、子ども向けのゲームマシンを作ったんでそういうのを出品したりとか、そういうのをやってました。それも、駅みたいな公共のものを使うのはなかなか大変なんですけれども、「どんなやり方やってんの?」みたいな感じですごく面白かったです。まあ、今日の本題ではないのでまた後ほどやりますが。

次に見ていただくのはディック・エル・デマシアドというオランダのアーティストですね。

デジタル・クンビアっていう――クンビアって昔の伝統的な音楽を打ち込みでやってる、面白いおじさんなんですよ。で、彼を家に呼んで、家の空いてる空き家でDJしてもらったんです。
これ、押上リキッドルーム、僕、押上なんですけど。スカイツリーのね。押上リキッドルームという名前で、ミラーボールなんかも用意しましてね(笑)。

これ、ちょっと。普通の家ですよこれ、家。暑かった、夏だよね。ちゃんとVJもいて、映像も流れる。じゃあ、絵だけ見てってください。ディックはすごい面白いアーティストで、もともとフィリップスで親父さんがカセットテープを開発して、ボンボンなんですよね。で、70年代にアムステルダム市から船を買ってもらって、運河使ってDJイベントやってるんです。

ライブイベントとか。運河をいろんな場所を移動しながらイベント開催するっていうことをやってて、彼の方法論もいろいろ聞いたりしました。面白いやつですよ。まあ、そんなことがあって。これね、でも家でやってて、実はここ、1回ガラス屋さんだったんだけど、ガラス屋さん引っ越しちゃったんですよね。そのガラス屋さんというのがラッキィ池田の実家でそこを貸してたんですけど、空き家になったところで押上リキッドルームやったっていう経緯ですね。

でも、この時はご近所にいろいろお菓子配ったり「すいません、この日ちょっとうるさいんで」みたいなことやったんだけど、それにも関わらず警察が来てしまいました。なので、これはなかなか難しい問題だということで、音のパーテーションというのはものすごく意識するようになりました。というふうなことがあって……じゃ、これはちょっと映像止めましょう。

で、まあちょっと話が飛ぶかもしれないんですがつながってます。震災以降ね、人々の意識いろいろ変わったと思うんですよ。わーっとものが落ちてきて、いろいろ集めたDVDとか、本の下敷きになりながら、この状況を救ってくれるのは、mixiやFacebookとかでプログレやボサノバの話の合うあの人たちじゃなくて、隣に住んでる酒屋のおっさんしか引っ張りあげてくんないって事、痛いほど分かったはずなのにすぐ忘れちゃうんですよね、人間は。

やっぱり支援だなと思って、支援を大事にしていかなくちゃいけないと思って、地域の音楽活動何かできないかってこと考えたんですよ。で、地元の音楽フェスティバルみたいなのあるんですけれども――時間が経つのは早いもんですね。
音楽フェスを手伝ったりもするんですが、やっぱりそこも問題があって、みんな打ち上げ大好きなんですよね。音楽のことより、やっぱり打ち上げメインになっちゃったりして。あとはライブハウスのノルマを払いたくない親父バンドや、お金をかけたくないストリートミュージシャンのネットワークや、吹奏楽・ジャズ研などの発表会の場と化してしまうんですよ。そういうところが餌食になってしまうわけですね。

で、なかなか自分の企画通んないんですけれども、そこで盆踊りとかを積極的にやってる大友良英さん呼んだり、菊地成孔に昔ながらのペアダンスのレクチャーをやってもらったり、いろんな企画をしてきました。だけれども、そこではなかなか理解は得られず大変でした。

場所非公開イベントを開催!

でね、3年ぐらいやってるとね、だんだん理解得られるようになってきますよ。錦糸町周辺のごみ拾いをまずみんなでするとか、チラシを北口で人々に配るみたいなところの積み重ねによって、やっぱり「あ、岸野君面白いことやってるね」みたいなことになってくるわけですよね。
いくら普段やってる、このフランスのギャングポル・アンド・ミット呼んだとか、アメリカからスパークス呼んだとか、やってたって全然そんなこと、地元では何のあれもなんないんですよね。なんないんですよ。それよりもどれだけごみ拾いをしたか、チラシをまいたか、椅子運んだかですよ。そういうのの積み重ねですね。

とはいえ、いろんな苦々しい思いなどもしながらも、地域で頑張っていこうとやっていく中でふと立ち寄ったコンビニが「あれ?何だ、レコードジャケットが飾ってある……何、これレコード売ってるのかしら」っていったら「いや、レコードは売ってないんですよ。とにかくレコード、音楽好きでこれ聴きたかったらかけますよ」みたいな感じで。

なので「わあ、そんなとこあるんだ!」っていうことで、これは……。もうそこでDJをしていくことになったんですよ。とにかく店長と話が合いましてね。
でね、角打ちって言うんですか。この、前にはお酒とかのオーダーもできるんですよね、このコンビニはね。で、この日は大晦日。「輝け!紅白レコード大賞歌合戦」っていう独自企画を打ちまして、これ、島倉千代子さんチームと村田英雄さんチーム。DJね、赤組、白組もう夢の競演ですよ。DJ大会を繰り広げたわけなんです。同じ時間帯に、紅白とね。で、これをUst*でやりました。結構視聴ありましたね。
*USTREAM

何と場所公開してないんですよ、どこだって。今、ググれば何とかなる感じになっちゃってるでしょ? それをとにかく脱却したい。で、ググっても出てこない文言も世の中にあるよ、というふうなことで。これね、チラシ。地図書いてあるんですけど「大川」ってその横に「この辺」って書いてあるんですよね(笑)。

これ、誰もたどり着けないですよ。かといって、何とか探そうと思えば探せるし、聞けば教えます。顔を見知ってる人、顔を見て、僕の目を見て「どこですか?」って聞いてくれたら全部。「あそこですよ」って詳細を教えますっていうシステム。やっぱり結構問題になってるのは、イベントにフォロワーとフレンドしか来ないでしょう? これ、どういうことですか? 

それ、パーティーでしょう、イベントじゃなくて。そういうことじゃないと思うんですよ。もっと知らない人がふらっと来て楽しめないといけないし、音楽はやっぱりそういう力があると思うんですよね。ここは本当にジャンル関係なくいろんな人がふらっと来て、「浜田省吾知ってる?あいつ昔さ……」みたいな感じで昔話始めたりするんですよ。全然俺、浜田省吾なんて興味ないけど、聞くと面白いんですよね。やっぱり。

でね、やっぱりこんな感じで。

dj_7

店頭でパン棚の上にターンテーブルを置き、DJをしてます。もちろんこれ目当てに来る人もいるんですが、これ、年越しそば出しましたね。1杯100円。
で、ドリンク飲み放題1500円っていうのでやってます。あれですよ。普通のコンビニの客も来ますよ、ここで。聴いてったりもします。それ、お金取ったりしません、別に。

これ、勘のいい方はこのチラシのデザインのこれ、何のチェーンかってもうお分かりだと思うんですけど、皆まで言わないでくださいよ。
セブン-イレブンとか、そういうのに比べてだいぶゆるいからこういうのができると思うんですよね。神保町に1件、奥が卓球場になってるファミマありましたよね。あれもちょっとなくなっちゃったんですけど。卓ファミっていうのありましたよ。

写真だけちょっと見てみるとね、こんな感じで。

dj_11 dj_12

あと、近くに東急インとか、アパホテルとかあるんでその辺泊まってるビジネスマンとかも来るんですよね。
「あ、俺このジャケット知ってるよ!これ持ってる」みたいな感じで音楽の話で盛り上がったりするんですよ。これ、非常に面白い。

だから月一でゲストを招いて、僕はホストDJ。毎月ゲストを招いてやっていて、次がもう明後日か。27日土曜日ありますよ。で、最初夜の11時から3時までっていう、非常に来にくい感じの時間帯だったんですけど、今は夜9時から1時まで。でも近辺に住んでない人は、やっぱり最後まで見られないぐらいな感じの地元に優しいイベントなんていうようなことにしていますね。

まあ、ここもほんとは音のパーテーションも問題になると思うんですけども、これ、下にフロアがあるんですよ。何と店長が地下にフロア作っちゃって。だから踊りたい人は、下に音と映像送ってるんでそっちに行ってるっていうようなことです。これは店頭の写真、今ずっと流しましたけどね。こんなことをやってますが、まあ他にもいろんなことやってます、はい(笑)。ありがとうございます。

▶︎【EventSalon vol.9 こんな場所でイベントが?!「会場探し」はイマジネーションで乗り越えろ!】

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▶︎前回のEventSalon8「『つながり』が生まれるイベントのつくりかた」の動画はこちらからご覧になれます。

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