[#EventSalon vol.9]電車内でプロレス?!この”ありえない”シチュエーションはどのように実現されたのか


イベントサロン vol.9 こんな場所でイベントが?!「会場探し」はイマジネーションで乗り越えろ!
熱い死闘をローカル列車内で!山形で行われたローカル線プロレスはどうやって生まれたのか ローカル線プロレス 渋谷 達郎 氏

ローカル線プロレスとは山形ののどかな鉄道フラワー長井線にてお客さんを乗せた運行中の列車内で始まるプロレスです。よく電車でできたね?そんな狭いところでどうやってプロレスしたの?なんでわざわざ電車?などなど聞きたいことは尽きません。ローカル線プロレスを一から作り上げた渋谷さんに当日山形からお越しいただき、実際に聞いてみましょう!

■ この記事のポイント

  • 舞台となった山形鉄道フラワー長井線とは?
  • 開催のきっかけについて
  • 実現を可能にしたキーパーソンとの出会い

自己紹介

皆さんこんばんは。山形からはるばる来たんで、ちょっと疲れてるんですけど(笑)。お付き合いください。私の自己紹介を最初にさせていただくんですけども、今、山形県の長井市っていう所で地域おこし協力隊というのをやらせてもらってるんですね。本業は建築家です。

まあ、ちょっとプロレスとは似つかわない体型ですし、あまりご期待に応えられることができないかもしれないですけども。地元の山形の大学を卒業しまして、その後、東京の設計事務所で働きました。その後、大学院に進学してコンサルタント会社に就職しました。

オリンピック招致とか、羽田空港の駅舎とか、割りとそういう国家プロジェクトをやってるようなちょっと大きい所ですね。その後ですね、某コンペA案の設計事務所にお世話になりまして、さっき豊島区役所も出てましたけども、そこで働いてました。

その後、独立をしたんですけどもあまり食えないもんで、大学の先生もしながら細々とやってました。その時に愛知にいたんですけども東日本大震災がありまして、愛知にいて何もできなかったんですね。それがちょっと悔しくて、何かしたいなっていう時にそういった機会があったので、今Uターンをして地域おこし協力隊っていうことをやりながら、建築の活動もやってます。

地方に戻ってきて、すごく私が伝えたいなというふうに思ってるのが、やっぱり豊かさの質の違いなんですね。私、東京に15年ぐらいいたので、いかに地方が豊かだってところがやっぱりすごく体感できて、例えばですけども、これ、花サンショウ鍋なんですけど。花サンショウって食べたことある人いますか?

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いないですよね。多分、なかなか相当なグルメじゃないと食べたことがないと思うんです。サンショウの花なんですね。で、4月から5月の限られた時期にしか咲かない花なんです。黄色い花が咲いて香り付けに、香りを楽しむような鍋なんですけども、多分、京都とかに行くと高級料亭で1万5千円とか、2万円とか。そういうレベルなんですけど、これ、山形の裏山に生えてます(笑)。

これ、友達と一緒に取りに行って、鍋をしました。そういった豊かさっていうのをなるべくその地域に還元したいな、なんていうふうに思って。意外と地元の人はこういうのは気付いてないもんですから、逆に外から戻って「そういうのがあるよ」みたいな話をしたいな、なんて思ってます。それから、本業は建築の設計をやってるんで、古民家の再生とかやったりしてます。

あとは「自分の家の山で切った木で家を建てたい」とか、そういった変なお客さんが結構建築家には仕事をくださるもので。

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これ、山の木で作った家なんですけども。まあ、そこそこいい仕事してますよね。自分で言うのもあれですけど(笑)。ただ、山形っていう所は、なかなか建築家っていうのは認知されない所なんですよね。

どうしても工務店さん、大工さんに仕事をお願いする人が多いので、こういった機会を使って少し建築家っていう存在を身近にしたいなっていうふうに常々思ってます。特に、東京都内とかで家を建てようとするとどうしても土地代がすごく高いですから、同じ予算でも非常に土地代のほうが高かったりするんですね。決してローコストの家ではないんですけども、同じ予算でしたら建物のほうにいっぱいお金をかけることができると。そんな建物を山形をベースにやってます。

舞台となった山形鉄道フラワー長井線とは?

さて、ローカル線プロレスなんですけども、そもそもですね、ローカル線プロレスって言ってるだけあってJRではないんですね。山形鉄道フラワー長井線っていう鉄道会社です。山形の南のほうですね。で、新幹線が停まる駅で赤湯駅っていうのがあるんですけども、赤湯駅から荒砥駅まで。ちょっと小さくて見づらいんですけども、大体1時間弱ぐらいを運行している――電車ではなくディーゼルの列車です。

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こんな、鉄道マニアにはたまらない写真かもしれないですけども、大体1両ですね。普段は高校生の通学の足に使われてるような、そんな列車です。車内はこんな感じでベンチシートになっています。私、一番最初に地元にUターンして驚いたのは長井駅の寂れっぷりなんですね。

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まあ、これはイベント当日の写真なんでちょっと人いますけど、これ、振り返るとですね、こんな感じなんですね。これ、駅前通りです。長井市の人口3万人切っちゃっているようなちょっと小さい町なんですけども、みんな車なので駅には用事がないんですよね。なかなか駅を利用する人がいないっていうことで、すごく寂れてます。

ただ、まあ――もしご存じの人がいればですけども、10年ちょい前ですかね、長井市にも少しピークがありまして。今や時の人となったいろんな女優さんが、長井駅とか、沿線でロケをしました。最近では吉永小百合さんが長井市に来てくださって、JR東日本の「大人の休日倶楽部」のCMを撮ってくださいました。JR通ってないんですよ?(笑) JR通ってないんですけど、来てくれてます。

で、長井駅って実は大正3年に開業したもので、すごく古いもともとの昭和11年の建物が今も残っているような、建物です。国鉄から民営化される時に存続を何とかしようっていうことで、こんなデモ行進が行われたぐらいの、昔はこれぐらい関心があるような駅だったんですけども、最近ではこんな閑古鳥が鳴くというような状態。
ここ10年で乗降客数もすごく減っていまして。これ、年間なんで皆さん笑っちゃうかもしれないですけども、10年前は18万人弱ぐらいいたのが、今はもう10万人に届きそうな感じです。1日あたりですと480人いたものが280人と。どこの地方もこういった問題を抱えてると思うんですね。

ローカル線プロレス、開催のきっかけとは?!

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こんな長井駅なんですけど何とかしたいなっていうふうに思っていた時に、大学の先輩で喜早さんという方に声をかけられました。この左側でマイクを持っているちょっとすっとぼけた人ですね(笑)。でも、この人結構すごくて、「風立ちぬ」の主人公のライバルで出ていた本庄季郎っていう方のお孫さんなんですね。

まあ、それは余談ですけどもプロレスバカですね、はっきり言って。プロレス大好きで何かやりたいっていうのを思ってた人で、3月ぐらいにですね、大学の卒業制作展でお会いして「飯伏って知ってるか?」って言われて(笑)。私は全然知らなかったので「いや、知らないです」と言った時に、「何かいろんな所で面白いプロレスやってるんだよ」と。もう、この人はプロレス界のスターで、ものすごいんだ、と。「もう嵐並みだよ」って言われて「え、そうなの?」って思ったんですけど、まあ、そのプロレス界隈ではものすごいスター選手なんですね。

彼が所属している団体っていうのがDDTっていう団体なんですけども、ビアガーデンプロレスとか、路上プロレスやってまして、結構ゲリラ的にいろんなことをやってる人たちです。

この人たちは実は夢があって、山手線でプロレスするのが夢らしいんですね。で、「山手線はちょっと無理だろうけど、山鉄ならできるんじゃないか」って言われまして、それで「渋谷、ちょっと今地域おこしで長井にいるんだったら手伝え」ということで始まりました。で、それを言われたのが3月なんですけども、ちょっとプロレス団体のスケジュールなんかを調整したところ、もう7月しか空いてなくて待ったなしだったんです。

われわれ、ほんとに地方でいる人間なのでなかなかそういったアウトプットするソースが、ソースというかチャンネルを持ってないもんですから、まずはちょっと地元の新聞に取り上げていただいて「7月4日にやりますよ」みたいなことを出したんですね。

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ちょっと写真拡大するとこの関心の度合いが分かると思うんですけど、
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真ん中はみちのくプロレスの選手なんですけど、左側が喜早さんですね。右が私ですけどもちょっと温度差感じますよね(笑)。
3月に言われて7月にやるしかないので、ほんとに時間がないんですね。

実現を可能にしたキーパーソンとの出会い

もう準備の時間がほんとにないもんですから、はっきり言ってどぶ板でしたね。いろんな所に頭を下げて、地方ですからなかなかそういったところに理解がないので、ほんとに大変でした。ただ、その大変な中でもすごく協力的な方がいて、

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この真ん中のおじさんなんですけどもこの人、山鉄の役員なんですね。この方は押切さんっていうんですけども、非常に物分かりの良いというか面白い方で。恐る恐るです、最初は。「実は、ちょっと列車の中でプロレスやりたいんですけど」と言ったところ「面白いからやろう」というふうに言ってくださいまして、それで実現にこぎつけたわけなんですね。

そうこういってるうちにいきなりニュースに取り上げられまして、きっかけは恐らくどなたか選手の方のTwitterだったと思うんですけど、いきなりネットで拡散してしまったんです。そしたら押切さんも真っ青になっちゃったんですね。「これはちょっとイベントとして大丈夫なのか」というふうに言われまして、すぐにいろんなルールを約束させられました(笑)。車両や備品を壊さないとか、乗客にけがをさせないとか、列車を止めないとか。「ただ、そういったことさえ守れば何でもありですよ」という逃げ道はいただきました。ちょっとここからは飛ばしますね。

まあ、建築の設計やってますのでこういった会場計画はお手のものです。すぐに書いて。発信ツールなかったのでFacebookでやりました。プロレスファン全国にいますからイープラスさんでチケットの販売を画策したんですけども、実は最終的に「列車が移動するということで旅行だ」ということで、旅客営業の許可がないのでっていうのでちょっとうまくいかなくなりました。

最終的には往復はがきで申し込んでもらいました。で、そうこういってるうちに猫まっしぐらで当日になっちゃうんですけども。

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これ、赤湯駅ですね。新幹線のホームの隣に山鉄のホームがありまして、そこに全国から50人ぐらいですね、集まりました。遠くは三重、京都からプロレス好きが集まりました。で、これが到着したところです。みんな、もうわくわくですね。今、乗っているんですけども、実は停車時間が6分しかなくてもぎりが間に合わなかったので、お客さんに自分でもぎってもらいました(笑)。

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これは車内なんですけども、実はこれ全部報道陣です。お客さんと同時に報道陣も20人ぐらい来まして、車両は2両で運行しています。これが発車した時の車内の様子ですね。もうぎゅうぎゅうです。定員60人の列車に50人乗ってますので、結構ぎゅうぎゅう。ちょっと演出的に次の駅で選手が乗ってくるというのをやりまして、これは皆さん大興奮でしたね、お客さんは。で、乗り込んで隣に座るっていうのをやってもらった。

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多分この辺のプロレス好きはすごいドキドキしてると思います。そんなこんなでプロレスが始まるっていうような。もう、何ていうんでしょう……かなり普通ではできないような技とか、そういったことも長さを生かしてやると(笑)。多少大技も飛び出してきますね。で、何事もなかったように終わって列車から降りていくと。

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まあ、おじいちゃんが何か「よくやったね」って言って触ってる(笑)。よく相撲でやりますよね、こういうの。何事もなかったように駅舎を歩いていく。で、駅に降りた後に駅の駐車場を借りて、そこでも興行をやっていただきました。ちゃんと地元のお医者さんに頼んでリングドクターも用意しました。もう大盛り上がりで300人以上来たのかなと思いますね。レスラーも大サービスで場外乱闘しまくりでした。で、私も「えっ」っていうぐらいの報道陣に囲まれて「何だ?」っていう感じですね。
そんなこんながYahoo!のトップニュースに取り上げていただきまして、非常に好評でした。最後に時間ない中なんですけども、映像をちょっと流したいと思います。

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