アウトドアファッション誌主催 "おしゃれでゆるい"「GOOUT CAMP」に学ぶアウトドア系イベントの作り方 #EventSalon レポート

アウトドア&フェス好きが熱く支持する大人気キャンプイベント「GOOUT CAMP(ゴーアウトキャンプ)」。2008年にアウトドアファッション誌『GO OUT(ゴーアウト)』が30人規模でスタートして以来、毎年順調に規模を拡大。5年目の開催となる今年は、なんと5000人以上を動員しました。同雑誌の編集に携わる竹下充さんが語るイベント急成長の秘密とは――。

「取材がしたい!」編集者のニーズから誕生

「『GO OUT CAMP』は、毎年2回、富士山の麓『ふもとっぱらキャンプ場』で開催しているイベントです。これまでの開催回数は5回。特設ステージでの音楽ライブをはじめ、ショッピングが楽しめるブース、青空の下でおいしいごはんが食べられるフードエリア、ランドクルーザーの試乗スペース、ロッククライミングやセグウェイなどで遊べるアクティビティスペースなどを作ってきました」

野外で音楽を楽しみつつキャンプをする――といえばフジロックが有名ですが、「GO OUT CAMP」のコンセプトは“おしゃれでゆるいキャンプイベント”。ランタンの光の中でコンパをしたり、来場者がステージで歌ったりと5000人の規模だからこそできるオリジナルの企画を立ててきたといいます。

「そもそも、ぼくの本職は三栄書房のアウトドアファッション誌『GO OUT』を作ること。これまでも、雑誌作りの一環としてフジロックなどのフェスイベントで来場者やテントの取材を数多く行ってきました。あるとき、『GO OUT』を読んでくれているみんなとキャンプをすれば、読者との交流が持てるうえに、取材もできて一石二鳥だと思いついたんです。読者同士の横のつながりもできるので、新たなコミュニティが生まれたら面白いと思いました」

雑誌GO OUTのウェブサイトより

とはいえ、問題がひとつ。キャンプを企画した編集者たちは、みんなイベントに関してはシロウト同然。喜んでもらえるイベントにするにはどうすればいいのか、何が必要なのか、まったくわからなかったといいます。

誰もみたことのない珍しいテントを準備

「『GO OUT CAMP』の第1回目を企画したとき、イベントの主催者になるという意識はありませんでした。友達を誘ってキャンプを楽しむように、あくまでも自主的にキャンプをしたい人が集まる場にしようと思ったのです。とはいえ、遠路はるばる足を運んでくれるわけですから、なにか楽しいおもてなしをしようと考えました。そこで準備したのが、“誰も見たことのないテント”です」

南極探検隊が使ったもの、エベレストで使われる20人規模で入れるものなど、なかなかお店でもお目にかかれない珍しいテントを手配し、“テント展示場”を作りました。また、企画メンバーと参加者がDJになって、富士山にむかって大音量で音楽をかけて楽しめるようにと、ミカン箱くらいの大きさのスピーカーや友人宅にあったCDJを持ち込んだそう。

「同時に、知り合いのアウトドアメーカーにも『遊びに来ない?』なんて気軽に声をかけました。結果的に3社が、自社のアイテムを持って参加してくれたんです。おかげでお買いものブースもできて、にぎやかな雰囲気に。友達や知り合いを呼ぶことって大切だと思いましたね!」

結局、その時の参加者は30人ほど。全員でサッカーをしたり、みんなのテントでごはんを食べたり、記念写真をとったりして思いっきり遊んだという竹下さん。帰るころには、参加者から『楽しかった』『みんなにまた会いたい』という声を聞くことができたといいます。

拡大の鍵は、ユニークな来場者たち!

「そんなに喜んでもらえるなら!」と企画した第2回目では、参加者が100人に増えていました。この手ごたえをもとに、第3回目ではチケット販売をスタート。現在の運営形態になったといいます。

「参加者が増えた理由はいくつか考えられます。まずは、初回のときに全員と仲良くできたこと。彼らがインフルエンサーとなって、新たな参加者を連れてきてくれたんです。さらに、斬新なアウトドアファッションで決めていた人、キャンプなのに蝶ネクタイできちゃった人、誰も見たことのないナイフを持ってきた人など、初回の参加者がユニークで面白かったこと。おかげで、『キャンプにいくと、面白い人に会える』という付加価値がついたんだと思います」

そもそも、イベントを成功させるには、“面白い人”のパワーが欠かせないという竹下さん。とはいえ、面白いことを考えようといってもなかなか思いつくものではありません。

「自分で考えるより、面白い人を探しちゃうのが近道です。身の回りでユニークなことを言う人、おバカで楽しいことを思いついてくれる人を仲間に引き入れるんです。『カメが面白い』って言い出したヤツがいたとしたら、彼といっしょにカメをいっぱい用意して、会場に持っていく――とかね」

一方で、実験的な企画に失敗はつきもの。協賛企業の出店ブースになかなか人がよりつかないケースもあります。そんなとき、『GO OUT CAMP』ではどう解決するんでしょう?

アウトドア系イベントの作り方

「思ったよりお客さんの反応が悪い、というのはイベントではよくある話ですよね。ぼくらも何度か経験しています。でも、それは“導線”の作り方で解決できるかもしれません。アウトドア系のイベントは、“箱”系のイベントとはちがい、スペースを広く使うことができます。より楽しいコンテンツを道の奥に仕込めば、ちょっとくらいイマイチなコンテンツでも来場客の目にとまる機会が増えるのです」

広い場所でイベントを行う際は、人を惹きつけるパワーの強いものと、そうでないものを冷静に見極め、計算しながら配置していく必要があるんですね。

来場者が5000人規模になった今も、前夜祭や暇な時をみつけては、「調子はどうですか?」なんてひょっこりテントに顔を出し、できるかぎり参加者との交流を図っているという竹下さん。

「ぼくらがなによりも大切に思っているのは、お客さんの声を聞くこと! 今後イベントや雑誌の誌面を作る上で、面白いヒントがたくさん詰まっているんですよ。GO OUT CAMPは、2014年も開催を予定しています。『みんな一緒に盛り上がる』ことを大切にしながら、まだまだ拡大したいですね」

30人規模からスタートしたGO OUT CAMPのように、イベントはあえて小さく始めるのも一つのテ。小規模だからこそ、来てくれた参加者全員を丹念にケアし、今後のニーズを探れるという面もあります。さらに、面白い人を見つけては仲間に引き入れ、次回の開催へとつなげられれば、多くの人が集まる好循環が生まれるかもしれません。





(文章:矢口あやは)

竹下 充(Mitsuru Takeshita)プロフィール
1979年4月22日生まれ 広島県広島市出身
2002年 大学の卒業と同時に入社した、関西でストリートファッション誌から編集職をスタート
2005年 東京へ移住 ファッジ、メンズファッジの編集に関わる
2007年8月末 GO OUT創刊 創刊編集長に就任する
2013年4月 GO OUT 編集長を退任、退任後GO OUT のプロデューサーとしてGO OUT関係のイベント、商品開発に関わる
2013年5月 THE DAY創刊 創刊編集長に就任する

●GO OUT
アウトドアをファッションとして楽しむことを紹介する雑誌
ファッションを入り口に、そこから派生する登山、キャンプ、釣り、自転車などのアクティビティーも誌面や、別冊、イベントなどで表現している。

●年に2回開催するGO OUT CAMP、GO OUT JAMBOREEを運営
GO OUT CAMPは過去9回、GO OUT JAMBOREEは過去2回開催。その他に関西、猪苗代での開催を行った
毎年3月に代々木公園で行っているTOKYO OUTDOOR WEEKENDも実行委員会として運営を行う。

GO OUT http://www.goout.jp/

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