すべての子どもになぜ必要?プログラミング教育 |ゲスト:谷口 花菜子さん(株式会社アフレル) Think and Talk with Peatix #4 レポート

Peatix は、世の中の課題や、それに向き合うポジティブなアクションについて紹介し、視聴者の皆さんと考え、話すイベントシリーズ “Think and Talk with Peatix”を運営しています。

第4回目のテーマは「プログラミング教育とジェンダーギャップ」。2020年度からプログラミング教育が小学校で必修化された一方で、プログラミングスクールに通う女の子や、女性のIT技術職の割合が低いのが現状です。

そのジェンダーギャップの解消を目指して、2021年・2022年の6月に「KIKKAKE~ガールズプログラミングフェス~」が開催されました。女の子を対象に全国のプログラミングスクールがさまざまな体験コンテンツを提供し、プログラミングを始めるきっかけとなることを目指した1か月間のイベントです。

 

今回のThink and Talk with Peatixでは、KIKKAKE実行委員会の株式会社アフレルの谷口花菜子さんをゲストにお迎えし、プログラミング教育におけるジェンダーギャップの課題と、プログラミング教育自体の重要性、可能性についてお話を伺いました。

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Part1:株式会社アフレルの谷口さんからのおはなし

プログラミング教育におけるジェンダーギャップ

株式会社アフレル、GMOメディアが運営する「コエテコ byGMO」の2021年の調査によるとプログラミングスクールに通う生徒の80%が男の子だそうです。

 

KIKKAKEガールズプログラミングフェス

このジェンダーギャップの解消を目指して、2021年・2022年の6月に「KIKKAKE~ガールズプログラミングフェス~」が開催されました。GMOメディア株式会社の運営するプログラミング教室の情報サイト「コエテコbyGMO」と、プログラミングスクールの開設・運営支援を行う株式会社アフレルが企画し、趣旨に賛同した全国のプログラミングスクールが、女の子を対象にさまざまな体験コンテンツを提供し、プログラミングを始めるきっかけとなることを目指した1か月間のイベントです。

今年、初めてこのイベントに参加した女の子は全国で1000人以上。イベント実施後のアンケートでは、参加したお子さんのほぼ100%が「もっとやりたい!」と回答しました。

 

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Part2:視聴者の皆さんと一緒にディスカッション

どうして女の子がプログラミング教育から遠ざかってしまうのか?

女の子がプログラミング教育から遠ざかってしまう要因は主に3つあります。

1つめは環境です。現状、プログラミングスクールに通う生徒のうちの80%が男の子のため、そこに女の子が参加するのにはかなり勇気がいる状況となっています。実際、プログラミング教育に興味を持ってスクールに見学に行ったけれども、男の子ばかりだったため行きづらくなったというケースもあるようです。

2つめは教材のコンテンツです。従来の教材には「レーシングカーを競走させる」、「ロボットを組み立てて試合をする」などテーマ設定に偏りがあるものが多く、男の子の方が興味を持ちやすいという傾向にありました。

3つめにあるのが保護者の考え方です。保護者のなかには「プログラミングやエンジニアリングは男性のもの」という考えを持っている方も少なくなく、プログラミングスクールを女の子の習い事の選択肢として考えていなかったり、プログラミングを体験するような機会の提供に差がある現状があります。

 

IT業界に女性が少ないことの弊害

サービスや商品の作り手側に女性がいないなどの多様性がない場合、発生しうる様々な弊害があります。

1つめにあるのが社会的要請です。過去の話にはなりますが、自動車メーカーの開発メンバーに男性しかいなかったため、車の制御システムの走行テストの際にドライバーが妊婦であることを想定したテストがなされないまま製品が市場に売り出されたということがあったそうです。

この例からは、作り手側に偏りがあると、生み出されるプロダクトが一部の人に対して不当に不利益を生むものになる可能性があるということがわかります。

2つめにあるのが本人の将来の選択肢です。これからのデジタル社会においては一定以上のデジタル知識・能力を習得する人材が必要とされています。女性がデジタル分野において知識・能力の習得具合に男性と差がある状況が続く場合、労働市場におけるジェンダーギャップはいつまでも解消しないままとなる可能性もあります。

 

プログラミング教育はなぜ必要?

これからの超情報化社会において、プログラミングの知識や経験は仕事とは関係なく生活するためにも必要です。身の回りのものがよりIoT化し、デジタル技術が発達していく世の中において、それらを「つかいこなす」ためにも知識が必要になってきます。

将来の仕事という面でも、全ての人が「作り手」になる必要はありませんが、作り手と一緒に働く「コア人材」がこれからますます重要になると言われています。作り手と会話ができて、物事の判断ができるレベルの人材は今後さらに重要になるため、「ロボットを作る仕事には就かないだろうからプログラミングは不要」という考え方はこれからの時代にはそぐわなくなっていくでしょう。

プログラミング教育には「プログラムを書けるようになるための学び」だけではなく、プログラミングやAIなどの技術に触れてそれに「慣れる」ための体験という意義もあります。そのような理由から、プログラミング教育は一部の子どもが習得すれば良いものではなく、本人の生活を豊かにするためにも全員が学ぶ必要のあるものだということがいえます。

 

アフレルがこれから提供していきたいもの

株式会社アフレルとしては、世界のSTEAM教育の情報や、今後さらに活用されることが期待される技術を学ぶ機会を提供していきたいと考えています。

来春に向けて計画が進んでいる小学生向けのAI教育のプログラムでは、AIのプログラム(機械学習)を用いながら、効率的なゴミ拾いを可能にするツールを作る予定です。AIの仕組みへの理解を深めながら世の中の課題解決に取り組み、「AIは課題解決のために人が活用していくもの」と学ぶことがねらいです。子どもたちが関心を持ちやすいテーマや、学校で学習する内容などを取り入れながら、バリエーションのあるテーマ設定と先端の技術を組み合わせたコンテンツを提供していきたいです。

 

 

[Q&A] 海外におけるプログラミング教育の事例を教えてください

World Robot Olympiad(ワールドロボットオリンピアド)という国際大会をご紹介します。これは自律型ロボットによる国際的なロボットコンテストです。2018年にタイで行われたWRO国際大会でのインタビューをご紹介しますが、ここでは、

「WROを通して、テクニカルなプログラミングのスキルだけでなく、英語などのソフトスキルも同時に身に付けることができる。それが将来に活きる技術の取得につながる」という話がなされています。

プログラミング自体を目的とするのではなく、「これをつくりたい、これをやりたい」という動機からプログラミングを手段として活用できるようなアプローチが素晴らしいと思います。

 

WRO Japan 公式サイト

 

[Q&A] どのようなステップを踏んでプログラミングを学べばよいのでしょうか?

プログラミング教育には特に決まったステップはなく、種類も多様なので、お子さんの年齢などに囚われる必要はありません。ひとつのテーマにのめり込むタイプのお子さんもいますし、本人の興味関心に沿って進められると良いと思います。

例えば、「ロボットは好きじゃないけど、自分が書いた絵を動かすのは好き」という子に対しては、両方を段階的にバランスよくやらせなくては…と悩まなくても、本人が好きな方向をどんどん伸ばしてあげるアプローチを取って良いと思います。

そういう意味で、特定の分野に興味をもてなくても、他の分野に本人が面白いと思えるものがあるかもしれないので、様々なタイプのコンテンツに触れてみることも有効です。いろいろなスクールの体験会に参加して様々な機会に触れることでお子さんが何により興味を示すか、熱中できるかを観察してみましょう。

 

[Q&A] 家庭でできるサポートはどんなことですか?

プログラミングに触れる機会を子どもたちに提供することが大切だと思います。子ども向けのプログラミングイベントや、プログラミングスクールの体験会などは多数開催されているので、まずはそれを体験してみるのがおすすめです。

多くの情報が集約されているウェブサイトも多いので、そのようなサイトを見て、お子さんが興味を持ちそうなものにどんどん参加してみるのが良いのではないでしょうか。

 

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プログラミング教育は一部の子どもが習得すれば良いものではなく、ジェンダーや将来就きたい職業に関わらず全員が学ぶ必要のあるものです。プログラミングに子どものうちから触れることで、今後ますますデジタル化する社会でもIT機器を「使いこなせる」ようになり、それが子どもたちの未来の選択肢を増やし、生活を豊かにすることにつながります。

 

子ども向けの体験イベントやセミナーはもちろん、大人向けにもプログラミングやテクノロジーを体験する様々なイベントが開催されています。お子さんをお持ちの方も、そうでない方も、プログラミング教育やこれからのテクノロジーってどんなものだろう?という疑問や興味を持った方は、ぜひその世界を知る機会に参加してみてください!

 

KIKKAKE~ガールズプログラミングフェス〜の情報をもっと知る

KIKKAKE~ガールズプログラミングフェス~公式サイト

 

Peatixは、「世の中の課題や、それに向き合うポジティブなアクションについて紹介し、視聴者の皆さんと考え、話すイベントシリーズ “Think and Talk with Peatix”」を運営しています。今後のイベント開催情報はこちらのページでお知らせしていきます。ぜひグループをフォローしてください!

 

Think and Talk with Peatix

 

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