「都市とはアートである」都市で起こることを表現し、都市と連動し、未来をつくっていく。NAKED村松氏が考える、「都市がもつ意味性」とその表現とは/ イベントサロンwith TOKYO ART CITY by NAKEDレポート

2017年8月4日、TOKYO ART CITY by NAKED展示会場にて、NAKED IncとPeatixの共催となる「イベントサロン with TOKYO ART CITY by NAKED」を開催しました。

今回のテーマは「都市」。都市の魅力や都市で行われる人の営みについて考え、活動するトップランナー4名のゲストをお迎えしました。アートから都市デザインまで幅広いお話で盛り上がりました!

 

「都市とはアートである」都市で起こることを表現し、都市と連動し、未来をつくっていく。NAKED村松氏が考える、「都市がもつ意味性」とその表現とは

NAKED Inc. 村松 亮太郎氏

東京を象徴する”渋谷スクランブル交差点”とは何か

皆さんこんにちは。このTOKYO ART CITYの総合演出をやっておりますNAKEDの村松です。

いま僕たちがいるのはスクランブル交差点、ここは渋谷です。そう思うと渋谷に見えてきませんか?本当にそういう場所なんです。360度、情報と人が行き交う場所。世界一人が行き交う交差点というのは、交差と言うより放射状です。

 

いまこの会場は赤いですよね。いま渋谷のスクランブルは赤信号だということです。床の線は車の動きです。青になると人が歩き出すのがあそこの点々で表現されます。頭上にヒュンヒュンって光るLEDが山手線です。ここではモノ自体をリアルに再現するのではなく、その意味性みたいなものを表現しています。コミュニケーションや交通インフラ、そういったものの意味性です。それぞれの東京ライフの中で起こることを全部アートに起こしています。

 

東京を映す最初のカットが渋谷のスクランブル交差点というのは、世界でもよく言われています。「360度、ヒトと情報が行き交う集積地。東京のヘソみたいなところ」ということから、スクランブル交差点が東京の象徴として扱われるのではないかという解釈のもと、それを表現してみました。

都市はアートそのものである

都市に「アートっぽいものを持ち込もう」という試みは多いです。地方に行くと〇〇芸術祭などがあって、アート作品を置いていますよね。それはそれでいいと思うんですが、僕が今回TOKYO ART CITYでやりたかったのは「そもそも都市とはアートではないか」ということなんです。

 

ニューヨークっぽいとか、パリっぽいとか言って、それをカッコいいと思う。それはすでにアートなのではないかと。昔からある建物も、過去のある地点で作られたものです。物質なのでそこに定着していますが、100年前の建物も50年前の建物も全て、それを作るというコトから生まれています。そういうモノもコトも全部含めたその街をカッコいいと感じるのはどういうことなのかと考えています。

 

人々の過去、現在、そして未来をイメージづくる広告なんかも含めて全てが町の景色の一部になっている。過去、現在、未来を超えて多くの人々が営むそれぞれのライフみたいなものの集積が、「その街っぽさ」をつくり上げているのではないかと思います。

 

その営みの集積が文化となって定着し、その文化がまた都市に反映されていく。建物ひとつとってもポストモダン様式とか色々あるわけです。そしてそれを生んだポストモダンの時代や、また違う時代があったり。そういうことが全部残ってできているので、都市とはアートであると。人々の営みや文化の集積、そういうカオスなアートだと思えるんです。

カオティックな東京をいま一度意識してみるタイミング

特に東京という街は、すごく多様で、広くて、カオティックな要素がグチャグチャ詰まっている街です。一言で何とも形容しがたいところが東京っぽさ。その言葉にしきれない東京っぽさを可視化してみようじゃないかと。そして、もう一回自分たちが住んでいる街や、東京は何なのか考えるきっかけになればと思い、この展示を企画しました。

 

世の中では2020年オリンピックもありますので、日本の人も世界の人も「東京」を意識すると思うんです。こういうタイミングって意外とありません。普段関係ないことはみんな気にしないので。でも今は、それをきっかけに「東京って何だっけ」と考えるいいタイミングな気がしたんです。考えたりディスカッションするだけではなく、実際にかたちにしていく場を作りたくて僕はこれをつくりました。

 

先日もここで、EXILEのHIROさん率いるLDHの方々がダンスバトルを行いました。ただのコラボではなく、ストリートカルチャーとしてのヒップホップとして実際にバーっとダンスを繰り広げたときに、ここがもっと渋谷になったんです。

 

都市だから当たり前なんですけど、人がいて初めて完成していく部分があるんです。リアルな渋谷ではないのに、渋谷のリアリティーがあるみたいな感覚になって、とても面白いと思いました。そういう風に、ここは場のアートだと思うんです。なので皆さんにもどんどん参加してもらいたいですね。

 

人の営みが集まり、常に変化し成長していく都市を表現する

このTOKYO ART CITYは昨年末にプロトタイプとして、350平米とこの半分のサイズでやったんです。今回は倍のサイズになっています。僕の構想では、この4~5倍の画があります。ここはまだ原宿エリアもなければ、港区もまだはっきりなく、まだまだ未完成。全部そこに行く過程なんです。そして僕は未完成でいいと思っています。なぜなら都市だから。常に変化しながら成長していく。それが一番東京らしいと思ったので、そうやって都市が成長していく過程やプロセス自体を見せるのも面白いなと思っています。

 

そこに誰かが参加して、何かが起きて……ということが起きるといいな、誰かとの出会いによって、僕の計算していなかったようなことが起きるといいなと。そんなことを楽しみにしながらこのプロジェクトをやっています。

8月にサムライズというLDHのアーティストたちと、狂言師の野村万蔵さんがここで共演します。伝統と先進の融合です。それ以外にも漫画や、スポーツにかかわることなどもこの場で起こります。そうやって育っていくアートなのでこれからも見届けていてくれていると嬉しいです。若しくは参加してもらうという手もあります。やりたいことがいっぱいあるんです。どんどんいろんなことが仕掛けられて欲しい。なぜならばそれが街の一部なので。そういったことが今後広がっていけばいいなと思います。

 

東京で起こっていることをここで表現し、東京と連動しながら、東京というものをみんなで可視化していって、場合によってはそれで未来をつくっていく。ここで好きな実証実験をやっても面白いと思います。この場は実はそういう仕組みになっていて、未来っぽいマッピングショウではないということです。

 

[Q&A]

「リアル」と「リアリティ」

[Q] お話の中に出てきた「リアル」というものについてどうお考えですか?私たちがリアルだと思っている実在する渋谷スクランブル交差点と、今ここの会場で再現されている渋谷のリアルの間には、どんな違いがあると考えていらっしゃいますか。

 

[A] 「何をもってリアルというか」というのは面白いテーマです。一例として、あそこで展示している2012年に私たちが出がけた東京駅でのプロジェクションマッピングを例にあげて話してみますね。

 

東京駅という建物があります。これに関しては、みんな現在あるものとして認識しています。そこでマッピングをしたわけですが、みんなはそれを過去の2012年に行われたものとして認識します。だけどいま東京駅を見るときに、2012年にみたマッピングの記憶は今でも残っているんです。物質的にはもう存在しなくても、東京駅にはその意味性とか記憶をはらんでいます。そういうことも含め、今の東京駅というものが歴史を背負っているわけです。

今回の展示でも、時空を超えて過去、現在、未来、全部含めて表現したいと思っていますが、それはリアルなのか、リアルじゃないのかみたいなというのは難しい議論です。今は物質的に存在しない2012年の東京駅のマッピングはリアルではないのか。でも究極的にいえば、素粒子の単位で見れば、全てのものの実在は怪しくなってきます。だから、リアルかどうかというよりも「リアリティ」があるかどうかということですかね。その点では、物質的に存在する渋谷と、ここで表現される渋谷の間にどこまで違いがあるかという点は簡単に答えられない、面白いテーマだと思います。

 

都市と表現の関係、その場のもつ「意味性」

[Q] 人の動きやいろいろな情報を光や映像で表現するというのは、東京という街がそういうことに適しているのかなと思うんですけども、これが他の都市、例えば日本の地方都市だったりしたらやりにくいと思われますか?都市の違いが表現に与える影響みたいなところはいかがお考えでしょうか。

 

[A] これを見て、やはり大都市の世界の方々から「私たちの街でもやりたい」とお話をいただいたりもするので、やはり大都市に似合うやり方かなとは思いますが、必ずしもこのやり方だけじゃなくてもいいと思うんです。

 

南信州に阿智村という人口6,500人の村がありまして、そこの夜空は日本一の星空だと環境省に認められています。そこのブランディングディレクターもやっているんですが、そこに対しては日本一の星空の村としてやるべきことをやります。やっぱり重要なのは意味性なんです。東京が持つ意味、阿智村が持つ意味。

 

他にも佐賀県の光るアート県庁「SAGA」という企画で、県庁が夜になるとエンターテイメントプレイスになるみたいなことをやっているんですが、そこでも佐賀の意味性を大切に考えた作品づくりをしています。東京駅のプロジェクションマッピングをやってから特に思うようになったんですが、リアルな場にはどうしても「その場の意味」というものが生まれてくるので、それを尊重しないといけないと思っています。

 

「何か1つの物を開発しました。これをこっちでもやりましょう。あっちでもやりましょう」と、全く同じものを横展開するやり方は絶対に間違っていると思っています。なぜなら、それぞれの場所にある意味性を損なってしまうから。リアルな場所でやるからには、そこにある意味性をリスペクトして、それを踏まえた上でどう表現するかという方向性で作品をつくるようにしています。


その場、そのものがもつ「意味性」を大切に、リアルを越えた「リアリティ」を表現するNAKEDの作品。これから彼らの作品を楽しむとき、自分が何を感じているのか感覚を研ぎ澄ましてみると面白そうです。

NAKEDの今後の作品展示情報はこちらから!

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