あなたができることを、まずやろう。メンバーが手を動かすコミュニティのつくり方 / イベントサロン神戸vol.1 DAY2

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2017年5月6〜7日、神戸にて078kobeというフェスティバルが開催されました。ピーティックスも2日間にわたり「イベントサロン神戸vol.1」を開催し、神戸内外で活躍する素敵なイベント・コミュニティオーガナイザーのトークイベントを行いました。

2日目のテーマは”「Global to Local」世界で広がる思いを身の回りに広めるには” グローバルに広がるアイデア・表現・考え方を、身の回りに広めていこうと活動する方たちのお話です!

あなたができることを、まずやろう。メンバーが手を動かすコミュニティのつくり方 / イベントサロン神戸vol.1 DAY2
Code for Japan:関 治之氏

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こんにちは、関です。今日もこの、「ハックします ご注意ください」というTシャツを着てきましたが、いろいろな活動をやってまして、今日お話しするCode for Japan(コード・フォー・ジャパン)もそうですし、この前はNASAの企画する、世界最大規模のハッカソンをやったり、いろいろなワークショップを企画運営する会社をやっています。

今日はグローバル to ローカルということで、Civic Tech(シビックテック)というグローバルで広がるアイデアと、Code For Japanの活動の話をしようと思います。

Civic Tech (シビックテック) とは:市民がつくる公共システム

Civic Techという言葉があります。これは「Civic=市民主体の」「Tech=テクノロジー活用」ということで、市民が主体となって先端のテクノロジーの力を使うことで、より良い公共サービスを作っていこうという考え方です。

Code for Japanの活動に加えて、Code for All(コード・フォー・オール)というコミュニティにも所属していて、これは世界中のCode forの活動をしている人たちが集まるネットワークですが、そこで情報交換などもしています。

もともと僕は日本でエンジニアとして働いていて、社会貢献とかシビックテックとか全く興味のない人間だったんですが、なぜそういうグローバルコミュニティに参加するようになったかというと、きっかけは2011年の東日本大震災でした。

あの時、いろいろな情報が氾濫して、みんなが不安に陥っていた。そこで、sinsai.infoというサイトを立ち上げて、地図上に情報を整理して公開したりという活動をしたんです。ケニアで作られたオープンソースのソフトを使って作りました。あの時の熱量はすごくて、日本全国から200人くらいのエンジニアがこの活動に参加しました。みんな徹夜しながら不具合を修正したり、情報を更新したり、その経験から、こういう風にテクノロジーができることってあるんだ、すごいなと実感しました。

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それから行政とか、公共システムとかに目を向けるようになりました。それまでは、「公共システム=お上が勝手に作るもの」だと思っていたところがあったんです。自分たちは使う側で、公共サービスについては、税金払ってるんだしやってよって。でも実はそうじゃなくて、自分たちでできることがあるんじゃないかと。ないものは自分たちで作ればいいんじゃないかって思うようになったんですね。

テクノロジーで運営する公共サービスとは

そしてその後にHack for Japanという活動をして、同じように震災後の混乱しているところに、御用聞きのように尋ねていって、ITシステムでなくて困っているものは作るという取り組みをしてきました。そうこうする中で、もっと行政とコラボレーションしたいなと思うようになったんですね。でもどうしたらいいかわからないで悩んでいたところ、TEDのスピーチを見つけたんです。 ジェニファー・パルカさんという方の、「コーディングでより良い政府を作る」というスピーチです。

このスピーチの中にいろいろ素敵な話が出てくるのですが、その一つに、消火栓の雪かきの話がありました。この地域は冬になると雪で消火栓が埋まってしまう。それを、行政の雪かきを待っているのではなくて、「雪かきをして掘り出したら自分の名前をつけられる」というゲームにして、消火栓の位置を地図上で公開したんです。そしたらみんなが名前をつけたくて、いち早く雪かきに行ったという話があって、こういうように市民同士で課題が解決されていくのっていいなと思いました。

こうやってCode for America (コード・フォー・アメリカ) という団体を見つけ、彼らが市民同士で課題を解決しているのを見ました。彼らのプロモーション方法なんかもかっこよくて。これを日本でもやりたいと思って、コンタクトをとりました。すると「もちろん! 協力できることはするよ」と言ってもらえて、日本でもCode for Japanの活動を始めました。

シビックテックというのは、「By the People, For the people」の2つの円の重なりで表現されていて、日本語での表現をみんなで色々考えたのですが、「ともに考え、ともに作る」というスローガンにしています。

Code for Japanは人々のネットワーク

Code for Japanは人々のネットワークだと思っています。Code forのチームで何かをやるということはありません。何かするのはみなさん。各地の人々が集まってアイデアを作って、それを持続化させることを企業やNPOなどいろいろな主体とやって行く。Code forの組織は全国40地域に広がっています。Code for Kobeもありますので、興味ある方はぜひ参加していただきたいです。

いろんなワークショップをやったり、作ったものを共有したりなどしています。事例の一つとしてさっぽろ保育園マップという、細かい条件で保育園が探せるサービスなのですが、これを作った方は「自分が使いたかったから」というお母さん。そういう方のアイデアをエンジニアたちが集まって形にしていっています。また、自治体に企業が人を派遣して、いろいろな立場の人が混ざるような活動もやっています。

最後に伝えたいのはこのことですね。誰でも参加できる活動です。

「あなたがエンジニアなら、コードを書こう あなたがデザイナーなら、より良いデザインを考えよう あなたがプランナーなら、より良い仕組みを考えよう あなたがオーガナイザーなら、人々を集めよう あなたが誰であれ、口だけでなく、手を動かそう」

ということを掲げてやっています。ご関心があればぜひ参加してください。

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[Q&A]

Q) 関さんの活動のきっかけは東日本大震災だったということで、その時のsinsai.netの取り組みなど素晴らしいなと思いました。ただ、そういう盛り上がりって、生活が落ち着くと共に少し盛り上がりが冷めてしまうことってあると思うんです。そのような活動の停滞期のようなものはありましたか? それを回避するようなコツが何かあれば、教えていただきたいです。

A) 盛り上がりの落ち着きはもちろんありました。震災直後は本当にみんなアドレナリンが出まくりで、何日も徹夜で作業したりしましたが、それはずっと続くものではありません。

ただ、活動を継続させるためのシンプルなコツはあるんですよ。「後に引けない」状況を作っちゃうんです(笑)  組織を立ち上げてしまう。アウトプットして「やります」と言っちゃう。仲間が集まれば別のモチベーションが出てきます。「あいつも頑張ってるから俺も」みたいな気持ちが出てくる。なのでやっちゃう。踏み出しちゃう。というのがポイントかと思います。

Q) Code for Japanの取り組み、素敵だなと思うものの、コードが書けない人にとってはどうしてもちょっと敷居が高く感じられてしまう気がします。特にスキルがない人は、どのように関わっているのでしょうか。そういう人にはどういうコミュニケーションをされていますか?

A) できることって本当になんでもあるんです。一緒に考えるだけでもいいし、イベントで人を集めたり、イベントの受付だって本当に必要なことだし、そういう自分ができるところで参加してもらうということが重要です。

Code for Japanのサミットでは、キッズルームを設けたのですが、50代くらいの方が子どもたちが楽しめるように場所を整えてくれて、そこにエンジニアが混じって簡単なプログラミングを教えたりして。そういう「場を気持ちよくする」ことって、スキルは関係ない。そういうことでもぜひ関わってもらいたいなと思いますね。

Q) Code for の活動への関わり方にはどんなものがありますか?

A) いろいろな方法がありますが、Facebookのグループがあり、そこでは各地のCode for のメンバーが集まっているので、そこに入って発言をしてもらう方法もありますし、年に一度、サミットをやっているのでそこに来ていただくのも良いと思います。あと、神戸でもCode for Kobeが毎月定例会をやっているので、そこにやってみたいことを持ち込んでいただくのも良いと思いますよ。

Q) Code for Wakayamaってまだないですよね……? こういう活動に興味があります。自分の地域での立ち上げの方法と、行政の人とうまくコラボレーションするコツがあれば教えて欲しいです

A) 自分の地域での立ち上げは簡単です。コンタクトを取ってもらって、必要な内容を申請して貰えばスタートすることができます。あとで詳しくお話ししましょう。

行政とうまく付き合う方法については、まず行動を起こしてみることです。イベントをやったり、アプリを作ったり、動くものを作る。「こういうもの作りました。地域行政の情報発信に便利ですよ」というアプローチで実際のものを見せると話が早いような気がします。

イベント開催も、地域のメディアが来てくれることも多いので、そうすると行政ともつながりやすくなりますね。とにかく、あまり考え込まずにまずはアクションを起こして、それを元にコミュニケーションを取るのがいいと思います。

 


身近な生活や公共サービスについて、ただ待っているだけではなく、「自分にできること」で参加できるCode forの活動。今後もどんどん取り組みが加速しそうです!

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