コロナ下のこんな時だからこそ「#楽しいが必要だ」。大人気イベント「泡パ®️」を産み出したときの経験から、常にチャレンジし続けることを選ぶ体験クリエイター・アフロマンスさんの考え方

イベント・コミュニティ主催者のためのイベント「イベントサロン」第19回は、落語家・立川志の春さんと体験クリエイター・アフロマンスさんをお迎えし、コロナ下においても歩みを止めず、イベントをやり続ける理由についてお話を伺いました。

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体験クリエイターのアフロマンスさんは、「アイデアと実現力で、新しい体験をつくる」活動をしています。

手がけてきたイベントは、泡にまみれて踊る大人気イベント「泡パ®️」、街中を巨大ウォータースライダーで滑る「スライドザシティ Slide the City JAPAN」。佐賀県のPRで120万枚の花びらに埋もれるバー『SAKURA CHILL BAR by 佐賀』の企画もしています。『東京喰種(トーキョーグール)』という漫画とコラボしたイマーシブレストラン「喰種レストラン」など、「体験」を軸にした企画を次々と産み出してきました。そんなアフロマンスさんでしたが、「イベント」を軸とした今までの企画はコロナ下で実施が難しくなり…。

 

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リスクをヘッジした上で楽しいことを考えていくことは、絶対に間違っていない

2020年3月以降、すべての計画が延期または中止となりました。

コロナ下になって一番最初にやったのは、「#楽しいが必要だ」という言葉を考えたことなんです。ちょうど2月末~3月頭くらいにどんどんイベントが中止になっていって、どんどん世の中が暗い感じになっていって。本当にこの感じがすごく嫌だったんですよね。

 

そして、イベントが全部ダメかというとそうではないはずだと冷静に考えるようになりました。オンラインという方法もあるし、コロナ下でもできるイベントの形があるんじゃないかと。

 

「リスクをきちんとヘッジした上で、楽しいことを考えていくのは、絶対に間違っていない」と思って、このメッセージを投稿したら思った以上の反響をいただいたんです。そこで僕も勇気をもらって「#楽しいが必要だ」というのをどんどんやっていこうと思いました。

 

そこからは早くて、3月16日にメッセージを出してから、3月19日には自宅に春を届ける「SAKURA CHILL DELIVERY」という企画を発表しました。毎年やっている「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」のイベントは開催できなかったので、東京都内は、僕がUber Eatsみたいに桜の枝と佐賀の日本酒を届けに行ったりして。

 

4月に入って音楽イベントができない中、m-floのTakuさんから連絡をもらい、オンライン音楽フェス「BLOCK.FESTIVAL」を4月からやり始め、去年は5回開催しました。もう思いつくことをどんどんやっていこうと思って、5月のゴールデンウィークにはキャラクターがデリバリーする「キャラデリバリー」、そしてドライブインシアターを音楽フェス版にした「ドライブインフェス」を企画しました。

 

フェスなどの大きなイベントは、協賛がつかないと赤字になるんですが、もう我慢ができなくて6月に自主開催でやったんです。当然赤字。チケットが完売しても赤字なんだけど、とりあえずやった。でもそこからつながって、8月にはスポンサーが付いた形で実施することができました。

 

今年に入ってからは、鹿児島で路面電車を使った「マグマやきいも電車」というやきいもを食べながら街を回る体験型のイベントをやりました。そしてRPGのグルメが食べられるVRイベント「RPGレストラン」。また、車に必要な機材などを全部詰め込んでいろんな場所で音楽イベントができる「VANLIFE DJ」という車を作りました。そういう体験を軸にしながら「#楽しいが必要だ」ということをかたちにしています。

「全く初めてのこと」のリスクを一緒に取ってくれる人はいなかった

とにかく「やってみないとわからない」という気持ちでどんどん新しい企画を実施していきましたが、その背景にはずっと前に「泡パ®️」を始めた時の経験があります。

 

今でこそクラブでも見慣れましたし、商業施設でやれば子どもたちも喜ぶ人気イベントになりましたが、初めてやるって言った時には、みんなすごく否定的だったんです。

 

機材が壊れるんじゃないかとか、滑って転ぶんじゃないかとか、そもそも音楽を楽しむ時に泡なんかいるのかとか。ケチのつけようはいくらでもある。やはり最初にやるってすごく大変なんです。

 

どこまでケアすればいいかわからなくて、最初にやった時はクラブの中を全部ビニールで覆ったり、一晩のためにめちゃめちゃ労力をかけました。

 

その時に、一緒にリスク持ってくれる人が全然いなくて。それまでの普通のイベントでは、手伝ってくれた人たちも、全く新しいことをやろうとしたら手伝ってくれなかった。

 

だけど結果は、それが当たって、ワーっと世の中に広がって。どんどん人も来るし、お金も集まる。結果的にビジネスとしても成り立っていったんです。やっぱりやってみて、最初の一石を投じないと何もわからないし、始まらないと思いました。

 

おもしろいイベントかどうかは「やってみないとわからない」

机の上でいくら、「泡パ®️」の絵を描いていても、永遠にかたちにならないですよね。だから僕の原体験として「やったほうがいい」というのがある。なので、コロナ下になった時にも、「とりあえずやらないと何もならん」と思い、どんどん挑戦しました。ただでさえコロナ下なのに、去年の前半は赤字いっぱい出しました(笑)

 

でも、結果として「やらなきゃ良かった」というイベントは、ほぼないですね。「やってダメだった」ことはあったけれど、ダメだとわかったから良かったという感じ。それに、僕のイベントを見てくれていて、ポジティブな気持ちになって、「じゃあ僕もやろう」という人たちも出てきたりするので、結果的には良いですよね。

 

イベントというのは、ビジネス的にはあまり賢くないかもしれない。それでもやり続けるのは「知ってしまったから」

イベントというフォーマットにはすごくいろんなものがあるのでどう定義付けるか難しいですが、僕の中で「短期的な何か」というイメージがあります。ディズニーランドとエンタメイベントの何が違うかと言われたら、開催期間の数日しかやらないことです。

 

これってビジネス的に言うと、あまりよろしくないじゃないですか。頑張って準備したのに1日2日で壊しちゃって。だから正直、イベントが好きな人とかイベントに出すぎる人って、ビジネス的にはあまり賢くないと思うんですよ。こういうとアレなんですけど…..(笑)

 

それでも僕は、やっぱり楽しいからやると思うんです。やっぱりイベントでしか得られない何かがある。それは人とのつながりだったり、熱狂だったり、人によって様々だと思いますが。

 

そして、イベントは短期的だからこそ「新しいことをどんどん試せるフォーマット」だと思うんですよね。コロナの中で新しいことに挑戦していかなければいけない時に、「イベント」というフォーマットは、どんどん新しいことをやるべきだし、試していけるような場でもある。

 

あとはリアルタイムで、オンラインであってもお客さんと双方向で交流する。そのライブ感が好きなんですよね。一方通行じゃないものと言うか。

 

事前に収録したコンテンツを配信し続ける方法もあるし、もしかしたらそのほうが効率がいいかもしれないけれど、やっぱりライブには「そこでしか得られない何か」があるんです。お客さんに提供している体験もあるけど、作り手や演者側にも、イベントじゃないと得られない体験があって。

 

それがそのまま儲かるかと言われるとわからないけど、その楽しさを知ってしまっているから辞められないのかなと思います。ちょっとまとまっていないんですけど、僕はそんな感じです。

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▶︎イベントサロンvol.19 立川志の春さんのトークはこちら
「イベントの企画のヒントは、イベント外の場所に眠ってる」落語家・立川志の春さんが語るイベント企画のコツ

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この記事は、2021/09/30開催のイベントサロンvol.19「それでもなぜ、イベントをやり続けるのか−コロナ下でも挑戦を続ける原動力とは−」のイベントレポートです

 

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