若手採用のコツとは?アプローチの勘所や、経営陣と握っておくべきこと。ビズリーチ、スタートトゥデイテクノロジーズ、freeeの3社が徹底談義!パネルディスカッション

 

2018年6月21日に”急成長ベンチャー企業経営者が語る〜もうこれまでの採用スタイルは通用しない〜「20代の人材採用&活用の処方箋」”が開催されました。

株式会社スタートトゥデイテクノロジーズ代表取締役CIO 金山裕樹 氏、freee株式会社執行役員CMSO 野澤俊通 氏、株式会社ビズリーチ執行役員/キャリトレ事業部事業部長 中嶋 孝昌 氏が登壇、採用担当や経営者の方々が多数参加されました。パネルディスカッションの内容をご紹介します。


採用活動に特効薬はない。地道に仮説検証を繰り返していく

金山:採用に関しては本当に試行錯誤だと思います。採用以外もそうですが、ベースは量です。採用はやりづらい分野ではありますが、それでもやっぱり仮説をつくって試してみて、そこからフィードバックを得て次にいくというのが基本だと思います。

 

野澤:そうですね。やるべきことをコツコツとやる。それが最大限できる体制をつくる。そのなかには失敗や、効かない施策もありましたが、それらを検証・改善していく。それを愚直にやるのが大切だと思いますね。

 

金山:基本的に、起こったことは全部記録します。例えば、スカウトメールは一時期、全部見ていました。そうして、定型化できるところを少しずつ仕組み化する。思いがあるスタッフの熱意は伝わるのでその力は大きいのですが、でもそれではスケールしないので、技術や思いを伝承していくということは意識しています。

 

野澤:そうですね。言葉や見え方は重要です。クリエイティブにはこだわれと常に言っています。 写真がカッコ悪い会社なんて行きたくないよね、と。あと、その言葉で僕らが一番伝えたいことが明確に伝わるかということも重要です。


まずクリエイティブや言葉をつくってみて、数字を見て反応が悪ければすぐに変える。 リクルーティングチームにはその思い切りの良さを徹底してもらっています。やってみて、結果を見て、やり直す。それを何度も繰り返すだけです。

中途採用と新卒・若手採用のコツとその違い

中嶋:そうなんですよね。この試行錯誤を繰り返すと結果は出てきます。あと、ビズリーチとキャリトレを見ていると、それぞれの傾向がわかって興味深いです。

求人のつくり方にもかなり違いがあります。ビズリーチはすごくわかりやすく、年収を訴求した求人になっています。あとはポジション名ですね。だから割とシンプルな世界です。


一方で、キャリトレで求職者が一番見ているのは、実は写真です。逆に文章はあまり関係ないかもしれなくて、「視覚的なインパクトや、自分との相性を見ているのだろうな」と感じて面白いです。

 

中島:金山さんは実際にファッション系のサービスを立ち上げられた経験がある中で、ビジュアルに対する感性の変化についてお詳しいかと思うのですが、その辺りのトレンドはどんな感じですか。

 

金山:20代はインスタを一番見てるからじゃないですかね。Instagramに画像が流れてきて、そこで「いいね」したりとか、保存したりする中で、写真で判断するという世界にいる。触れているものが違う気がしますね。30代は多分Facebookですかね。そうなるとコミュニケーションは文字ベースだったり、ニュースみたいなものになる。なので、このお洒落というポイントは納得ですね。

採用してからの人材活用・社内コミュニケーションで意識していること

中島:先ほどのお二人のお話どちらもそうですが、社内のコミュニケーションも重視されていましたね。現社員とどのようにコミュニケーションしているのか、もう少しお話お聞きしてもいいですか。

 

金山:僕の場合は、話すのが得意なので、週イチで喋るというのをやっています。会社のビジョンだったり、価値観だったり、ときには業界動向かもしれませんが、みんなを集めて、1人ずつの顔を見ながら喋る。得意なかたちでやるのがいいような気がします。僕がブログをやっても燦々たるものですので。

 

中島:さり気なく仰っていますが、ちゃんと時間をとるとか、ちゃんとやることを徹底するのが大事なのでしょうね。

 

中嶋:そうですね。価値観などを週に何回聞くのか、自分自身も週に何人に話しているのかということは、長期的に効いてくるでしょうね。誰に聞いても同じように返ってくるというのは、日頃のことがないとなかなか難しいと思います。freee様ではいかがですか?

 

野澤:弊社には価値基準という会社の考え方を表した行動指針があるのですが、折に触れて浸透を意識して発信します。例えば、「マジ価値」っていう言葉を浸透させるために、「マジ価値組織」「マジ価値未来」「マジ価値なんとか」……というふうにあらゆる場面で言っています。

 

週に1回、火曜日の夕方5時からオールハンズというミーティングをするのですが、そこでも必ずその話をします。浸透させていくためにどんどん使うという感じですね。

採用活動におけるコストのかけ方・計算の仕方

野澤:今年は新しいことをやりたいので、インターン施策、ダイレクト・リクルーティング、リファーラルにもっとコストをかけていきます。

 

今までは面接をして採用するという感覚を持っていましたが、その人を追いかけ続ける、その人のキャリアコンサルティングまでやる。そこにコストをかけていこうと思っています。

 

お金の使い方をガラッと変えていきたいと思っているんです。なので、予算取りでは細かく施策レベルに落とさず、採用教育費をドンと計上。とにかく「結果を出すぞ」というやり方を取りたいと思っています。

 

金山:僕らも実は似ていて、年間で採用費がドンと積まれていて、中はもうブラックボックスみたいな感じはあります。最終的には1年を振り返って割り戻していますけどね。ですが、あんまり細かくこれにいくら、これにいくらと計算することは、あまり意味がないと思います。

 

また、僕らも人材紹介はあまり使いません。定着率があまり良くない気がします。人材紹介の方は僕らのことを良く言いすぎてしまうんです。期待が高くなりすぎて、入ってからがっかりされるのが一番嫌だという思いがあります。結局、定着しなかったらまた採らないといけないですし。

 

野澤:結局、辞めちゃうとダブルでコストが掛かっていくので、採ったコストが高くて、さらにもう1人採るとなると、本当に事業計画が狂いかねませんからね。

若手世代との向き合い方

中島:20代の皆さんを一括りにするのは危険とは思いつつ、彼らは「ミレニアル世代」とか、「ゆとり世代」などと言われ、価値観も多様化しているように思えます。そういう中での採用はどう考えていますか?テクニックもあるかも知れませんが、会社としてのあり方が問われている感じがしています。その辺りはこれからも変わっていきそうでしょうか。

 

中嶋:そうですね。お二人の方からお話があった通りで、われわれは具体的なプロセスをお手伝いすることはできますが、最終的にはその会社が何をしたいのかを把握することが一番重要です。

未来がある若い方々に、自分が活躍できる、もしくは幸せになれる環境と出会ってほしい。会社ごとにそれは違いますし、ご本人の思いもまったく違うので、そこがうまくマッチングしていけばいいなと思います。

 

自分たちの会社はどんなことがやりたくて、これはできるけど、これはできない。「自分たちにとってのプライオリティーは、こういう順番だけど、あなたが生きるうえでのプライオリティー、仕事のプライオリティーはどうですか?」というすり合わせがきちんとできるということだと思います。

これから離職率は上がっていきますし、お互いに一定の期間の中で、win-winの関係を築けるということを企業さんにはお願いしたいし、我々もそういうマッチングをしていきたいと思います。

 

お互いに嘘偽りなく語ってもらうことが大切だと思いますし、過小評価して伝える必要もないと思いますが、実際以上に良く見せようとせず、きちんとした会話を持ってもらいたいと思います。

 

若手世代が求めているのは、カジュアルに、自然な姿で会ってもらうこと

中島:そういう意味では、キャリトレのサービスをはじめて日が経っているかと思いますが、ようやく時代がついてきましたかね。

 

中嶋:そうですね。今、企業と若い候補者の方が、ランチや電話、SkypeZoomなど、いろいろなツールやチャネルでカジュアルに話をしているのは、われわれとしてはすごくうれしいです。


面白い採用活動もやっています。例えばニクリーチ。われわれも新卒採用は中途採用以上に苦戦していまして、知名度もなく、悩んでいました。そこで「肉をフックに優秀な学生と会おう」というプラットフォームをつくりました。


界隈の会社さんとやってみて、とりあえず良い候補者を採用はできるんですけど、毎年コストもかかるし、なにより毎回肉を食べなくちゃいけない。肉を食べるのがキツくて、もうやめようかと毎年思うんですけど、毎年継続してしまう。


でもそうやって、相手の要望に応えていくのが大事だと思います。それが肉であろうが、お酒であろうがなんでもいいですが、若い候補者の方がそういうところに興味を持ってくれるのであれば、そこにコストをかけていく。

 

そして、メンバー同士や、現場の社員をいかに会わせるか、どれだけコーディネートできるかということを考えてもらいたいですし、そこから「あっ、この会社面白いな」とか、「この人たちと働きたいな」と思う瞬間をつくっていくことが一番だと信じています。特に若い候補者の方はカジュアルに会うというのを徹底的にするといいと思っています。

中島:では最後にゲストの方に一言ずついただいて締めたいと思います。

 

野澤:お金の話もたくさんしましたが、採用は人を採用するその瞬間にかける仕事ですよね。ちゃんと投資しなくてその人に逃げられたら、その人はもう取り返すことはできないという思いを持たなくてはいけないと思います。

だから、今やらなきゃいけないことを徹底的にやること、「逃げられたら終わりだ。逃げられてはもったいない」と思って、 採用活動に取り組んでもらえたらと思います。 そういう意識を持ってやっていくだけで、一歩ずつ成功に近づくのではと思っています。

 

金山:私たちは、採用するときに候補者さんが今後一緒に働くことになるだろう社員と話す機会を多く作っています。それは我々だけでなくスタートアップやベンチャーが採っている手法です。

「ほら、君はこのチーム。上司やメンバーはこんな人だよ。こんな仕事をするんだ」という、入社後の仲間たちの顔が見える採用をやっているので、もしも、人事や採用担当だけしか候補者に会ってくれないとお悩みの場合は「ベンチャーはそういう戦い方をしているから、変わらなかったら勝てないですよ」と言ってやってください。これを1つお土産として持って帰ってもらえたらなと思います。

 

そして、「自分を成長させてくれるような人がいる」ということを見せるのも、我々の常套手段ですので、皆さんも同じようにやられるのがいいのではないかと思いました。

中嶋:私は7年間ぐらいダイレクト・リクルーティングのサービスをしていますが、優秀な方であればあるほど、会社のお金や、見え方ではなく、経営のビジョンに共感できるかを重視されています。

それはもう、人と人とのことだから、恋愛や結婚とかと一緒なのかもしれませんが、それぞれにドラマがあって、引き合うものがあって、それで採用が決まっていくんだろうなと思うんです。われわれが相対しているのは未来のある人であって、それは数字とか金額ではないはず。ぜひそういう血の通ったつながりを持っていただけたらと。そんな採用に、われわれは1件でも多く介在できればと思っています。


 

 

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