一般社団法人 ナイトタイムエコノミー推進協議会が考える「夜の価値」

 

Peatixは、2022年8月31日に、多様な人々の交流や文化を生み出す夜間経済の活性化に向けた活動をする一般社団法人 ナイトタイムエコノミー推進協議会(代表理事:齋藤貴弘/以下:JNEA)と、コロナ禍で制限されたエンターテインメントをはじめとする文化体験活動の再興に向けたパートナーシップを締結しました。

そこで今回は、JNEA代表理事の齋藤貴弘様に、パートナーシップを締結した背景と今後の展望についてお話を伺いました。

 

Q)ナイトタイムエコノミーとはなんですか?

ナイトタイムエコノミーとは、18時から翌日朝6時までの活動を指します(国土交通省発行『ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集』より)。

日中とは異なる新しい時間市場として「夜」を捉える考え方で、各種の経済活動に加え、夜ならではの実験的で創造性に富む文化表現や、多様な人々による昼間の肩書きを超えての交流といった様々な活動を包含します。

 

Q)貴団体の活動について教えてください。また、JNEAを発足した目的は何ですか

ナイトタイムエコノミー政策は、2017年頃よりナイトタイムエコノミー推進議員連盟をプラットフォームとして、政治、行政、そして民間事業者で議論され、具体的な政策となっていきました。当時、急増するインバウンド観光客の夜間ニーズに対応するため、観光庁が主導してナイトタイムエコノミー政策を推進していくことになりましたが、政策が実効性を持つためには民間との連携がとても重要です。JNEAは、多様な夜の魅力や価値について議論し、国や自治体、民間事業者が一体となった夜間活用の取組みを支援していくための存在として発足しました。

具体的な活動内容としては、観光庁の夜間活用のモデル事業に対して各種専門家による事業コーチが伴走支援していく仕組み作りや、観光という切り口にとどまらず「文化・観光・まちづくり」といった分野横断でのリサーチをしたり、また世界中のナイトタイムの先進都市の知見を得るために世界とのネットワーク構築を進めたりしています。

 

Q)日本におけるナイトタイムエコノミーの現在の状況はどのようなものですか?海外などで参考になる事例はあるのでしょうか?

観光庁が中心となり、急増するインバウンド観光客のニーズに対応するためにナイトタイムエコノミーを推進してきましたが、世界的な新型コロナウィルスの蔓延によって2年以上にわたって人々の移動や交流は大きな制限を強いられてきました。今後、観光という観点でもナイトタイムエコノミーの速やかな復興は当然必要ですが、それはナイトタイムエコノミーの一部にすぎません。

「人間、文化を中心とした街づくり」、「住み、働き、遊ぶ人の多様で豊かな営み」があるからこそ、街は「観光客にとっても魅力的な場所」となっていきます。ナイトタイムエコノミーの先進都市でも、都市間競争下における都市の魅力、ライフスタイルの多様性という文脈でナイトタイムエコノミーが論じられています。

例えば、ロンドンのサディク・カーン市長は、世界的に熾烈な都市間競争に勝ち抜くために、多様な人々を招き入れていく魅力的な街となることの重要性を訴え、「ロンドン24時間都市構想」を示して時間軸も含めた多様なライフスタイルを推奨しています。同様にシドニーのクローバー・ムーア市長も「豊かな文化的生活とナイトタイムエコノミーは繁栄するグローバルシティに欠かせないものであり、多様な選択肢がコミュニティの絆を深め、強度を高め、インクルーシブなナイトライフを生み出し、安全や犯罪の減少に寄与する。」と発言しています。

 

Q)Peatixとパートナーシップを結ぶことになった背景について

――コロナの影響で一度は活動が制限されていたエンターテインメント業界ですが、今回の再始動にはどんな背景があったのでしょうか。

エンターテインメント業界は新型コロナウイルスの影響をもっとも強く受けた産業のひとつです。特に東京では、これから夜のエンターテインメントを盛り上げていこうというタイミングだったので、より一層、経済的にも精神的にも辛い時期だったと思います。だからこそ、この辛い時期を乗り越え、コロナ前よりも魅力的なエンターテインメント業界にしていくためには、再起動をしていく今このタイミングで、夜が持つ本当の価値についての議論が必要だと考えました。そして、そのような議論はエンターテインメント業界の方々、まちづくりの担い手、観光事業者等業界の枠組みを超えて、また公と民が一緒になって進めていく必要があります。多くの方にこのような活動を知ってもらい、参加してもらうためにPeatixとパートナーシップを結ばせていただきました。

 

Q)今後のナイトタイムエコノミーの可能性についてのお考えと、それに伴うJNEAの活動内容に関して教えてください。

世界的なパンデミックの影響で、ナイトタイムエコノミーをこれから盛り上げていこうというタイミングで停止を余儀なくされました。この間、夜の活動は大きく制約されましたが、夜が本来持つ様々な価値は全く損なわれていないどころか、むしろ強く求められるようになったと感じます。経済活動の場としての夜、多様な人と出会い交流を深める場としての夜、創造的で実験性に富む文化的表現の場としての夜。夜には多様な魅力や価値があります。それらの「夜が持つ価値」を正しく捉え、日常に取り戻し、住む人にとっても観光客にとっても魅力的な街にしていく。それはだれか特定の人や業界が主導することではなく、多くの関係者によって推進されていくべきことだと考えます。そのためJNEAとしては、さまざまな関係者が集い、夜が持つ価値について対話を深め、立場を超えたネットワークを築いていきたいと考えています。そして多くの人たちにナイトタイムエコノミーに関わってもらい、様々な関係者が能動的に関わるムーブメントとして夜を盛り上げていきたく考えています。

 

JNEAのPeatixグループページ

 

<インタビューにご協力いただいた方>

一般社団法人 ナイトタイムエコノミー推進協議会

代表理事 齋藤貴弘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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