変革に寄与し、カルチャーを生み出す瞬間をつくる。CRAZY CREATIVE AGENCYの仕事の流儀

2018年5月22日、Peatix Japan内EBISU PARKにて、「イベントサロン vol.14」を開催しました。

今回のテーマは「世界観のつくりかた」。圧倒的な世界観で多くの人を惹きつけるイベントの作り手に、その発想や表現についてお話を聞きました。

 

変革に寄与し、カルチャーを生み出す瞬間をつくる。CRAZY CREATIVE AGENCYの仕事の流儀

CRAZY CREATIVE AGENCY 林 隆三さん

「変革に寄与する」仕事

CRAZYという会社の一事業部のCRAZY CREATIVE AGENCYというチームで仕事をしています。CRAZYは自らを「HUMAN BUSINESS COMPANY」と表現し、人間らしさ、HUMANITYを大切にしながらビジネスをしています。創業当時から何をやるにしても「本質的に美しくてユニークかどうか」というのが大切な判断基準です。

 

僕らは新しい時代の働き方や、個人の在り方を「フューチャーサンプル」と呼んでいて、このフューチャーサンプルをたくさん生み出すことを、僕らの社会においての存在価値だと考えています。

 

CRAZYはウェディング事業からスタートし、自分たちの仕事を「変革に寄与する」ものと捉えています。結婚式も個人の変革のタイミングですよね。そこから広げて、企業、自治体、業界に対しても、僕たちのミッションである「変革に寄与する」仕事を届けたいと思ったんです。

 

変革のとき、「ここ一番」というときに何をするべきなのか、何を伝えていくべきなのかということを一緒に考えて、それを表現していく。どう表現するとより伝わるのか、より効果的に表現できるのかということをプロデュースしています。

 

例えば新宿のNEWomanの一周年記念のプロモーション、ChatWork社のオフィスのアートワークなど、変革のタイミングで、訪れる人の体感値を上げるための表現をつくっています。

 

「常識を疑って理想を再定義する」

そのような仕事の中で、大切にしているのは「常識を疑って理想を再定義する」ということです。例えば結婚式も、「結婚するから結婚式をする」というアプローチではないんです。「そもそもみんなが思っている結婚式って、それでいいんだっけ?」というところが創業のきっかけでしたが、「僕にとっての結婚式と、あなたにとっての結婚式の定義が違ってもいいよね」という考え方ですね。

 

法人においても「僕が思うブランドとあなたが思うブランドって、本当に一緒なのかな」という視点や、物事を考えていくときに「理想からきちんと考えていこうぜ」という姿勢がとても大事だと思ってます。

 

世の中の多くの物事は妥協を含んでいるので、いろんなことを諦めたり「まあいいんじゃないかな」ということは多々あると思います。なので我々は「本当はそれでいいの?」という問いかけをとても大事にしているんです。

 

例えば、我々が提供しているサービスの1つに企業の周年イベントがあります。周年の区切りというのも、とても大事な変革のタイミングだと思うんです。

 

周年イベントは「過去や未来を見つめて、それを祝ったり労ったりする場」と捉えられることが多いですが、そうではなくて、その機会を「自分たちが変革する、改革する場」にすると、もっと価値が生まれるのではと考えています。

 

過去にもいくつかの周年イベントをつくってきましたが、空間で「非日常感」や「なにかいつもと違うスペシャリティ」を表現しながらも、「自分たちが変革する機会」というコンセプトをコンテンツに落とし込んでプロデュースしています。

 

CCAの作品の「世界観」をつくる4つの要素

これが僕たちの切り口でまとめた、世界観の作り方です。

コンセプト
まず、「コンセプトがある」ことがとても大事だと思っているんです。世界観というのは「雰囲気」ではありません。テイストとか、〇〇風、〇〇調みたいなものは、あくまでもそれでしかなく、世界観というのは「ストーリーを体感すること」だと思っています。

 

コンテンツ
コンセプトを全体の価値観としたときに、それをより効果的に表現するものがコンテンツです。

 

クリエイティブ
そしてその企画に対する理解を促すため、感覚にアプローチするものがクリエイティブ、デザインなどの表現ですね。

 

カルチャー
さらに大事だと思うのは、これらの体感を持続的にし、受け手の集団に根付かせることです。我々がやるべきことはそこだと思っていて、それがカルチャーを作ることだと思っています。

 

 

CCA的考え方・4つのステップ

続いて、世界観を実現するための4ステップの考え方についてお話しします。

抽出
コンセプトをつくるためには「本質」を取り扱う必要がありますが、本質を取り扱うことがとっても難しい。難易度が高く、場合によっては諦めてしまうことですが、本質は全ての方がお持ちのものなので、それをきちんと抽出することを、お客様と一緒に本気で取り組んでいます。

 

僕がつくっているイベントはどなたでも参加できるというオープンなイベントではなく、特定の方に向けたものが多いので、依頼者の方のお話を聞いたりこちらから問いかけたりすることに一番時間をかけてやっています。これはウェディング、ケータリング、地域プロデュース問わず、弊社のどの事業部でも同じです。

 

分析・編集・造形
時間をかけて抽出したものを分析し、それを組み替えて編集していきます。それを最終的に造形して、イベントや、ウェディングや食事というかたちに作り上げていきます。

 

この4つの質をどこまで上げられるかということ、そしてそれをお互いに理解、信頼し合いながらできるかということを考えています。では一旦この辺りでご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 


<Q&A>

「相手の中からコンセプトを引き出す」ことは可能なのか?制作側が内容を誘導することなく、依頼者の中にあるものを引き出すには

宮田:「コンセプトを引き出して核をつくる」ということを大切にされているとのことでしたが、依頼者の人と話をしながらコンセプトをつる中で、CCAさんが内容を誘導してしまうようなことはないのかと、ちょっと意地悪なことを思ったりするのですが……。CCAさんが入って伴走することの意義についてはどのようにお考えですか?

 

林:我々が間に入る意義は明確にあり、それは「思考機会の提供」です。考えることが大事とはいえ、「考えてね」と言われても難しかったり、どういう切り口で考えていいのか、そもそも何からはじめるべきか分からないということは多いと思います。「それって、こういうことですよね」っていう確認ではなく、「これってどう思います?」という問いかけをしてあげることがポイントです。

 

イエス/ノーで答えられるものではなく、考えさせる質問をすることで、相手に考えてもらう。これが1番大事です。我々が伴走しながら依頼者が考えて「こういうことだ」という気づきを自分で導き出してもらう。その体験こそが自分が変革を生み出していくことになるので、我々の立場はまさにガイドだと思います。そしてそれが大事だと思っていますね。

 

宮田:誘導ではなく、そこに既にあるものを「引き出す」という意味でのガイドをしていくという意味ですね。

 

林:1番はじめに、「そもそも我々の”理想”はなんなのか」ということを確認しあうことがとても大事だと思うんです。そしてそれを実現するためにはこちらに進むべきという仮説を立てて進めていきます。間違った方向に行ってはいけないので、どこまででも話し合える信頼関係を築くところが鍵ですね。

 

業者さんではないんです、そういう立場で仕事を受けていません。「客観的主体性」みたいなイメージで考えているんですけど、その人になり代わるぐらいのつもり、その人になったつもりで行動するんです。同時にそこに常に客観的な視点と、すり合わせた価値観を持ちながら進められるのかということを意識することが大切だと思っています。

 

参加する意思をはっきり持たずに来場する参加者に対して、どのようにコンセプトや世界観を届けるのか

宮田:手がけられているお仕事に、企業の周年イベントやNEWoManのイベントなどがありましたが、そういうイベントは事前にチケットを買って来てくれてる人ではなく、通りすがりの人や「会社の業務だからしょうがない」という気持ちの方など様々な人が参加されますよね。そういう人を巻き込む世界観づくりや、仕掛けで意識されていることはありますか?

 

林:最近すごく考えたり悩んだりもするんですけど……。やっぱり受け手のリテラシーというのは大事だなと思っています。あんまり難し過ぎてもダメなんですよね、きっと。

 

コンセプトや世界観についても、受け手が「もしかしてこういうことかも」とひらめいたり考えたりできるものがちょうど良いし、適度な取っかかりがあることも重要です。あまりにも難しいものになると、誰も興味を持ってくれず触れてもくれない。そのさじ加減を大事にしたいなと思っています。

一方で、そのリテラシーや感受性を向上させていくことも大事なことだと思っています。日本はもちろん、世界がそういうものに対してもっと敏感になり、感度を上げ、理解力を持てることが、多分世の中を良くしていくことだと思うんです。

 

「インスタ映え」なんかも分かりやすい例だと思います。インスタ映えって今や少し失笑みたいな雰囲気を持つ言葉になっているかもしれないですが、僕はとてもいいことだなと思っています。

 

美的感覚に対する積極性や興味を促進させたキーワードになったと思うんですけど、そういうキレイなものに興味のない世の中よりは明らかに良いと思うので、そういう仕掛けができると面白いかなと思ってます。

一瞬のイベントから、持続的に根付くカルチャーをつくるには

宮田:持続的に根付くカルチャーをつくりたいと仰っていましたが、イベントは一日限りのものも多く、世の中に本当に次から次へとありますよね。そういう中でカルチャーとして根付く時間をつくるために、意識されていることがあればお聞きしたいです。

 

林:もともと僕の専門領域は建築で、住居や小空間などをつくっていました。そこからなぜ結婚式をつくりはじめたかというと、瞬間的空間をつくることの面白さに気付いたからなんですよね。

 

たった3時間のためだけの空間を、しかも対象者が明確なものをつくるときの喜びや、楽しさをすごく感じて。「瞬発的なものも面白いな」と思ったんです。そしてそれを続けていく中で、その瞬間をつなげていくことが、もともとの住居とか小空間に本来あるべきなんだろうなと思い至り、少し考え方が変わっていったんです。

 

気づきは与えられるものではなく、本人が見出さなくては実現されない。そのきっかけをつくる仕事

林:結局、何であっても「与えられる」ものではないと思っています。「こういうふうに住んでくださいね」「こういうふうに使ってね」と言われても、多分それは誰もやらない。「どうやって使ったらいいだろう」とか「どういうふうに生きていきたいのか、生活したいのか」ということは、結局その使い手、住まい手が考えていって見つけるもの。考えない限りはそのように実現されないと思っているんです。

 

そうやって、人がどれくらいちゃんと考えるか、大事にするか、そういうもののきっかけになる瞬間をつくることが大事なのかなと思っています。

 


 

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