プロジェクション・マッピングで空想の世界へ! #EventSalon 2 レポート

今や各地でイベントが開催され、注目の的となっているプロジェクションマッピング。最先端の技術を駆使した表現は、私たちの視覚と想像力を刺激します。
SUPEREYEはデザイナー集団でありながら、その技術を使って自らイベントを企画。多方面に人気を呼んでいます。さらなる表現が期待される中、代表・土井さんが語るマッピングの面白みとこれからの可能性とは——————

SUPEREYE

人々の心に残るコンテンツづくり

SUPEREYEは2012年設立。映像とグラフィックデザインを主とする会社で、設立当初からプロジェクションマッピングには積極的に取り組んできました。
「私たちは『For your landscape』という言葉を掲げ、『私たちの作ったコンテンツがいつまでも皆さんの心の中に残りますように』という想いを込めていつも仕事をしています。」
土井さんの話し方から表現に対する誠実さが伝わってきます。

プロジェクションマッピングの可能性

そもそもプロジェクションマッピングとはどのようなものなのでしょうか。

土井さん曰く、「『建物や立体物にプロジェクターで映像を投影することで現実ではあり得ない世界を見せる』というのがプロジェクションマッピングの技術。」その表現が一気に注目を集めるきっかけとなったのは、東京駅での大掛かりなマッピングイベントです。

その技術や表現の場は多岐に渡り、土井さん自身も手がけたマッピングを紹介してくれました。
背景がカラフルに変化する日比谷野外音楽堂でのアイドルのコンサート、年に一度のテクノの祭典『WIRE』ではDJの後ろで流れる映像。

そしてなんと「笑っていいとも!」にも出演。
ご存知テレホンショッキングのカレンダーボードが動き出したり回転したり崩れたり・・これにはタレントの方々含め会場中が湧いていました。

“クリエイターの自主企画”としてのスタート

プロジェクションマッピングジャーニー

そんなSUPEREYEのメンバーが主催しているのが『プロジェクションマッピングジャーニー』。

仕事としてプロジェクションマッピングに触れていく中で、「表現として面白く、可能性もあるものを自分たちの作品として楽しんで作りたいと思った。」
「いわゆる『文化祭的なノリ』で始まった感じです(笑)。」

プロジェクションマッピングで異空間を表現

「プロジェクションマッピングだけで幻想的な異空間を表現したい」と始まった初の『プロジェクションマッピングジャーニー』。
SORA×NIWA(ソラトニワ)というラジオ局のイベントスペースには600人ほどの人が集まりました。

「歩き回ってもらって独特な世界観を味わってもらいたい。」と設けたテーマは“ある旅人の記憶”。

「3、4つある部屋に16〜17台のプロジェクターを配置して。」
メイクルームや並べられたマネキンなど、映像を映し出す小道具にも元の部屋の印象がガラリと変えるこだわりが沢山。

「大規模なイメージで語られることが多いマッピングですが、普段馴染みのあるいわゆる会議用のプロジェクターを用いて行ないました。」
「当時はまだプロジェクションマッピング自体が一般的に認知されだした時期なのもあって、屋内で小さな規模でやることにチャレンジングなものを感じて実施しました。」

マッピングで描かれたストーリーの中を旅する

実は映像だけではなく、様々な工夫も。
「『旅』にちなんだ不思議なストーリーが用意されています。大きい部屋になるとプロジェクターも6、7台並べて全方位投影されていたり、夜はDJも入りさらに幻想的な雰囲気を醸し出す工夫もしました。」

これだけ空間全体に投影させる映像を制作したり、ストーリーを組み立てたりと、どれだけの準備期間が必要だったのでしょうか。
「大体2ヶ月ですね。本業のクライアントワークと並行しながら、夜な夜な打ち合わせを重ねながら企画していきました。」
ここでもいい意味での「文化祭的なノリ」が力を発揮したようです。

『龍の住む谷』

そして昨年七夕の日に開催された2度目のイベント会場は神宮前、「Creme de la creme」。なんと一日あたり1000人の来場者があったそう。

「新たなストーリーを構築し、『とにかく全部マッピングにしてしまおう』とコンクリート打ちっぱなしの空間に24台ものプロジェクターを持ち込んで。」

「天井もかなり高かったので映像で埋め尽くすことで普段の様子と全く違うものになりました。」
2度目の『プロジェクションマッピングジャーニー』ではかなりイベントとしての作り込みにもチャレンジしたといいます。
「デザイナーも導線計画や『この部屋はこういう風に歩き回ってほしい』と、かなり話し合って作り込んでいきました。」

さらに、変化を加える為サプライズも気を配ります。
「タイムテーブルを決めて、時間によって流れる映像も変化したり、『龍の住む谷』というテーマに合わせて、突然龍が現れてくるような演出も考えました。」

プロジェクションマッピングジャーニー2

プロジェクションマッピングジャーニー2

「来場者には冒険に出かける為の地図が配られ、マッピングそれぞれに「オアシス」や「光の滝」など部屋ごとに名前も決めて。」

他にもアーティストのライブを入れ滞在時間をコントロールしたりと、デザイナー集団でありながらイベント全体をかなり細かく計算して作り上げている印象を受けます。

空想の世界に引き込むための仕掛け

幻想的な映像で会場を包み込んだとしても、いきなりストーリーの中に入り込むのは難しい。なにか工夫をしたのでしょうか。
「かなりディズニーランドを参考にはしました。」

「イベントスペースに入った瞬間から世界観に入り込んでもらう為に、一つきっかけになるようなコンテンツを作ったんです。」
「単純に黒い布で仕切られた部屋があって、そこにまずは入ってもらう。そこにガイドがいるんです。」

黒く仕切られた空間でまず参加者はこれから向かう世界の説明を受けます。
「地図の上にマッピングされた映像を見てもらって『いってらっしゃい』と。」

そしてこのイベントの成功をきっかけとして、マッピングが常設に。「実は今この空間は常設のイベントスペースとしてマッピングが楽しめる空間『HACK』として運営されています。(3月末終了予定)」

『HACK』にはSUPEREYEのメンバーもプロジェクトチームとして参加していて、結婚式の2次会や、企業のプレゼンイベントなど、多様な使われ方をしています。
「マッピングの可能性をどんどん追求していきたい」と語る土井さんの言葉からは自分たちのイベントの成功による自信が感じられるようでした。

「クリエイターがイベントを企画してここまでできるということで、引き続きイベントを手がけていきたい。今年はぜひ3回目を開催したい」と楽しそうに語る土井さん。イベントを主催する本人達がとことん面白がって企画しているものは、やっぱりとことん面白くなるものだと感じるお話でした。

(文:濱谷 俊輔)

SUPEREYE

土井昌徳 (Masanori Doi) プロフィール
SUPEREYE代表取締役社長
ディレクター/CGクリエイター

1980年、千葉県生まれ。大学在学中より独学にて映像制作を開始。フリーランスのデザイナー/VJとして、多くのCMやPVの映像演出に携わる。六本木ヒルズのバー「HEARTLAND」、丸の内の複合ショップビルTOKIAのバー「Pub Cardinal Marunouchi」では専属VJとして週末のシーンを彩ったほか、都内最大級のクラブ WOMBで行われたCYCLONE at WOMB VJ battleではグランプリに輝いた。フジロックフィスティバルや日本最大級のテクノイベント「WIRE@横浜アリーナ」では映像演出及びVJとして参加。その後、デジタルハリウッドにてCGのワークフローを本格的に学び、都内大手CGプロダクション数社にデザイナーとして所属。「20世紀少年第一章」や「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」などの映画作品のほか、TVシリーズ3Dアニメ「プーさんといっしょ」やゲーム作品などのCG制作に携わる。近年では柴咲コウ全国ライブツアーに映像制作およびVJとして同行したほか、i-depのPV「HEY」ディレクション、ファッションショーやイベントでのプロジェクションマッピングのプロデュース、UIデザインなどを手がける。2012年、株式会社SUPEREYEを 立ち上げ、代表取締役社長に就任。趣味は、人間観察・自転車・DJ。特技は、子供とすぐに仲良くなること。

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