「巻き込まれる場所にスタンバイ」、 「必ず付加価値をつける」北梅田の街づくりで活躍する大橋さんの、戦略的で情熱に溢れた「巻き込み ・ 巻き込まれ」観 / イベントサロン大阪 vol.2 「巻き込み」

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2017年6月1日、KANDAI Me RISEにて、関西大学とPeatix共催で「イベントサロン大阪vol.2」を開催しました。 今回のテーマは「巻き込み」。自分のプロジェクトにどう人・物・街を巻き込むかという内容をテーマに、3名のゲストをお迎えしました。

「巻き込まれる場所にスタンバイ」、 「必ず付加価値をつける」北梅田の街づくりで活躍する大橋さんの、戦略的で情熱に溢れた「巻き込み ・ 巻き込まれ」観 

北梅田地区まちづくり協議会 大橋敦史氏

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演劇の世界での活動で身につけた巻き込み力・巻き込まれ力

もともとの私のバックグランドは演劇です。高校時代から演劇をやっていて、これをもっと盛り上げたいと思い、市民講座に通いながら友人と劇団をやったりして。そうするうちに紹介を受けて「パティオ池鯉鮒(ちりゅう)」という、知立市の文化会館で働くことになったんです。公演を誘致するだけでなく、舞台芸術に市民を巻き込む講座などをやったり、活発に活動する会館でした。

 

そこで仕事をした後に独立して、まずは好きなアーティストを売り出すために仕事をしていました。基本的には、定員100名以下の小劇場で上演する舞台だったので、観客を増やすにはまずその劇場にパフォーマーを増やそうと思い、劇場で週6日ぐらいほぼ毎日ワークショップをやってました。私以外は全員兼業だったので大変だったんですけど、やっぱりそうすると仲間が段々増えていったということを思い出します。

 

そうするうちに、「もうちょっと派手にやりたいな」「フェスやりたいな」と思うようになって、「演劇博覧会カラフル」という企画を3回ほどやりました。組織づくりの巻き込みとしてはアーティストの「連合」まぁ、実行委員会体制です。200人くらいで実行委員会作ってフェスをやりました。都市部の劇場だと時間やルールに融通がきかないので、郊外の自治体に入ってもらい、当時演劇に力を入れていたフジテレビのプログラムをうまく活用して安くCMを流してもらったり、いろいろと工夫を凝らしました。

 

でも色々やってたら、なかなかしんどくて疲れちゃったんですよ。「一人でやっていくにはノウハウも足りないな」と悩みまして、「全国武者修行に行きます!」と宣言して旅に出ることにしました。金沢の財団が運営している金沢市民芸術村というところで「カラフル~金沢ラウンド」を開催したり、各地の演劇祭で仕事をしたり。

 

そういう中で演劇ばっかりやってると広がりがないなと思ったので、ノンジャンルのイベントサークルみたいなのを作ることにしたんです。キャッチコピー自体が団体名になっていて「自分でもできそう」と感じてもらえる名前がいいなと思って「超・初心者のためのイベント研究会」と名付けました。「自分も初心者としてお互いに教え合うんだ。」というコンセプトを込めたんです。

 

梅田で活動するうちにできてきた自分のポジション

そんな「イベ研」で梅田の街づくりに関わるようになり、その中の「メディア研究会」というところでプロジェクションマッピングのイベントを梅田ゆかた祭りなどでやらせて頂いていました。

 

梅田みたいに目立つ場所で研究会をやっていると、新しい企画が始まると声がかかるんです。それで毎日放送のフェスティバルである「チャリウッド」でご一緒させて頂いたり、メディアアートをヨーロッパのフェスに持ち込むことをお手伝いしたりして、梅田茶屋町に拠点ができました。

 

そうするうちに、北梅田地区まちづくり協議会の一員として活動するようになりました。アートフェスをしたり、茶屋町のショップを巻き込んだ施策をしたり、街の中からいろんなことができるようになっていきました。今日もお手元にチラシを配っている「キャンドルナイト」というイベントをやっています。いろいろなプレイヤーの方から声をかけてもらえるようにスタンバイしておくようにしています。

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町内会との連携:街イベントの巻き込み力を高める大きな要素

町内の連携も積極的に作っていくようにしています。例えば今朝は街のみんなで掃除をしましたが、最後にスターバックスさんが「お疲れさま」とコーヒーをくださいました。こうやって、巻き込みたいと思っているプレイヤーの人たちと町内会を作っていくことも意識してやっています。

 

町内の中で連携を作っておくと、いざやりたい企画が出てきた時に仕掛けることができます。もちろん、公共公益というポイントを守りながらですが、やりたいことをやれるようになっていくわけです。

 

巻き込む力が少なくても、巻き込まれ方をデザインしたり、巻き込まれる場所にスタンバイしておくことはできる

基本的に私たちのように草の根で活動している人は巻き込み力が弱いと思います。基本的に巻き込む力は、強い者の方が強い。だけど私たちにも、巻き込まれ方をデザインすることや、巻き込まれる場所にスタンバイしておくことは多分できます。それぞれの人にやりたいことや課題があります。個人、大きい会社、行政みんなそうです。どんな強い相手でも弱点があって、こうしたいのにうまくできないということがあるので、そこを徹底的に助けてあげる。そうすると巻き込まれます。

 

そうしたら、「今度、僕こんな企画やりたいと思ってるんですけど、一緒にやってくれませんか?」と言えるようになってくんです。なので、巻き込まれる場所にスタンバイしておくことと、巻き込まれた後に「この人をこう巻き込むんだ」ということを絶対に決めておく。そういうコンテンツ磨きをしっかりしておくことが大事だなと思っております。

 

[Q&A]

Q) 巻き込まれる場所にいるということでしたが、ただ巻き込まれているだけでは次に進めないと思うんです。「あ、この人面白いな。すごいな」と思ってもらうために、巻き込まれた時に「これは必ずやる」「ここをしっかり見せる」というポイントがあれば教えて頂きたいです。

A) 「意地でも自分のフィルターは掛ける」っていうことですね。「こういう仕事やって欲しいんですけど」って言われたときにその通りにやっちゃダメです。「チケットたくさん売りたいんですよ」って言われたら「それ違うと思うんです」って必ず言う。なぜなら「コンテンツ磨きができてないから」とか「資金調達できてないから」とか。


大体、私が呼ばれるような現場って欠点がある現場。外人傭兵部隊が居るってことですからその欠点を突くんです。だってクライアントワークばっかりしてると疲れません?行政の仕事ばっかり出てると疲れるとか、コンサルみたいな事ばっかりやってると「これ、自分の本来やりたいことだっけ?」という気持ちが生まれがちです。どんな小さな事でもいいから、自分のやりたいようにやるように心がけることですね。

 

Q) 町内会を作っていくということでしたが、町内会とか縁遠過ぎて……もう少し具体的に、どういうことをやってらっしゃるか教えて頂けますか。

A) お手元にキャンドルナイトという四角っぽいフライヤーがあると思うんですけども、そこに実行委員構成団体みたいなのがあると思うんですけど。 ここ梅田には毎日放送とか、阪急とか、ロフトとか、色々なプレイヤーがいます。そういう人たちと例えば「フェスティバルをやりたい」という話になったときに、街の中で何かやりたいんですが、企業が単体で「お祭りやりたいです」って言っても道路を占有することはなかなかできないんです。

 

それを、北梅田地区まちづくり協議会であったり、梅田東連合振興町会と呼ばれる町内会組織が一緒に入ってイベントをすることで、大学とか企業とか単体ではできないことができるんです。協議会に入っている企業、団体、個人、元々の住民の人も一緒に話し合って「街をこうしたい」と警察に相談にいくと通るんですよ。だからそれは放送局とか鉄道会社にとってもすごいメリットがあるんです。

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町の人は、元々住んでる人たちも、やっぱり現役世代の人は時間がないし、忙しくて中々できないけど、そういう現役の町にいるプレイヤーを、働き手、まちづくりの担い手として取り込めるというメリットがあるので、一緒に町内会作るんです。うちは北梅田地区まちづくり協議会で、茶屋町町会っていうのもあるんですけど、女性会とか子供会っていうのもあるんですよ。こんな町中なのに、未だに豆まきをやったり、餅つきやったりとかしてるんですよね。そういう工夫、そうせざるを得ない環境があるというところです。

 

Q) 武者修行に出られて色々と変わられたと思います。もし一番最初のカラフルをまたやることになったとしたら、「巻き込む・巻き込まれる」ということについて、何か違うやり方ができそうですか?

A) そうですね。逆に同じことができなくなりましたね。無鉄砲に200人の人を巻き込んでノーギャラでやるとか。今だったら2,000〜3,000万かかることを200〜300万でやっていましたが、きちんとお金を払わないとできなくなっちゃいました。
でも、プレイガイドや放送局とかを巻き込んでチケットを売ってもらう技術とか、いいコンテンツを引っ張ってくる芸能事務所との繋がりなどは身についた。それが自分にとって良かったのか、悪かったのかは分かりませんが……。
はじめは劇場を使う側で、劇場を使ってもらう側になって、今こういうところに来たので、今度は劇場建てる側にもなってみたいですね。そういうことをやれる力は世の中にまだまだあると思います。そこで自分が現場で体験してきた意見を言っていくことはできると思うけど、むやみやたらに人を巻き込めなくなったっていうのが正直な気持ちですね。


「巻き込まれる場所にスタンバイしておく」、「巻き込まれたら必ず自分が関わった意味を提供できるようにする、言われたままやるだけで終わらない」など、巻き込み、巻き込まれながら活動している私たちにとても興味深いポイントを教えてもらいました。そうやっていろいろなご経験を積む中で、大橋さんの「巻き込む」ということの定義もどんどん変わっていったようです。その経験があってこそ、今日もキャンドルナイトなど素敵なイベントがたくさん生み出されているのですね。

梅田茶屋町の街づくりの活動を見てみよう!

▶︎ 北梅田地区まちづくり協議会の情報を見る

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PeatixのマーケティングとPRを担当。Peatixの思いやサービス内容を伝える仕事をする一方、イベント・コミュニティ主催者の魅力やストーリーに迫るイベントサロンの運営メンバーでもある。人に会って話を聞くこと、自分の知らなかった世界に触れることが好き。