北海道を技術の開拓地にー地図のないフロンティアを切り拓くNo Mapsの挑戦 / イベントサロン神戸vol.1 DAY1

イベントサロン神戸伊藤さんキービジュアル

2017年5月6〜7日、神戸にて078kobeというフェスティバルが開催されました。ピーティックスも2日間にわたり「イベントサロン神戸vol.1」を開催し、神戸内外で活躍する素敵なイベント・コミュニティオーガナイザーのトークイベントを行いました。

1日目のテーマは”「Local to Global」自分の思い・アイデアを広めるには” 自分の思いを伝え、周りを巻き込みながら大きなうねりを作っている方たちのお話です!

北海道を技術の開拓地にー地図のないフロンティアを切り拓くNo Mapsの挑戦 / イベントサロン神戸vol.1 DAY1
No Maps 伊藤 博之氏

イベントサロン神戸vol1伊藤さん1 伊藤です。今日は札幌から078に参戦しています。私はNo Mapsというイベントを札幌でやっています。簡単に言うと078の札幌版みたいなものです。本業ではクリプトン・フューチャー・メディアという会社をやっています。

伊藤さんから見る札幌と神戸

神戸とのつながりでいうと、フェリシモの矢崎社長と仲良くさせていただいています。神戸市はデザイン都市ということでユネスコに承認されているのですが、札幌市が申請準備をしている時に、矢崎さんにお越しいただいて神戸のお話をしていただきました。札幌市はメディア・アーツという分野でユネスコに承認されました。神戸の皆さんには本当に仲良くしていただいています。

北海道はジャガイモなどいろいろな農産物も取れるし、水産業も盛んですが、それを原材料として右から左に流すだけなんです。そこにデザインをするとか、付加価値をつけるということがないように感じています。

そこでデザインというところで神戸と連携をして新しいことをやっていきたいというお話を常々しておりました。それで今日が実現しています。

「音で発想するチーム」初音ミクを生んだクリプトンフューチャーメディアと、クリエイターが集う場づくり

私の会社は「音で発想するチーム」というコンセプトを掲げ、札幌で20年、音に関することをやっています。音ということで開発した製品で初音ミクというのがあります。歌を歌うソフトウェアなのですが、そこから派生してニコニコ動画やYouTubeといったインターネットを通じて世界中に広がっていきました。

バーチャルの存在ですがコンサートもやっていて、北米10都市、中国2都市で開催しています。 イベントサロン神戸vol1伊藤さん2 デザインという方面についても、神戸市に学んでいるところがたくさんありますが、札幌でもカフェなどの多目的スペースを作って、クリエイターの人たちが何か新しいことをやろうと集まれる場所作りをしています。

新しいビジネスを生み出し、加速させるための場 No Maps

No Mapsというイベントは078の札幌版みたいなイベントで、もとはSXSW(サウスバイサウスウエスト)という、アメリカのテキサスで開催されているイベントを参考にして去年からやってます。No Mapsのコンセプトは、新しいビジネスを生み出し、加速させるための場。文化的なことというよりも、産業都市として新しいビジネスに踏み出していくための場として企てているものです。

昨年10月にプレイベントという形で開催し、事業者数124、来場者約27,000人、会場は街の中のカフェやライブハウスを活用しながら49か所に分散して実施しました。

「マーケティングのツール・実践の場」、「企業間交流の場」、「情報収集・発信の場」というコンセプトで、企業ブースの出展や人工知能についてのカンファレンスをしたりしました。

人工知能というと敷居が高い気がしますがそうではなく、我々の生活を良くするイノベーションを起こすものとして捉え、農業関係者や街の人、役所の人などを交え、アカデミック分野以外の人の自分ごとに引きつけた形で話したりしました。

音楽とテクノロジーが融合したイベントでもあるので、アイドルのフェスに産業技術総合研究所の技術を組み合わせるということをやったり、技術勉強会や、ピッチ大会も開催しました。トレードショーには神戸078の方にも来ていただきました。

イベントサロン神戸vol1伊藤さん3

このイベント、今年の10月に開催決定しています。10月5日から15日です。 昨年のプレイベント第0回はSXSWと同じように音楽と映画、テクノロジーの3本柱で開催したのですが、今年は食や観光といった分野も増やそうと思います。交流・興行・カンファレンスが融合した形を目指して、街の中にイベントを組み込みます。

札幌には街中で一箇所に集約できるコンベンションスペースがないので、分散してイベントを開催するしかないのですが、それがむしろこのイベントの特色になると思っていて、街の中でイベントをやるということを実践したいと思っています。ぜひ10月には札幌にお越しください。地方から日本を盛り上げていくということに取り組んでいきたいと思います。

[Q&A]

Q) なぜ札幌でやろうと思われたんですか?

A) 東京でも「SXSWを目指せ、SXSWに行こう」みたいな話は盛り上がってますよね。私は関わっていないんですが、2000年に札幌でSXSWみたいなことをやろうという話があり、一度開催しました。その時はまだタイミングが早すぎて1回で終わってしまったんですが、またそういうことやりたいよねということで復活したのがNo Mapsです。

 

Q) いよいよタイミングだなと思ったのはなぜですか?

A) IT化もどんどん進んで、みんながスマホを持つようになりインターネット自体がコモディティ化したと思うんですが、それを一層推し進めたいと思っています。

IoTなどと言いますが、大地にインターネットを根付かせるということで、農業× インターネットなどの取り組みを一層進めて、そこを新しいビジネスチャンスにしたいと考えています。全国、世界どこからでも「北海道に来ると新しい技術のことができるよね」と、北海道を技術の開拓地として、新しいことにチャレンジするために来ていただける場所にしたいです。

日本には法律など既存のルールがゆえ、新しいことにチャレンジすることが難しい場合があります。。例えば自動運転の車を走らせるとか、ドローンを飛ばすのもそうですが、いろいろと制約があって新しいことをやりにくい。

No Maps自体は実行委員会制度を取って、メンバーに北海道の知事とか市長とか、影響力がある人は一通り入ってもらってます。ですので、ちょっと自動走行車を走らせたい…!みたいなことをダメ元で相談することができる。自治体レベルで許可を打診しやすい体制ができているので、No Mapsが日本国内外の新しい技術をまず試す場所になればと思います。

イベントサロン神戸vol1伊藤さんQ&A

Q) 街イベントって大変だと思うんです。スタッフも分散しなきゃいけないし、スポンサーへの見え方的にも、一箇所に集約したほうが人が集まってるように見せやすい、街全体を巻き込むのって労力がかかると思うんですが、第0回をやってみて、その辺りはいかがでしたか?

A) もちろん街全体を使うと大変なので、札幌駅からすすきの駅までの範囲に絞っています。ただ、人が流動的に動くのはそれはそれで面白くて、例えばセンサーを設置して人の流れを測定するという実験をやりました。札幌は雪も多いので地下街が発達しています。地下にもセンサーを設置したりして、そういう試みもやってます。

仰る通り一箇所にまとめた方が楽だとは思います。札幌市にもコンベンションホールはあるんですが、ちょっと遠くで人が集まるような場所ではなくて…。であれば、街の中に催し事をインストールした方が札幌らしいなと思いこのスタイルをとってます。

テキサスは街中にイベントが散らばりながらも、中心となるコンベンションセンターがあって、バランスがいいなぁと思います。札幌も街中に点在させるとはいえ一つ中心となる場所を作って、そこを軸に会場を展開していくという設計で考えています。

イベントサロン神戸vol1伊藤さん4

Q) 最後にひとつだけ。この「No Maps」というイベントの名前に込められている意味はなんですか?

A) いい質問ですね。No Mapsという名前の由来は、ウィリアム・ギブスンというSF小説家の作った短編映画のタイトルが由来です。地図がないというフロンティアを開拓していくというイメージですね。


「札幌を新たな技術の開拓地に」という伊藤さんの熱い気持ちが伝わるお話でした。札幌を拠点に、クリエイター・技術者を中心にした新たなムーブメントやコミュニティが生まれそうです!

伊藤さんが情熱を注ぐ2017年10月のイベント「No Maps」の最新情報はここからチェック!

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