NHKも伊藤園もやりたがる! アイデアソンでもハッカソンでもない「プロモソン」とは?/コミュコレ!渋谷2017 Session7

コミュコレ!渋谷2017session7_key

2017年6月17日、東京カルチャーカルチャーにて、ニフティとPeatixの共催イベント、「Community Collection Shibuya ( コミュコレ!渋谷 ) 2017」を開催しました!

土曜日の夜の開催にも関わらず、スピーカー25名、参加者総勢100名近くの方々にお集まりいただき、大盛況となりました!
大いに盛り上がった9つのトークセッションのレポートです!

 

Session7「プロモソン x コミュニティ」

プロモソンってナニ???このセッションではラクガキコーチのタムラさん、伊藤園の角野さん、NHKの花輪さんにご登場いただきます。この3人の共通点は一体…???とにかく、お話を聞いてみましょう!

 

ゲストスピーカー

・タムラ カイさん (FC-POP/ラクガキコーチ)

・角野 賢一さん (伊藤園)

・花輪 裕久 さん(NHK)

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FC-POP タムラさん

隣にいる河原あずさんと2人で、ファシリテーションユニット「FC-POP」をやっています、タムラです。

普段は会社員として働きながら、ラクガキを教える仕事をしたり、グラレコをしたり、ファシリテーションをしたり、あと新しい働き方を自分で作ろうと思っていて。いま富士通という会社にいるんですけど、何人かを集めてグラレコを外でやる活動をやったり、まぁいろいろあったらやるんですが、だいたい水玉と覚えていただければまちがいないです。

コミュコレ!session7_recording

(タムラさんは、今日のコミュコレ!の各セッションもグラフィックレコードにしてくださっていました!このセッションが始まる前に見せていただきました。すごくわかりやすくまとまっていて、見ていて楽しいです!)

 

コミュコレ!session7_Kakuno-san

伊藤園 角野さん(「おーいお茶」のご提供、ありがとうございます!)

「おーいお茶」でおなじみの伊藤園の角野です。3年前サンフランシスコに駐在している時に、ここにいる河原あずさんと一緒に「茶ッカソン」というのを立ち上げました。日本に帰ってきてからは、タムラさんにも入っていただき、それをさらに進化させるということをやっています。

茶ッカソンっていうのは「お茶」×「ハッカソン」で「茶ッカソン」ということです。お茶を飲みながらいい感覚を呼び覚まして、そこからいいアイデアを出していこうというアイデアソンみたいなことをやっています。「現代版 茶会」という側面も持っています。

 

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NHK 花輪さん

話がヘタクソな花輪です(笑)。いま二杯くらい飲んだのでガンガン話しますよ!

プロモソンというところで、先ほどのお二人と同じなのですが、「茶ッカソン」ではなく「ディレクソン」というものをやっています。「ディレクター」と「アイデアソン」を掛け合わせた言葉で、一般の視聴者の方を参加者にお迎えして、その参加者全員がディレクターですよと。「監督もテレビの番組のディレクターも、視聴者のみなさんの提供です。みなさん、この”4時も!シブ5時”という番組を面白くしてください!!」みたいなことで、イベントをさせていただきました。

 

ー 花輪さんの根回しは本当にすごいんですよ。一見おカタいNHKさんがここまでの企画をやることになったということですからね。「4時も!シブ5時」という番組の企画を作るイベントでしたね。

 

プロモソンってなんですか???

ー お三方それぞれの取り組みを紹介していただきましたが、プロモソンっていう言葉をもうちょっと説明していただけますでしょうか。

タムラさん:

プロモソンというのは、ここにいる河原あずが考えたのですが、「プロモーション」と「アイデアソン」をかけた言葉です。アイデアソン、ハッカソンということになると、どうしても新しいビジネス、サービスを作るということに焦点があたりがちで、それが実現されないと「何か足りなかったね…」という感じになりがちです。

でも、実際に人が集まって盛り上がった高揚感のある中に、例えば「おーいお茶」があったり、その場所がNHKのスタジオの中だったりすると、そういう形でその商品や場所が記憶に残る。そういうプロモーションの形があってもいいのではないかということで生まれた形態です。

コミュコレ!session7_topics

ー 茶ッカソンは最近は渋谷で開催されることが増えてますよね。そもそも伊藤園さんって、渋谷区の企業なんですよね。

角野さん:

はい、実はそうなんです。渋谷区の外れの、都庁の方にありますがギリギリ渋谷区です。駐在を終えて日本に帰ってきてからは、東急電鉄さんと関わりが深くなって、ヒカリエの8(ハチ)でも開催させていただいています。最近ではちょっと渋谷区観光協会さんとも関わりがあります。

今年2017年の1月に渋谷で茶ッカソンを開催した時は、「インバウンド向け(外国人観光客向け)の渋谷マップを作ろう」というテーマでやりました。 渋谷って、実は「外国人観光客の方の滞在時間が短い」という悩みがありまして。スクランブル交差点で写真だけ撮って次に行っちゃうんです。

優勝チームが出してくれたアイデアは、「夜の渋谷は楽しめる」ということをアピールするというアイデアでした。渋谷には浅草やお江戸みたいな歴史的な観光資源はないけれど、夜遅くまで開いているお店が多い。音楽が聴けるお店や、クラブがたくさんあるよねと。

だから旅行者の方が、観光最終日は渋谷でオールして、そのまま羽田から帰るというような、「夜の渋谷で安全に楽しめる」ということ自体を観光資源にしようというアイデアです。審査委員長だった渋谷区観光委員会の金山さんも「それ面白いじゃないか」と言ってくださって、そのアイデアが優勝となりました。

プロモーションはどの程度重要か?

ー お茶は関係なくていいんですか?

角野さん:

お茶はですね、どうでもいいです。(会場笑) まぁどうでもいいって言ったら怒られちゃいますけど、お茶のベネフィットって3つあると思ってまして、「美味しさ」「健康性」、そしてもう一つが「コミュニケーションのきっかけになる」ということです。「お茶しない?」っていう言葉がありますよね。あれって本当にお茶が飲みたいわけじゃないですよね。

そういうことで、いいコミュニケーションが生まれたところにそっと寄り添っていて覚えてもらうという、タムラさんが先ほど言ってくれましたが、そんなアピールの仕方でいいのではないかと思っています。

コミュコレ!渋谷2017session7-promothon

一般の人を企画検討の場に迎える意味

ー そして、みんながディレクターという花輪さん。番組作りに一般の人を混ぜるって、ある種のリスクも伴うと思うんですが、どういう決意でやられたんですか?

花輪さん: NHKでずっとやってきたディレクターってどうしても発想が限られちゃうんで、会議をやっていてもあまり新しいアイデアが出づらいんですよね。

僕らにとってコンテンツは商品です。なのに、お客さんがどんな人なのか全く知らないまま、自分たちの思い入れだけで商品を作っているっていうことが多々あるんです。それを打破するには、考える方法を180度変える仕掛けを作らないといけないと思いまして。そのきっかけが、このディレクソンっていうイベントだったんですね。

実際にイベントをやって視聴者の方からのアウトプットが出てきたことで、「なるほどね、視聴者の方とイベントやってよかったね」ということになったんです。コミュニティっていうことでいうと、NHKは53局テレビ局だけでありまして、今回は渋谷を拠点にやりましたが、これを全国の53局で続けていこうと思っています。

多分、地域ごとにNHKができることや求められていることがあると思うんです。地域ごとに抱えている問題や課題があると思うんですけど、NHKは各地元に拠点があるのに、地元に寄り添っているかというとそうじゃない可能性が高いんです。それを、アイデアソンという場を通じて、地域の人が何を求めているかということを吸い上げてシェアできる仕組みを作っていきたい。

例えば渋谷だったらこんな解決策あるよね、っていうことが、僕の実家のある山梨県の人でも分かるというような仕組みを作りながら、「NHKってやっぱりあって良かったよね!」という状況を、2年くらいかけて作りたいと思います。

 

プロモソンをやることで、改めて良さを感じてもらう

ー そしてタムラさん、ここ東京カルチャーカルチャーでやった「いいちこラボ」というイベントですね。タムラさんはそこのファシリテーターなんですよね。

 

タムラさん:

はい、「知的バー空間」ということで、いいちこを飲みながらアイデアソンをするという、大人限定のアイデアソンのいいちこラボというのがあります。

「普段からいいちこ飲んでるよ!」って方どのくらいいらっしゃいますか??あんまりいないですね。そういう感じのお酒なんですよね。いいちこラボに来て、初めていいちこ飲みますっていう人もけっこういる。そこで、実は美味しく飲めるよっていうことで、サンフランシスコのバーテンダーが作った、「アイデアの創発を助ける」3種類のカクテルが出てきたりして。で、「初めて飲みましたけど美味しいですね」と言って参加者が帰っていくという仕掛けでやってます。

 

ー ファンができるということなんですか?

タムラさん:

ファンというよりは、仲間感という感じですかね。ファンっていうと憧れみたいな要素も入る場合があると思いますが、いいちことかNHKって、日常にあるものだと思うんですよね。それを再認識して、「改めていいヤツじゃん」と思ってもらうようなイメージが近い気がします。

 

Session7を終えて……

一般の方にアイデアを出してもらうとか、商材に触れてもらうということであれば、キャンペーンでアイデアを募集して商材をプレゼントするという方法もあると思うんですけど、プロモソンというイベントを開催して、人を集めて何かを行うことにこだわっている理由はなんですか?

タムラさん:

僕はデザイナーとして色々な方とお仕事をしていますが、新しいものが生まれるときって、そこに「創造的関係性」があると思うんです。僕の本にも書いてるんですけど、それって「楽しみあえるつながり」だと思うんです。

「企画書を送ってください」だと、出来上がったものを審査するしかないんですけど、ばっと集まってみんなでやると、誰かが言ったアイデアに「それいいね」って誰かが乗っかって、「こうしたらもっといいかも」とか、「こういうアプローチもあるかも」とアイデアが重なっていく。それってコミュニティのあり方の理想形の一つかなと思っています。

 

角野さん:

めちゃくちゃいいアイデアが出ることも素晴らしいんですけど、茶ッカソンの交流の中でいい出会いとか気づきというものが、それぞれの中にあるんですね。そういうことが、みんなが一緒の場に集まってやることのメリットなのかなと思いますね。

 

花輪さん:

そうですね。私もお二人と同じような考えです。ですので、全国でディレクソンをやって、チャンピオンシップを東京でやるという構想を進めていきたいですね!


「会社の中でこり固まらず、人々が集まりコミュニケーションをする中で、新しいアイデアを出してもらう」という発想、「お客さんが本当に求めているものを教えてもらおう」という姿勢、そして「楽しい場にすっと寄り添うことで、改めて自分たちを認識してもらおう」というさりげなさ。プロモソンにはいろいろな要素が詰まっているのですね。これからも広がっていきそうなプロモソン。ぜひ皆さんも参加してみてください!

[ご登場いただいた皆さんが活躍されている場所はこちら!]

タムカイズム(タムラさんのブログ。プロモソンについての記事にリンクします)

茶ッカソン(伊藤園)

NHK

コミュコレ!渋谷2017 8つのセッションレポート一覧

 

Session1 キーワードは「エンタメ」・「ダイバーシティ」!渋谷の土台の作り手が語る、これからの渋谷とコミュニティの関係性

Session2 「遊び場渋谷」から「働く場渋谷」へ!変な人と、それを支える人が集まる「新しい働き方の聖地」のつくりかた

Session3 街のカルチャーや未来のビジョンと共に作る、街を巻き込むイベントの仕掛けかた

Session4 メディアは何をつなぐもの?渋谷で発信するプレイヤーに聞く、渋谷とメディアのこれから

Session5 行政・企業・NPOの多様な30人が、半年で渋谷を巻き込んだプロジェクトを世に出すまで

Session6 大都会の中のローカルメディア。彼らが大切に書いているものとは

Session8 渋谷のランドマークQ-FRONT、 ドン・キホーテ、PARCOかSHIBUYA CASTの「住人」まで!? 渋谷の「場」はどのような思いで作られているのか

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